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薔薇忌 (集英社文庫)

3.0 3.0 (レビュー1件)
著者: 皆川 博子
定価: 535 円
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    「薔薇忌 (集英社文庫)」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 3.0

      【情念を感じます】
       皆川博子さんの、舞台や芝居、歌舞伎などをテーマにした短編集です。
       耽美的でもありますが、情念を感じます。
       また、「死」ということをテーマに持ってきている作品もいくつか見られます。

      ○ 薔薇忌
       アマチュア劇団の「制作」係をやっている女性の回想です。
       以前、同じ劇団にいた劇団員で、芝居の台本を書いていた男がおり、自分の台本を舞台にかけたいと考えていたのですが、ようやく台本が採用されたというのに自殺してしまうというお話。
       彼は、死ぬのなら薔薇の花びらで窒息死させられる刑罰があるけれど、そのようにして死にたいと考えていたのに……。

      ○ 祷鬼(すみません、字が出ないので略字で)
       出版社に勤める女性編集者である主人公は、とある企画で歌舞伎役者の自伝を担当することになりました。
       インタビューして、実際に本を書くのは編集の方でという条件で。
       ところが、なかなかインタビューがうまく進みません。
       落ち込んでいたところ、歌舞伎座にいた大道具係の男性から話しかけられます。
       「姉は、その桶を大切にしていました。」と、突然姉の話をされたのです。
       どうやら、姉とは腹違いのきょうだいだったようですが、お姉さんは不遇だったのでしょう。
       夜、桶に水を張って眺めていることがありました。
       こうすると、私のために祈ってくれる人の姿が見えるの。

      ○ 紅地獄
       舞台用の小道具を制作、販売する家に生まれ育った亜矢子は、突然、昔家で下働きをしていた女性の訪問を受けます。
       「丈太郎さんのことを覚えていますか?」と突然尋ねられました。
       たしかに、首師だった丈太郎という男がいて、子供だった亜矢子は随分可愛がられたし、なついていたと思い出すのですが、ある時ふと丈太郎は仕事をやめて家を出てしまったのです。
       子供だった亜矢子にはその理由が分かりませんでしたが、「亜矢子嬢ちゃんのせいでやめたのですよ。」と告げられます。

      ○ 桔梗合戦
       ある時、突然男性から電話がかかってきました。どうやらみずほの事を母と間違えて話しているようなのです。
       「母は亡くなりました。」
       驚いた電話の男性はみずほと会って話をしたいというのです。
       みずほは私生児であり、母も働いているわけではないのですが、何故か暮らし向きに困ることはありませんでした。
       母には3人の男がいたのです。
       そして、母はそれを娘のみずほに隠すようなこともしていませんでした。
       母と関係があったという3人の初老の男性に会ったところ、以前母が踊ったという舞踏を収めた8ミリフィルムを見せられたのです。
       激しい踊りでした。そして、その踊りが終わった後、母は楽屋で絶叫して桔梗柄の櫛を真っ二つに折り、火をつけたのです。
       その様子までがフィルムに収められていたのです。
       「みずほちゃん、この踊りを踊ってみないか?」

      ○ 化粧坂
       ある旅芸人一家の子供だった「ムサシ」と呼ばれた男の子の話です。
       「ムサシ」は、子供達の間に蜘蛛合戦を流行らせたのです。
       でも、しばらくすると学校から姿を消してしまいました。
       ある時、誘われて町の芝居小屋に行ってみたところそこで女形として芝居をしている「ムサシ」を見つけました。
       「ムサシ」から誘われるまま、ヒミツの場所に蜘蛛を捕りに行ったのですが……。

      ○ 化鳥
       芸能プロダクションに勤務していた主人公が、杏二という若者を見出し、プロデュースしていくお話です。
       人気は出たのですが、年を取るに従って杏二の魅力は衰えていき、今までのようなアイドル的な売り方では凋落することが目に見えていました。
       主人公がようやく独立でき、芝居関係で認められるようになった時、以前から考えていた、杏二を舞台に立たせるという企画を打ち上げたのです。
       キャスティングが面白いということで前評判は高かったのですね。
       初日の開幕直前、杏二の楽屋に行ってみたところ、初老の男が勝手に入り込んでいるではないですか。
       本当は追い出さなければと思いつつ、老人の話につい引き込まれていきます。
       どんでん返しのある一作。

      ○ 翡翠忌
       既に80歳を越えた女優の千鶴は、それでもなお容色を保っており、同業者からは「化け物」とまで言われています。
       既に良い年だというのに、急に郊外のマンションに引っ越しました。
       「近くにある森林公園が気に入ったのよ」とは言うものの。
       どうやらそれだけの理由ではなく、小劇場で演劇をしている若い男性に惹かれたかららしいのです。
       その男性も、この近くに住んでいるのだとか。
       以後、千鶴は近所を散歩するのが日課になりました。
       男性と会えるのではないかという気持ちから。
       千鶴は、その男性が出演している小劇場にも足繁く通い、男性と知り合い、また散歩の途中でも出会い、「恋をしたのよ」と言います。
       しかし、千鶴の話では、その男性は自殺してしまったというのです。
       ですが……。
       悲しいお話です。
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      2019/12/28 by

      薔薇忌 (集英社文庫)」のレビュー


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