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ふしぎなキリスト教

4.2 4.2 (レビュー2件)
カテゴリー: キリスト教
定価: 882 円

日本人の神様とGODは何が違うか?起源からイエスの謎、近代社会への影響まですべての疑問に答える最強の入門書。挑発的な質問と明快な答え、日本を代表する二人の社会学者が徹底対論。

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    「ふしぎなキリスト教」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 4.0

       有名な社会学者二人が、キリスト教の疑問に思われる点について、あれこれと対話している本である。素朴な疑問やツッコミどころを、大澤さんが、遠慮なく次々吐き出している所が面白い。逐一、自分の言葉でそれに説明を加えてくれる橋爪さん、それに対しまた思ったことを返す大澤さん…… キリスト教に関心はあるけれどよくわからない、という人でも、結構楽しんで読めると思う。

      ********

       われわれ日本人で、キリスト教徒ではない人にとって、聖書には、読んでいると、どう考えても理不尽だろう、と思われる記述がある。カインとアベルの話も、マリアとマルタの話も、放蕩息子の話も。
       たとえばカインとアベルの話(p.228あたり)を見てみよう。兄がカイン、弟がアベル。カインは農業を、アベルは遊牧をおこない、それぞれ収穫に恵まれたため、初物を神にささげたが、神はアベルの捧げものを喜び、カインのささげものを喜ばなかった。それでカインは怒って弟のアベルを原っぱにい呼び出して刺し殺してしまう。すると神は、カインを殺人の罪で糾弾し、追放する。ここで、なぜ、神はカインのささげもののほうを喜ばなかったのか、については書かれていない。理不尽だ。だけど、そこで嫉妬の感情を持ったり、怒ったりしてはいけないのである。
       人間って必ず、自分より恵まれている・あるいは恵まれていない立場にある人をみつけてしまうもの。他人と自分を比べてしまうもの。生きてたら、ぱっと見、そういう差異に遭遇する経験って絶対あるものじゃないですか?で、それはあって当然だし、いちいちそこに腹を立てたり異議を申し立てちゃいけないっていうのが一神教で、そのことをまず最初に示しているのがカインとアベルの物語だ、という。この部分の説明は、かなり説得的に感じた。
       また、キリスト教には「宗教法」がなく、神がこの世をつくってからそのまま出て行ってしまっているので、神を信じた人間たちがその世界を、理性を通じて分析・研究・発展させる可能性を残していた、という点も面白い(p.315あたり)。 ウェーバーのプロテスタンティズムと資本主義を関連付ける論説は有名だが、たしかに、自然科学の発展の端緒となったものを作り出していったのは宗教改革頃のヨーロッパ世界で、そこに生きた人々は熱心なキリスト教徒だったりもする。熱心な宗教者がそうやって、現世のことの分析に必死になるのって、ほかの仏教やイスラム教の信徒にはない、珍しいことなんですよね。
       キリスト教徒が現世の仕組みにも関心を持って調べたのは、この世界が神によってつくられたもので、そこには、一定の秩序があると考えていたから。人間に与えられた理性を用いれば、ある程度まではそれを説明できると思った。他方、説明できない部分、たとえば先に述べたカインとアベルみたいな不平等さもあることを受け入れていて、それは、完全に神の意思で<恩寵>の働きによるものだとしている。そんなふうに受け入れることができるのは、信者だからで、そういう意味ではもちろん、他との区別がある。けれど、キリスト教というのは、非キリスト教徒や、非宗教的な世界とべつの宗教世界をつくって閉じこもるものじゃなくて、そういう外部をもつくりかえていく力を持つものだったのだと言う印象を受けた。


       そう、一般的には、キリスト教が支配する世界を「脱して」あるいは「排して」、世俗化・近代化や科学技術の発展が成し遂げられた、と考えられがちだけれども、そうではなくて、キリスト教世界が「あったからこそ」、そうゆう発展が可能になったわけである。
       その意味で、現代人が、キリスト教が支配的であった西洋中世世界に関心を持つことは意味のあることだし、キリスト教について、この本にあるみたいに、ちょっと考えてみることは、かなり有意義なことなのだ。そう実感させてくれる、興味深い1冊でした。
      >> 続きを読む

      2017/05/22 by

      ふしぎなキリスト教」のレビュー

    • >異議を申し立てちゃいけないっていうのが一神教で、そのことをまず最初に示しているのがカインとアベルの物語だ
      そうなんですか?この逸話は本当に意味が分かりにくくて…。
      いろいろな小説のテーマにもなっていますが、そういう解釈になるとは今まで説明されたことがなかったような。
      この本にはちょっと新鮮な切り口が含まれているかもしれないですね。

      「キリスト教」に限って言うと新約聖書が実質的な聖典であって「イエスの教え」を信じる人々の宗教なのだと思います。旧約聖書を熟読する必要はキリスト教徒には不要なんじゃないかとさえ思います。新約聖書と旧約聖書には矛盾があると思います。ユダヤ教徒とイスラム教徒とキリスト教徒がお互い相容れない訳ですね。

      >キリスト教徒が現世の仕組みにも関心を持って調べたのは、この世界が神によってつくられたもので、そこには、一定の秩序があると考えていたから。
      これをキリスト教徒の功績にしてしまうのは、どうなんでしょう?
      現世の成り立ちに絶対的な真理が存在するはずだと信じていたのはギリシア人ではありませんか?数学も科学もルーツはギリシア哲学にさかのぼるのでは?
      科学の基礎と言われる錬金術も、ヨーロッパで盛んになったのは13世紀以降。
      むしろキリスト教はエジプトやギリシャ(科学や数学が発展していましたがいずれも多神教です)の思想を異端視し排斥していたはず。化学者なども魔女狩りの対象になっていたと思われます。
      ガリレオの宗教裁判の判決を翻し謝罪したのも20世紀になってからです。
      一神教が科学の心を持っているというのは逆なんじゃないかと思いますが。
      いずれにしても多神教が身に沁みついている我々とは随分異なる世界観を持っているようです。一神教徒の思い込みの強靭さには圧倒されますね。
      >> 続きを読む

      2017/05/22 by 月うさぎ

    • 評価: 4.0

      とっても、楽しく読めました。

      「ほほぉ」とか「うーん」とか、思わず声のもれる部分が多かった。
      書き写しておきたい箇所もたくさん。
      本当に、私はキリスト教についてなーんも分かってなかったんだ!と鮮やかに知らせてくれました。

      また、読みます。 >> 続きを読む

      2012/04/21 by

      ふしぎなキリスト教」のレビュー

    • 最低限の宗教の知識は身につけておかないと、と思ってたところでした。楽しく読める入門書、良さそうです♪ >> 続きを読む

      2012/04/22 by ただひこ

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