こんにちはゲストさん(ログインはこちら) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト →会員登録(無料)

言の葉は、残りて

4.0 4.0 (レビュー1件)
著者: 佐藤雫
定価: 1,815 円
いいね!

    「言の葉は、残りて」 の読書レビュー (最新順)

    最新のレビュー順 | 人気のレビュー順
    すべてのレビューとコメントを開く
    • 評価: 4.0

      佐藤雫の「言の葉は、残りて」は、第32回小説すばる新人賞を受賞したデビュー作。
      しかも作者は、まだ三十代前半という若さ。それでこれほど優れた歴史恋愛小説を書いてしまうのだから、たいしたものだ。

      摂関家の姫の信子が十二歳で嫁いだのは、鎌倉幕府三代将軍の源実朝だ。
      荒々しい武士かと恐れていた信子だが、現れたのは繊細な心を持った優しい若者だった。
      信子に導かれて和歌の世界を知り、やがて武力ではなく、言の葉の力により世を治めようと決めた実朝。

      しかし鎌倉の地は、北条家を始めとする、武士たちの権力闘争が絶えなかった。
      そして血腥い陰謀が、実朝に襲いかかるのだった--------。

      実朝と信子が主人公と知った時点で、この作品が悲劇的な色合いを帯びていることが分かった。
      なぜなら実朝は、甥の公暁によって、鶴岡八幡宮で暗殺されるからだ。

      様々な思惑が渦巻く鎌倉に馴染めないが、夫との愛情を深めていく信子。
      妻に感化され、理想の治世を目指すようになる実朝。
      夫婦の姿が清冽に描かれているだけに、ページを捲って悲劇に向かっていくのが辛い。

      それでも読む手を止められないのは、物語が抜群に面白いからだ。
      人間の善悪から目を逸らさず、それを興趣に富んだストーリーで表現する手腕は、新人離れをしていると思う。

      さらに主人公の夫婦以外の登場人物にも要注目だ。
      実在の人物が、生き生きと捉えられている。なかでも傑出しているのが、北条政子の妹で、実朝の乳母をしていた阿波局だ。

      無神経だが善良な性格を装い、毒のある言の葉を周囲に振りまく。
      そこには、過去の悲しみによる、歪んだ愛情があったのだ。
      このような複雑な人間が、鮮やかに表現されていて、実朝と信子の言の葉との対比にもなっている。

      とにかく、どこを取っても読み応え抜群で、作者の言の葉の力に感服しましたね。

      >> 続きを読む

      2021/02/24 by

      言の葉は、残りて」のレビュー


    最近この本を本棚に追加した会員

    この本に関連したオススメの本

    取得中です。しばらくお待ちください。

    言の葉は、残りて | 読書ログ

    会員登録(無料)

    今月の課題図書
    読書ログってこんなサービス
    映画ログはこちら
    読書ログさんの本棚

    レビューのある本

    最近チェックした本