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岳飛伝

3.0 3.0 (レビュー1件)
カテゴリー: 小説、物語
定価: 1,680 円
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    「岳飛伝」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 3.0

      秦容、替天の夢から醒め、南翔して新たなる翼を探す。
      宣凱、青竜の刃を胸奥に秘め、極北に父の墓所を単身訪なう。

      完全に梁山泊第三世代が主役に躍り出る三巻です。
      王英の子・王貴と王清、宣賛の子・宣凱、秦明の子・秦容。
      本巻で中核となるのはこの4名の若者たちです。
      第二世代の代表格ともいうべき花飛麟は既に亡く、呼延灼は梁山泊軍総帥になり、韓成は王貴の補佐といってもいい位置に。
      いずれも一線の激しさからは身を引いたというところでしょう。

      三巻の出来事は以下のとおり。※以下、ネタバレです!要注!

      ● 梁山泊軍隊金軍の戦いも佳境に。
      罠にかかり劣勢に立たされた金軍でしたが、総大将兀朮は引くことをせず、むしろ全軍に前進を命じます。
      それに対し、強気の戦術を崩さぬ、数では遥かに劣る梁山泊軍。
      中心に、決して動かぬ山士奇率いる歩兵四万を置いた布陣で、周囲を呼延灼、秦容、蘇琪、史進率いる騎馬隊がとぐろを巻いた一匹の大蛇のように金軍に絡みつきます。
      双方が死力を尽くし、やがて弱兵が次々と斃れてゆく中、兀朮は味方の被った大打撃を知り、ついに兵を引く覚悟を決めます。
      束の間の休息も許さぬ、梁山泊軍の執拗な追撃。
      兀朮は亡き蕭珪材将軍の副官であった麻哩泚に殿軍を任せ、戦場を後にします。
      老将軍・麻哩泚は、金国将軍としてではなく、蕭珪材将軍副官と名乗りをあげ、史進の刃に命を散らします。
      史進は、誉れ高き武人に、赤心から誠意をこめた戦死を送りました。

      ● 講和をすすめよう。
      呉用が下した決断は、金国軍との戦を終息させるというものでした。
      これ以上両軍が戦ったところで、南宋に時を与えるだけ。
      戦勝したという今の利を活かし、金に自由貿易の存続を認めさせる。
      呉用が考えに考えた結論でした。
      呼延灼、秦容といった軍人は楊令の仇を未だ討っていないと意気軒昂。
      果たして金が条件を呑むか、半信半疑の様子見派も多数。
      しかし呉用はすべて押切り、全権を宣凱に託し、開封府へ向かわせます。
      またしても大任を引き受けることになった宣凱を、兀朮をはじめとする金国の首脳の面々は、喜色を浮かべて迎えることになります。
      既に、兀朮に、梁山泊に対する敵愾心は消え失せていたのです。
      あまりにも強すぎる軍との戦に嫌気がさしていたのです。

      ● 王貴が護衛する西への商隊が襲われたのは黎明。
      周辺に跋扈する賊徒であれば、自分ひとりで十分と高をくくる王貴でしたが、次第に明るくなる空に、囲まれているのは「岳」の旗を掲げた正規軍数千であることを知り、慄然となります。
      合図とともに商隊に降りそそぐ矢の雨。
      疾風のように王貴の身に近づいたのは、致死軍・羅辰。
      命からがら戦場を離脱する王貴は、幾本もの矢にその身を貫かれていました。
      担ぎ込まれたのは、何と岳飛軍の養生所。
      介抱され意識を戻した王貴は、商隊を襲ったのが岳飛軍を装った張俊軍であったことをしります。
      療養中、はからずも岳飛軍の面々と誼を通じるようになる王貴。
      交易を通じ、将来の連帯を約し、王貴は再び自由貿易の途へと帰ります。

      ● 呼延灼と秦容の激論。
      自分の指揮に確信が持てなくなった。
      秦容は自らの除隊を要請したのです。
      すべてを俺ひとりにおしつけるつもりか。
      呼延灼の引き止める声も空しく、秦容は軍を離れます。
      そして、張朔が切り拓いた南の地への憧憬にも似た思いを、現実のものにすべく、南征隊を組織します。
      しかしそれは戦のための隊にあらず。
      南国の未開の地を切り拓き、畑を作り、南方でしか育たぬ農作物を製品化し、北への貿易の途を太くするための、いわば開拓団でした。
      軍のなかでも怪我をして、戦には出られぬ者や、洞宮山で薬草製造に携わっていた元・宗教軍人を集め、秦容はその目を、遥か南方、暖かな風の吹く未開の地へとむけるのでした。

      ● 褚律が単独で探っていたのは、楊令を暗殺した欧元の素性です。
      欧鵬の甥ということで梁山泊入りした欧元。
      その出身の村へ、鍛冶屋を装って侵入する褚律。
      すると同様に欧元を調べている、体術を使う少女に戦いを挑まれて…。

      と、いったところです。

      南宋では、張俊が名誉職のように官位を上げられ、その勢力を殺がれます。
      金は変わらず兀朮が実質的な支配者。
      梁山泊では、未だ生き残っている第一世代の呉用、史進、李俊が老境に差し掛かり、近いうちにきっと命を落とします。
      切ないですが時代の流れとともに、様々なものを背負っていた者たちも代替わりをするのです。
      そういう当然のことをしっかり、あっさり描いてくれるところが、北方水滸伝の魅力ではあります。
      >> 続きを読む

      2015/12/11 by

      岳飛伝」のレビュー

    • >素頓狂さん
      いつも、コメントありがとうございます。
      円グラフはつとめてみないようにしています(苦笑)。来年はどんどん北方を薄めていく読書に励もうと思っています。
      この世代間の心のありようが微細にわたって描かれているのは確かに凄いと思います。
      年長者に対する畏怖であったり、若年に対する驚愕や優しさであったり。
      また『楊令伝』中盤あたりから、北方先生はすべてを文章にしなくなりました。
      あとは読者の方でよろしく頼む、みたいな、余韻の残る文章になってきたのが印象的です。
      ここまで読んで気付いたことは、やはり面白い小説には魅力的な主人公や、登場人物が欠かせない要素であるということです。
      主人公の楊令や岳飛だけでなく、容易に感情移入できる魅力的な脇役たちがたくさんでてきます。
      彼らそれぞれへスポットをあてる群像劇のような構成にしているので、このシリーズはかくも面白く、読者に愛されているんだと思いました。
      スピンオフやシリーズ化という昨今のエンタメ小説の潮流の基本を押さえています。
      >> 続きを読む

      2015/12/13 by 課長代理

    • >あすかさん
      いつも、コメントありがとうございます。
      呼延灼の子・呼延凌と花栄の子・花飛麟が第2世代のホープですが、秦明の子・秦容は第3世代のトップであるとともに、個人的には、楊令亡き後の梁山泊を継ぐことができるリーダーとしての資質を持つ唯一の人材と思っています。
      きらりと光る英雄的な要素が誰よりも秦容にはあると感じます。
      あすかさんのなかでまだ秦容は子午山だと思いますが、再会を楽しみにしていてください。えらくかっこいい青年になって帰ってきます!
      >> 続きを読む

      2015/12/13 by 課長代理


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