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黒い睡蓮 (集英社文庫)

4.0 4.0 (レビュー2件)
著者: ミシェル ビュッシ
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    「黒い睡蓮 (集英社文庫)」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 4.0

      【モネの庭があるジヴェルニーで連続殺人事件が発生した。ジヴェルニーの光は犯人を照らし出すことができるか?】
       参りました。
       とんでもない作品だという評判を聞いて読んでみたのですが、見事にやられてしまいました。
       私は、この作品のトリックに最後の最後まで気がつきませんでしたよ。

       まず、この作品の冒頭で、ジヴェルニーに三人の女がいたと書かれます。
       ひとり目は意地悪で二人目は嘘つき、三人目はエゴイストだと言います。
       ひとり目は80歳を超えた寡婦、二人目は36歳で夫を裏切ったことは一度もない、今のところは。三人目はもうすぐ11歳になるということです。

       読者は、少し本編を読み始めると、ひとり目は「わたし」としか書かれない老婆のことであり、二人目はステファニーという美貌の小学校女教師、三人目はファネットという少女のことであることはすぐに分かります。

       さて、事件はモネの庭があるジヴェルニーで起こります。
       最初に語られるのはジヴェルニーで眼科医をしているジェロームという男が、胸をナイフで刺され、頭を石で殴りつけられた上、川の顔を漬けられて殺されたという事件です。
       胸にナイフを刺されたのが一番最初で、これでほぼ即死。
       その後、死体をわざわざ川の近くまで運び、そこで石で頭を殴りつけた上、顔を川に漬けたということが明らかにされます。

       私は、この事件の状況を見て、「これはオリエント急行タイプではないか?」とすぐに直感したのです。
       作中でも語られるのですが、頭を殴ったり顔を川に漬けるのは必要のない行為です。
       まるで3回殺されたかのよう。
       これは、犯人は3人で、それぞれが致命傷となり得る凶行を加え、互いの口封じにしたのではないか?
       しかし、その推理もすぐに作中で指摘され、そんな馬鹿なことはないと一蹴されてしまいます。

       この捜査に乗り出したのは、まだ若いのに署長になったローランスという警部です。
       ジェロームはかなり女癖が悪い男であったことが明らかになり、また、死体のポケットには11歳の誕生日を祝うカードが入れられていたことから、あるいは婚外子の誕生祝を考えていたのか?とも思われます。

       また、警察にはジェロームが関係を持ったと思われる5人の女性との逢引の写真が何者かにより送り付けられるのです。
       その中にはステファニーがジェロームと手をつないでいる写真もありましたが、ステファニーはただ散歩をしたことがあるだけで、おかしな関係はないと否定します。

       二番目に語られるのは、ジヴェルニーに住み着いたアメリカ人のホームレスの老人の殺害事件です。
       彼は、モネに心酔し、ジヴェルニーに住み着き、モネのようにひたすらモネの庭を描き続けている老人でした。
       その無害な老人が撲殺されるのです。
       そんな老人を殺さなければならない動機がまったく分かりません。

       そして、三番目は……この事件については触れないでおきましょう。

       本作は、この3つの事件を巡り、モネの睡蓮やジヴェルニーの村を描きながら進んでいきます。
       そして、事件を捜査するローランスは、美しいステファニーに魅了されてしまい、彼女の夫がひどい嫉妬心の持ち主であることもあって、ジェロームと妻との関係を疑った彼女の夫が犯人だと信じ込むのです。
       そこには下心がなかったと言えるでしょうか?
       彼女の夫を殺人犯として服役させてしまえば、彼女を自分のものにできると考えなかったでしょうか?
       ローランスの部下の警察官は、ローランスが暴走気味なのを憂い、掣肘しようとすらするのです。

       さて、このミステリにはあるトリックが使われています。
       そのトリック自体は、様々な作品で使われることがあるトリックであり、新規性は無いのですが、こういう形で使うとは!
       私は完全に騙されました。
       「え? だって、本には〇〇と書いてあるじゃないか!」と最初は思いましたが、なるほど、それだっておかしくはないのです。
       十分に可能だし、アンフェアではありません。

       どういうトリックなのかを書くと完全にネタバレになりますので一切触れませんが、完膚なきまでにやられました。
       なるほど~。こういう作品だったのか~。
       何か面白いミステリをお探しの方にはお勧めですよ。


      読了時間メーター
      □□□     普通(1~2日あれば読める)
      >> 続きを読む

      2020/10/17 by

      黒い睡蓮 (集英社文庫)」のレビュー

    • 評価: 4.0

      クロード・モネが晩年描いた「睡蓮」。

      その産みの村であるジヴェルニーで起きた殺人事件。
      被害者が言い寄っていた女性教師だったり、その教え子。
      村を徘徊する老女。

      それらを捜査する警部は女性教師に惹かれていき、夫が犯人であると決めつける。

      捜査の進展が遅いためか、見てるこちらも歩調を合わせるかのようにモヤモヤする。
      そして同時に違和感を感じる。

      その違和感の正体が明かされたとき、犯人と不可解な事件の謎が解ける。
      個人的には猫のネプチューンに見事に騙されたという感じ。

      長尺だが、非常によく計算されたミステリ。後の作品も楽しみに待ちたい。
      >> 続きを読む

      2018/02/07 by

      黒い睡蓮 (集英社文庫)」のレビュー


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