こんにちはゲストさん(ログインはこちら) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト →会員登録(無料)

私とは何か

「個人」から「分人」へ
4.0 4.0 (レビュー5件)
カテゴリー: 評論、エッセイ、随筆
定価: 777 円

小説と格闘する中で生まれたまったく新しい人間観!嫌いな自分を肯定するには?自分らしさはどう生まれるのか?他者と自分の距離の取り方―。恋愛・職場・家族...人間関係に悩むすべての人へ。

いいね! Tukiwami

    「私とは何か」 の読書レビュー (最新順)

    最新のレビュー順 | 人気のレビュー順
    すべてのレビューとコメントを開く
    • 評価: 4.0

       著者の平野啓一郎さんは自身の小説の中で「分人」という考えをよく登場させている。その「分人」という概念の本人による詳しい解説となっているので「ドーン」や「空白を満たしなさい」などと絡めて読んでいったら小説への理解が深まっておもしろかった。

       人間は個人というただひとつの分けられない人格を持つのではなく、その時その時で出会った人に対してそれぞれに違った人格を自然に作り出している。自分という一があって分数の様に人格が派生しているので「分人」と呼ぶ。
       たとえば会社では偉そうにしている人が家では奥さんの尻に敷かれていたりなんかがそうだ。会社での人格と奥さんの前での人格は違うけれども決して意識して演じ分けているわけではない。つきあう人の性格やその場の環境に影響されてそういう言動なっている。それぞれの関係性の中で人格が芽生えて成長していった結果で分人が生じている。

       あまり難しくないし理解しにくい感覚でもないと思う。むしろ「なんだ、そんなことか」と思われてしまうくらいかもしれないが世の中は一人の人間にはひとつの個人という感覚が広く理解されている。ちょっとつっこんだところまでいっても本当の人格とペルソナという関係が語られるくらいで、分人という理解は一般的ではない。
       たとえば猟奇的な殺人事件が起こると犯人の同級生なんかが「クラスの中じゃ大人しくて、あんなことをする子には思えなかった」と言っているのが報道されるが、それは殺人犯としての分人と、大人しい子という分人が理解されていないだけだ。
       さらにそこでナレーターが「一見大人しい彼の本性は残虐な殺人鬼だった」と言うのだが、これも本性が殺人鬼なのではなくて殺人犯の分人とクラスメートの分人が別々に存在していて決して主従の関係になっているのではない。

       分人という考え方を納得していると対人関係が楽になるんじゃないかなと僕は思った。分人は関係性の中で生じる。自分と目の前にいる人との関係性の中から今まさに互いに分人が生じて成長しているのだからウラがあるのではと不必要に勘ぐる必要はない。ウラでなにを言われていようがその人と一緒にいる時に自分が心地よければその心地よい時間を築き上げていくことに注力すればよい。その人の陰口を言う分人と自分と居るときの分人は別の人格を生きているのだから。そう言う風に考えることが出来る。
       ただ、分人の説明を頭で理解しても人を勘ぐらずに生きるなんてことは難しい。分人と言う考え方は理屈で解っているよりも皮膚感覚で体得されるべき概念だと思う。それこそ現代社会で人間は一つの個人という人格を持っているということが常識として納得されているのと同じレベルで理解される必要がある。

       一般常識的として理解される為には世間的な広まりが大事だ。オードリーの若林さんも平野さんの読者で色々なところで分人について語っている。人間の多面性をより深く知る物差しになっていくと思うので、分人という概念が世の中に広く理解されていけばいいなと思う。
      >> 続きを読む

      2019/01/07 by

      私とは何か」のレビュー

    • 「分人」という考え方はそんなに異色な考え方ではなく、日常で感じるものですよね。Nagatarockさんのレビューで心理学の「ペルソナ」という言葉が出てきたように。

      この本は「分人」という言葉を使うことで平野さんがどういう日常での考え方や作用を狙っているのか、物語の中で使っている時はどういう文脈での使い方をしているのかを知りたかった人がいて、その詳細な説明のため出されたということなのでしょうか。

      小説の解釈が深まるのは楽しそうですが。
      >> 続きを読む

      2019/01/07 by 月岩水

    • 小説の中だとどうしても「分人」という考えのすべてを説明するのは難しいのでこういうのを書かれたんでしょうね。 >> 続きを読む

      2019/01/08 by Nagatarock

    • 評価: 4.0

      『個人』『分人』の概念に、腑に落ちる思いでした。
      確かに一個人としてのカラーがあるでしょうが、接する相手によって新たに引き出される部分も勿論あるかと思います。
      いろんな自分がいて当たり前、と自覚することも楽に生きる方法の一つだと再認識しました。

      2017/06/26 by

      私とは何か」のレビュー

    • 評価: 5.0

      個人ではなく分人。私とは分人のネットワークである。自分が抱えていた漠然とした疑問や違和感がすっと晴れるような本でした。

      2015/03/06 by

      私とは何か」のレビュー

    • >私とは分人のネットワークである。

      難しいです。。
      よく決断を下すために、自分の頭の中で色々な自分が会議しているような比喩ってありますが、それともまた違うんですよね、きっと。。 >> 続きを読む

      2015/03/06 by chao

    • 評価: 4.0

      たった一つの「本当の自分」など存在しない、対人関係ごとに見せている複数の顔(分人)がすべて「本当の自分」である。
      「個人」よりも小さい「分人」という新しい単位を使い、アイデンティティとそれに関連する問題について考察している本。自分というものが流動的であり、たった一つのものではないということは、なんとなく感じてはいたが、この本を読んで一段と思考の整理ができた。

      ☆印象に残った部分と今後への生かし☆
      ”重要なのは、常に自分の分人全体のバランスを見ていることだ”
      →こっちがだめならあっちがある。仕事はうまくいってなくても家庭は円満、などなど悪いことだけにとらわれないように気をつける。

      ”誰とどう付きあっているかで、あなたの中の分人の構成比率は変化する。その総体が、あなたの個性となる。”
      →自分が夢があるなら、その夢に近い人、叶えていると付き合うようにしたり、積極的にサークルなどの活動に参加したりするようにする。超人見知りだけど…。

      ”新しく出会った人間とは、まったく新たに分人化する。そして、虐待やいじめを受けた自分は、その相手との分人だったのだと、一度、区別して考えるべきだ。自分を愛されない人間として本質規定してしまってはならない。”
      →過去についてグジグジしてしまう時は思い出そう☆
      >> 続きを読む

      2015/01/11 by

      私とは何か」のレビュー

    • 分人という考え方は、とても面白いと思いました。
      仏の顔も3度までなどといいますが、十一面観音などは、外向きの顔は三面で、あとは衆生を救うための内面の顔かもしれません、ナンテ関係無いかもm(_ _)m
      相手によって分人化する、顔だけでなく気持ちもですね。自分と距離をおく事が出来ると楽ですね。
      >> 続きを読む

      2015/01/12 by 空耳よ

    • なるほど、「分人」が統合されて「個人」をなすということでしょうか。そして、人間関係の関わりによって「分人」の数や質が変わり、切り捨てることもできると捉えることで、悩むほどグダグダしなくて済むようになるという作用も狙っているんですね。

      哲学の本で、日常で感じる意味合いと違う言葉の概念の定義をして論理展開して結論を導くことを思い出しました。

      自分を捉え直すいいやり方、知恵ですね( ˶ ̇ ̵ ̇˶ )
      >> 続きを読む

      2019/01/07 by 月岩水

    • 評価: 4.0

      人間にはいろんな面がある。
      と、言うことに異論を挟む人は少ないと思っている。
      もちろん、その密度は違うだろう。
      時、場面、相手、いろんな要素がある。
      成長という観点もある。
      そういうところを「分人」という視点で明確にすることで、随分、解りやすくなったと思う。
      そうすると、もののとらえ方も変わるし、生き方にも変化がでるチャンスが増えると思う。
      何より、今のこの時代、生きやすくなるのではないだろうかと思う。
      これくらいの視点の変化を、今の政治家・官僚・経済界の人に求めるのは酷なんだろうな。
      >> 続きを読む

      2014/07/31 by

      私とは何か」のレビュー

    • 哲学と心理学を統合したような新しい発想を起点にしたやり方なので、政治家さんが考え出すには無理がある気はしますね。

      政治家さんは運用能力を扱う役割という印象もしますし٩( ᐖ )۶
      >> 続きを読む

      2019/01/07 by 月岩水


    この本に関連したオススメの本

    取得中です。しばらくお待ちください。

    ワタシトワナニカ コジンカラブンジンエ
    わたしとわなにか こじんからぶんじんえ

    私とは何か - 「個人」から「分人」へ | 読書ログ

    会員登録(無料)

    今月の課題図書
    読書ログってこんなサービス
    映画ログはこちら
    読書ログさんの本棚

    レビューのある本

    今日はいぬの日

    最近チェックした本