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王妃の離婚

4.7 4.7 (レビュー2件)
カテゴリー: 小説、物語
定価: 720 円

1498年フランス。時の王ルイ12世が王妃ジャンヌに対して起こした離婚訴訟は、王の思惑通りに進むかと思われた。が、零落した中年弁護士フランソワは裁判のあまりの不正に憤り、ついに窮地の王妃の弁護に立ち上がる。かつてパリ大学法学部にその人ありと謳われた青春を取り戻すために。正義と誇りと、そして愛のために。手に汗握る中世版法廷サスペンス。第121回直木賞受賞の傑作西洋歴史小説。

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    「王妃の離婚」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 5.0

      【痛快無比!王妃に惚れてまうやろ~!】
       いやぁ、掛け値なしに面白い作品でした。
       物語は1498年のフランスを舞台にします。当時の王であったルイ12世が王妃ジャンヌに対して離婚裁判を申し立てます。
       当時はキリスト教社会ですから、そもそも離婚など認められないのですが、何らかの理由(例えば近親婚であることが後で分かったとか、妻が性交渉が不能な肉体の持ち主だとか)があれば、そもそも結婚は無効であるという理屈で離婚が認められていました。
       ルイ12世というのは、美貌の王様でしたが、ジャンヌの父親であるルイ11世(暴君と名高い王でした)に無理強いされて、醜女であるジャンヌと無理矢理結婚させられたと、世間には思われていました。
       最初は、王様も可愛そうだよねという世論だったわけです。

       で、王vs王妃の離婚裁判という、世紀のイベントですから、傍聴人が押しかける裁判となりました。
       王様の申し立てに逆らうわけにもいかず、なり手がいない中ようやく王妃の弁護人となった3人もやる気全くなし。
       王妃も素直に離婚を受け入れて、実質審理に入らずに終わるのではないかと思われていたところ、王妃は王が主張するところの、近親婚である、強制されての結婚である、王妃は性交渉ができない身体である等々の申し立てを全て否認して徹底抗戦に出ます。

       弁護人もあわてふためくのですが、何ら有効な弁論をすることもできず(その気もなく)、良い様に検察官にやられっぱなしです。
       挙げ句の果てに、検察官から王妃の身体検査まで請求される始末。
       つまり、王妃はそのような性交渉が不能な身体なのだと立証しようとするわけです。
       立証ったって、裏から手を回した医者を使ってそう言わせるだけのインチキで、結局の所素直に離婚を受け入れれば良し、さもなくば生き恥をかかせるぞという申し立てであるわけです。

       さて、ここにこの裁判を傍聴している一人の田舎弁護士フランソワがいました。
       フランソワは、将来を嘱望された逸材だったのですが、先王ルイ11世の暴虐のために学問の都であるカルチェラタンを追われ、今は田舎弁護士に成り下がっていたのです。
       自分を没落させたルイ11世の実娘であるジャンヌ王妃が生き恥をかくのをせめてもの復讐にとの気持ちから裁判を傍聴していたのですが、まったくやる気のない弁護人に対しては法曹としてとんでもないと立腹してもいたのです。

       で、色々あって、王妃は突然新たな弁護人を選任する旨を裁判所に申し立てます。
       その新弁護人とは何とフランソワでした。
       フランソワはそんな申し出はすでに何度も断っていたのですが、目の前で王妃に指名された途端、持ち前の正義感、弁護士魂に火がつき、何と、あれほど敗訴を望んでいた王妃の弁護人を受けてしまうのです。

       ふっきれたフランソワは見事な弁護を始めます。
       この様子に町中の庶民は大喝采!
       最初は王様に同情的ではあったものの、何ともそのやり口が汚いということで、徐々に王妃は同情を集めていたのでした。
       そこへ颯爽と登場した新弁護人フランソワが、一発かましてくれたものだからもう大騒ぎ!
       とは言え、先行きはそんなに楽観できません。
       フランソワはいかにして王妃を勝訴に導くのか?

       という法廷ドラマなのですが、フランソワの活躍が非常に痛快です。
       筋の展開も大変面白い。
       フランソワには過去があり、その過去が王妃と徐々に結びつけていくことになるのですが、その辺の展開も上手いです。
       また、当初は醜女と描かれていた王妃が徐々に魅力的に思えてくるではないですか。
       佐藤賢一さんの作品を読むのは初めてですが、大変面白かったので、是非他の作品も読んでみたくなりました(追記:その後、さんざんっぱら読ませていただきました)。
       法律のことなんて分からなくても全く大丈夫。
       とにかく面白い作品ですので、強くオススメです。
      >> 続きを読む

      2019/03/06 by

      王妃の離婚」のレビュー

    • 上流階級のややこしい争いが絡み合った末、そこに個人の情念を起念にした権力への反旗の意思が加わることでストーリーが盛り上がる、法廷を舞台とした物語という感じでしょうか。

      権力に理不尽な扱いを受けた人間が、おかしいものはおかしいと庶民の感情を味方にしてもの言いをすることで物語が面白くなっていくんでしょうね。
      >> 続きを読む

      2019/03/06 by 月岩水

    • 主人公フランソワの活躍は小気味よいです。

      2019/03/06 by ef177

    • 評価: 5.0

       色気と諧謔を備えた歴史小説は向かうところ敵なしである。
       同じ人間とは思えない偉人が、つい色欲に目がくらむ時、彼や彼女らと私たちとの距離がぐっと近づくものだし、どんなに深刻な歴史的事件でも、いつか笑い飛ばしたいと思うのが人間の本能。もちろん、先の大戦や3・11の震災など、そう易々と笑いの種にできないものもある。個人的な見地からでは無理ですね。忘れないで教訓として心にとどめる責任がある。しかし、時の流れとは不思議なもので、いや、ここでは文学の手柄ということにしましょうか、中世フランスの王室が起こした離婚訴訟の顛末を、まるで別世界の出来事のように楽しめる。そのくせ、結婚や夫婦生活、男女のあれこれの事情は同じなんですね。生き方もまた然り。こういうところに人間が文学を求める秘密が眠っている。
       著者は佐藤賢一さん。ほんの少し前に、『女信長』で話題になりました。この『王妃の離婚』が直木賞を授賞した時も、選考委員の高い評定が取り沙汰され、とりわけ井上ひさしが大絶賛。という訳で、井上ひさしファンの方必読ですぞ。そしてもうひと方、結婚や夫婦のあれこれに関心がある人も楽しめると思う。ぼくはこっちのほうはダメですね。たまに家内がこちょこちょを仕掛けて来ますが、
       「ぼくには心に決めた人がいるから……」

      とおどけることにしてます。それでは、簡にして要を得ないあらすじをどうぞ。
       主人公の名はフランソワ・ベトゥラース。14才で大学の教養部に入り、18才の若さでマギステル(人文系の上級学位)になったほどの俊英。フランソワには同棲している恋人ベリンダがいて、互いに結婚を望んでいたけれど、フランソワが聖職者のため結婚はできなかった。このときフランソワ27才。
       時は流れてフランソワ47才。なんと彼は零落して田舎(ナント)で弁護士をしている。もちろん学問は道半ば、パリ大学を中途退学したのである。そんなフランソワがある裁判の傍聴にやって来た。被告は醜女で評判のジャンヌ・ドゥ・フランス。フランスの王妃であり、暴君ルイ11世の娘。そう、フランソワは、ルイ11世によってパリから追われたのである。彼が裁判の傍聴に赴いたのは、暴君の娘が苦しむ姿を見るためだった。
       そこで思いがけない再会。かつての後輩ジョルジュ・メスキと出会う。ジョルジュはソルボンヌの副学監まで出世しているけれど、フランソワへの敬意の念は健在だ。そのやさしさに耐えながら、ジョルジュの教え子たちも交えて裁判談義で盛り上がる。しかしフランソワは、どういう風の吹き回しかジャンヌ王妃の弁護をする羽目になって……。
      >> 続きを読む

      2015/04/10 by

      王妃の離婚」のレビュー

    • arinkoさん、コメントありがとうございます。
      ぼくは双頭の鷲ではなくて、カルチェ・ラタンとこの本と、もう一つ何か読んだ記憶があります。佐藤賢一さんの本は余生の楽しみに取っておくつもりです。
      たしかに、読むのに時間がかかるし下世話ですね。でも、だからいいんです。
      >> 続きを読む

      2015/04/10 by 素頓狂

    • 人生の機微が分かる心持ちと一定の見識を得ていないと愉しみが分かり辛そうですね。

      には難しそうです。 >> 続きを読む

      2019/03/06 by 月岩水


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