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月に吠えらんねえ(1) (アフタヌーンKC)

5.0 5.0 (レビュー2件)
著者: 清家 雪子
定価: 799 円
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    「月に吠えらんねえ(1) (アフタヌーンKC)」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 5.0

      もうね、怪作ですよ。
      すんごいですよ。
      朔太郎読んでいなくても楽しめるとは思うけど、その辺の作品一通り読んでる人に読んでほしいなぁ!

      改めて詩というものの成り難きを思う。

      しっかしこの作者さん、こんなんずっと描いていて、それも連載していてよく頭おかしくならないな。
      すげー!!!

      というわけで、久しぶりに読むだけで体力を削る漫画に出会いました。
      エネルギーが存分にあるときに読むことをお勧めします。
      >> 続きを読む

      2016/02/20 by

      月に吠えらんねえ(1) (アフタヌーンKC)」のレビュー

    • 評価: 5.0

      (現在のところ、第一巻の第一話の内容を中心にレビューを書いています。読み進めていくうちに、随時更新していきます) 

       みなさんは近代日本文学に興味はありますか。近代文学は学校で読むものも多いですから、案外興味のある方は多いんじゃないのでしょうか。本書は、著者が近代詩歌俳句から受けた印象をキャラクター化した者たちが織りなす物語です。つまりは、有名作品の擬人化ですね。文学にちょっと興味のある方なら小ネタ探しで時間を潰せることまちがいなしです。

       詳しい内容に触れていく前に注意しておいてほしいことは、本書の登場人物はあくまで作品からうけた印象に基づいて構築されており、決して詩人本人ではないという点です。ただし、日記、書簡、未発表原稿、後世の研究書や伝記、作者にまつわるエピソードなども参照して物語を紡いでいるため、詩人本人と重なるかのような部分もあります。また、明治から昭和初期にかけての日本の歴史を基盤として、町並みや物語の世界観が作られているので、現実で起こった出来事とリンクしているような場面もあります。それでも、あくまで作品から着想を得て創作された架空のキャラクターたちによる虚構の世界における物語だという点は、留意しておいてもらいたいと思います。

       では詳しい内容に入っていきますね。まずは登場キャラクターを整理し、その後に物語の大まかなあらすじ、散見された小ネタ、個人的に考えたことなどについても触れていきます。

      1、キャラクター紹介
      朔くん(≠萩原朔太郎、「月に吠える」「青猫」「氷島」などからキャラクター化、一応主人公です、すべての面でぶっ飛んでいる変態です)

      白さん(≠北原白秋、「邪宗門」「思ひ出」「桐の花」などからキャラクター化、朔くんの先生役みたいな?あと変態です)

      シキさん(≠正岡子規、「子規句集」「子規歌集」「病状六尺」などからキャラクター化、弟子のキョシと碧梧桐の対立に煩悶中)

      犀(≠室生犀星、「抒情小曲集」「愛の詩集」などからキャラクター化、朔くんの大親友だが現在は旅に出ている)

      Cafe JUN マスター(≠西脇順三郎、「Ambarvalia」「近代の寓話」などからキャラクター化、カフェのマスター…それだけ)

      ミヨシくん(≠三好達治、「測量船」「南総集」などからキャラクター化、朔くんの弟子だけど時々変態)

      天気屋(西)(≠尾崎放哉、「大空」などからキャラクター化、昼と夜を変えてくれます)

      石川くん(≠石川啄木、「一握の砂」「悲しき玩具」などからキャラクター化、借金取りに追われているみたい)

      居酒屋BOXY大将(≠若山牧水、「別離」「路上」などからキャラクター化、居酒屋のおじさん)

      ぐうるさん[見た目は人間大の蛙](≠草野心平、「定本 蛙」「第四の蛙」などからキャラクター化、蛙度120%、よく死んでよく生き「かえる」)

      2、物語の内容
      ・第一話「夜」
      「ここは近代□(詩歌句)街。詩人、歌人、俳人の暮らす街だ。小説街と分けられてひとまとめにされてるあたり、文壇での力関係が分かるだろう。自然を感じないと、風光明媚でないと!という者が圧倒的多数なのでご覧のような田舎町だ。少々退屈ではあるが…ここの住人は貧乏人が殆どで開発費が無いのだから仕方ない」(pp4-5)

      「□街の住人は大概変わり者だ。変人だらけで心地良いのか、自称文士の胡乱な者も集まってくる。おしなべて情緒不安定で飲んだくれで社会不適合者だ」(pp6)

       朔くんは、川原から拾ってきた死体を、自分の部屋で熱心に観察していました。そこに朔くんが溺愛/敬愛/偏愛/狂愛する白さんが訪れます。朔くんは興奮するのですが、白さんから言われていた詩は完成していませんでした。白さんは気分転換に朔くんをミステリーに誘います。なんと、近くの松の木に縊死体(首吊り死体)があるから、一緒に見に行こうというのです。縊死体のそばには既に先客がいました。シキさんです。シキさんは縊死体をスケッチしていたようです。縊死体は老若男女どれにも見えるようで、どれにもみえない。シキさんが縊死体の切れ目に手を突っ込むと、危うく飲み込まれそうになりました。とりあえず縊死体は置いておいて、白さんと朔くんはその場を後にするのでした。

       帰り道、しばらく前に旅に出た犀(彼の顔は描かれていません。つまりはのっぺらぼうなのですが、第1巻ではその理由は明らかにされません)のことを思い出します。場面はCafeの回想シーンへ。犀は詩人に戻るために旅にでると白さんと朔くんに告げました。朔くんは詩想を与えてくれた魂の片割れである犀が行ってしまうことが、寂しくてたまりません。彼は周りの人物が性格も作風も変えていく中、詩の世界に1人取り残されるのが寂しいのです。説得もむなしく、犀は朔のことを白に頼み、旅に出発しました。場面は再び現在へ。犀が旅に出たあと、2人は一向に犀の顔が思い出せないままです。それは何故なのでしょうか。ここではまだ明らかにされません。

       家に帰った朔くんは弟子のミヨシくんとの問答の末、夜中まで詩作にふけります。ちなみに、観察していた死体はミヨシくんが片付けてくれたそうです。朔くんは寝っ転がりながら、床に残ったウジ虫を一瞬だけ美しいと思います。そこに突然、昼間観た松の木の縊死体が現れました。朔くんは驚いて外に飛び出し、屋台で酒をのむ白さんと石川くんのもとに逃げ込みます。石川くんと白さんは、朔のいつもの精神衰弱だろうということで片付けてしまいます。石川くん、朔くん、白さん、居酒屋の大将は、流れで酒を飲みに飲んで野原で寝てしまいました。

       寝ている4人組の近くを2人組の女性が通りました。どうやら□街に飽々しているようです。他の街への引っ越しがしたいそうな。

      「不安定で不安」「そうよ不安定で不安よ」「それに詩人歌人俳人みーんな貧乏なうえに気位ばっかり高くて夢想家でしょ。お嫁に行ったら貧乏苦労のあげく、捨てられるか肺を病むかのどっちかよ。DVだってきっとあるわよ。どうかしてる人ばかりなんだから。ね、貴女も一緒に行きましょうよ」「そうねえ…どこに引っ越すの?」「そりゃあ小説街よ、シティライフよ」「小説家先生だってどうかしてる人ばかりじゃない、政治街は?」「いやあよ、いつ暗殺されるかこわいじゃない」「経済街」「あそこは見目良いだけの頭カラッポ女がちやほやされる所よ。私たちみたいな『新しい女』はやっぱり知識人じゃないと釣り合わないわ」「じゃあ思想街でいいじゃない」「知性だけじゃダメだの浪漫がなくっちゃあ!」「美術街」「うーんいいんだけど、しょっちゅう裸にされてモデルやらされすじゃない?それは嫌よちょっと」「じゃあやっぱり小説街しかないのかしら…」「しかないのよ」(pp64)

       ところが寝ている白さんを見ると、彼女たちの態度は一変します。貧乏詩人たちは置いといて、白さんだけをお持ち帰りにしよとする女性の2人組。白も乗り気なようですが、帰り道に白が「夜」や「女性」に対する自らの想念を深淵を覗かせる暗澹たる口調で吐露して、女性たちを驚かせてしまいました。それでも彼女たちは離れず、白と共に夜道を歩いて行きました。彼女たちのその後について、この時点ではうかがい知ることはできません。

      3、小ネタについて
      ①シキさんの飼っている「ナツメ」という名の猫
       まぁ、明らかに夏目漱石を意識しています。正岡子規と同時代を生きた方であり、お互いに文学の面でも私生活の面でも深い交流がありました。子規の友人が創刊した『ホトトギス』という雑誌に、夏目漱石の『吾輩は猫である』が掲載されていたので、そこらへんも意識して「ナツメ」という猫を登場させたのでしょう。

      ②病める天才の朔くん
       朔くんは幻覚を見るし、幻聴も聞こえるし、妄言も垂れ流すし、病み度100%の人物です。でも、コミカルに描かれているので不思議と愛着が湧いてしまうキャラですね。恐らく、萩原朔太郎の詩の持つ幻想性、病弊生などを意識したのかな。

      ③朔・白・犀の三角関係
       朔くんは白さんにべた惚れですし、犀にも単なる親友以上の精神的な繋がりを感じています。当時の文学者(芸術家)たちの間で流行った、心と心の深い結びつきを反映させているのでしょうか。書簡などを読んでみると、濃密な精神交流をしていたことがわかります。

      ④白さんのイメージの源泉
       白さんが女性にモテる理由とは。見た目が良いというのは一番の理由でしょう。でも、詩からインスピレーションを受けて作られたキャラクターですから、もしかしたら詩自体に艶かしい雰囲気があったのかもしれません。やり手のビジネスマンのイメージは、現実の白秋が歌(童謡や校歌)と小説にも手を出し、詩聖/国民詩人の名誉を勝ち得ていたことの反映でしょうか。女性たちを驚かせるくだりは、親しみやすいのにどこかに深淵を持つ白秋の詩のイメージを映し出しているのでしょうか。

      ⑤朔くんの使用人であるミヨシくん
       現実でも朔くんの弟子であった三好達治を反映しています。いないはずの朔くんの妹との結婚を夢見ているミヨシくんですが、現実では朔太郎の妹と三好達治が結婚していますから、それを踏まえたパロディなのでしょう。

      4、個人的な考えについて
      ①知識の地層
       作品の擬人化と一言でいえば簡単そうですが、巻末の100冊を優に超える参考文献を見るとそんなことはいえないですね。詩は全集で確認し、関連する資料はなるべく全て目に通したようです。キャラクター造形、キャラクターの性格や発言、街の様子、物語の展開、効果音などにも何かしらの「出典」があるようなので、いやぁ、理解するのには読者もいっぱいお勉強しないといけないんですね(僕は近代日本文学の特に韻文は読んでないに等しい状態です…)。上記のあらすじでは割愛しましたが、登場人物の台詞によく詩が引用されています。ちなみに、著者のブログである「月吠ノート」には、補足説明やおまけ漫画などが掲載されていますから、興味のある人は御一読ください。

      ②作品の共時性
       過去の名作を読むときに、一般人は文庫本か単行本で読みます。でも当時の韻文の多くは雑誌に掲載されていたのであり、同じような雰囲気をもつ作品と並んで読まれていたはずです。少年ジャンプを読むと、「ああ、どれもなんとなく少年漫画的なノリだよね」となりますよね。それと似た感じです。といっても当時の雑誌を手に入れるのはかなり困難なので、当時の文学の状況(作者間の繋がり、作品間の相互影響、歴史的背景など)を俯瞰的に把握できる本を別途に読む必要がありそうですね。

      ③近代日本の歴史における文学、とくに戦争と文学について
       まだ第一巻しか入手していませんが、第二巻以降では戦争と文学の関係が取り扱われるようです。第一巻でも犀の旅先には、戦艦、争いの跡、戦いで狂う人間、氾濫する死体、強制収容される「誰か」が描かれていました。予想以上に、重く大切なテーマを取り扱っていくのかもしれません。文学者は戦争にどう反応したのでしょう。ささやかな抵抗か、沈黙か、あるいは協力か…。

       さて、長々といろいろなことを述べてきました。冒頭で述べたように、あくまで本作は創作されたキャラクターたちの架空の物語です。ですが、その「フィクション」の根底には綿密なリサーチに基づく「事実」があります。ときに物語の中の出来事や台詞は、現実世界の詩人や作品の解釈に新たな地平を提示します。徹底的に構築された世界は、僕たちに想像の飛躍をもたらします。近代日本文学に興味のあるひとも、ないひともぜひ読んでみてくださいね。いまのところ韻文が中心ですが、散文組(たっちゃん≠堀辰雄、龍くん≠芥川龍之介など)も連載が続けば登場していくそうなので、そのへんは今後のお楽しみですね。
      >> 続きを読む

      2015/04/30 by

      月に吠えらんねえ(1) (アフタヌーンKC)」のレビュー

    • 「月に吠える」は萩原朔太郎ですか。そうか、そうか、当たり前よね。
      オジー・オズボーンを思い出しちゃう私は本読み失格です( ̄∇ ̄;)

      実は日本近代文学(特に自然主義文学)はすごく苦手なジャンルなのです。
      漫画からイメージを描いてというアプローチもありですかね。
      有名作品の擬人化ということですから、元の作品を知っていた方がいい気もするし
      どうなんでしょう~~。
      シキさんと石川くんくらいかなあ。多少わかるのは。
      >おしなべて情緒不安定で飲んだくれで社会不適合者
      それはそうでしょう(^◇^)
      >詩は全集で確認し、関連する資料はなるべく全て目に通した
      ひゃ~~。無理無理。本当に苦手なんですよ。
      龍くん。キャラが立ってそうです。散文組になれば多少は理解できるかも。
      こんな漫画どこで連載しているの?サブカルも極まれりですね。
      >> 続きを読む

      2015/05/01 by 月うさぎ

    • <<素頓卿様
      コメント痛み入ります。つまり、散文的に表現すれば「作品がもともとどういう所に住んでいたのか」を気にかけてみましょうということですよね。

      <<tochan様
      コメントかたじけない。理解しようしてしても、いやあ、自分の不勉強さを痛感させられちゃいますね(笑)著者は海外の詩人の作品もチェックしているそうなんです……、リルケとかパウル・ツェランとか。

      <<月うさぎ様
      コメント有難き幸せ。オジーの勢いと朔くんはある意味通じるかも(笑)僕は漫画を読んでから元の作品を読みたいと思いましたから、先に読んでおくかどうかは個人の自由だと思いますよ~。ちなみに、本作は『月刊アフタヌーン』(講談社)に連載しております。あの『寄生獣』とか『蟲師』とかを連載していた、自由奔放な雑誌なのでオススメ(?)です。
      >> 続きを読む

      2015/05/01 by ゆうぁ


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