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ジャコバン派の独裁 小説フランス革命 14 (集英社文庫)

4.0 4.0 (レビュー1件)
著者: 佐藤 賢一
定価: 670 円
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    「ジャコバン派の独裁 小説フランス革命 14 (集英社文庫)」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 4.0

      【もうどうにでもな~れ!/小説フランス革命14】
       フランス国民公会は迷走を続けます。
       ロベスピエール、ダントン、デムーランらの左派(ジャコバン派)は、革命を進めようとするのですが、ブルジョア層を代表するジロンド派の議会での優勢は揺るぎません。
       これまで、王vs民衆という対立で進んできた革命は、ルイ16世の処刑により一応の決着を見たわけですが、新たに国民代表として招集された国民公会は、必ずしも民衆の満足を勝ち得てはいないのです。

       パリは食糧難に陥っており、恐るべき物価高騰を招いています。
       庶民中の庶民であるサン・キュロットの不満は頂点に達しています。
      こんな状態になるのは、金持ち連中のせいだし、買い占めして暴利をむさぼっている悪徳商人たちのせいなのだということで、ブルジョア層を代表するジロンド派に怒りの矛先が向けられます。

       悪い癖がついたのかもしれません。
       7月革命、翌年の8月革命の成功により、何か不満があれば蜂起すれば良い、蜂起して自分たちの主張を力づくで通せば良いという考えが定着してしまったかのようです。

       そもそも、革命とは、時の為政者(革命を起こされる側)からすれば違法なものなのです。
       違法で暴力的なのですが、そこに大儀があるからこそ許容される面もなくはない。
       7月革命、8月革命の時は、それは絶対王政を倒し民主主義を樹立するという大儀が確かにありました。

       しかし、今はどうでしょうか?
       民主主義は確立し、さあこれからいよいよ憲法を制定しようという時に、国民代表である国民公会の一派(選挙によって選ばれた民衆の代表)が気にくわないからと言って蜂起が許されるのでしょうか?
       それは民主主義を自ら否定することに他ならないのではないでしょうか?

       しかし、そんな理屈はサン・キュロットには通用しません。
       いえ、議員の中の『激昂派』と呼ばれている者達も、そんな理屈など考慮することはなく、金持ちをつるし上げろ、商店を打ち壊せと扇情的に扇動する始末。
       ついには、『革命中央委員会』なるものを立ち上げ、実力で自分たちの主張を遠そうとし始めます。
       ジロンド派の22人を処刑しろ!

       またしてもパリで蜂起が起きました。
       前巻のレビューでも書きましたが、そんな有様を地方では「パリは何を勝手にやっているんだ」と見ています。
       中央vs地方の対立も生じてしまったのですね。
       地方によっては実力行使に出るところも出始めます。
       また、ジロンド派は地方に強いこともあり、パリに対抗するために地方で挙兵するように唆し始めるのです。
       フランスは内戦一歩手前まで追い詰められていきます。

       ところが……。
       どうしたことか、今回の蜂起には勢いがありません。
       そりゃそうかもしれない。
       庶民であるサン・キュロット達には、絶対王政の打倒のような錦の旗印があるわけじゃなし。
       サン・キュロットには自分たちの日々の生活だってあります。
       仕事を放り出してそんなことにかまけているヒマなんて無いんだぜというわけです。

       今回の蜂起の中心人物に祭り上げられたエベールは、その辺りを鋭く嗅ぎつけます。
       だからお前らそんなことやってちゃダメだって言うんだ。
       庶民がどうしたら動くかわかんねぇのか?
       不細工な男が女をたらしこむにはどうするんだよ。
       と、相変わらず下品な口ぶりですが、それは正鵠を突いているのかもしれません。
       金だろ、金!

       というわけで、さらに金をばらまき始めたことで蜂起に俄然勢いがついてきます。
       ついには国民公会を取り囲み、議員達を缶詰にし、自由になりたかったらジロンド派の首を差し出せと迫るに至ります。

       あぁ、この混乱はどこまで続くのか……というのが本巻の粗筋になります。
       物語的には、他の巻に比べてやや盛り上がりに欠けるというか、中だるみ的な感じも漂いますが、扱っているのがまさに混乱を深めていくフランスという時期なので、これも致し方ないかもしれません。
       このまま革命の火は消えてしまうのか?
       あるいは、フランスは暴力が通る国になって行くのか?
       待て、次巻です。
      >> 続きを読む

      2019/07/12 by

      ジャコバン派の独裁 小説フランス革命 14 (集英社文庫)」のレビュー


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