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家、家にあらず

4.0 4.0 (レビュー2件)
著者: 松井 今朝子
定価: 2,052 円
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    「家、家にあらず」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 4.0

      松井今朝子の「家、家にあらず」は、愛憎と陰謀がどろどろと渦巻く、時代ミステリの傑作だ。

      この小説の舞台は、大名家の奥御殿、男子禁制の女の園だ。
      定廻り同心の娘・瑞江は、砥部和泉守へ女中奉公に上がるが、御年寄・浦尾の縁者というだけで、朋輩からネチネチと陰湿な苛めを受ける。

      頼みの浦尾は、瑞江を冷たく無視、肉親の情など欠片もない。
      やがて、御殿女中の心中、老女中の縊死、藩主の乳母の殺害と、血生臭い事件が起こる。
      瑞江は、浦尾の行動に不審を抱き、密かに事件を探索する。

      十七歳の瑞江にとって、結婚も子を産むことも自然の理だった。
      しかし、奥御殿の女たちの生き方を目の当たりにし、女としての人生を見つめ直す。

      大名家では後継ぎがいなければ、お家が断絶する。奥御殿の女は、家の存続のために存在している。
      「子を産むことだけが女の幸せなのか?」。それは時代を超え、女性が一度は直面する問題だろう。

      少子化問題が騒がれ、子を産むことを奨励する風潮に疑問を持った著者・松井今朝子が、「家」とそれを継ぐものを真正面に据えてストレートに問いかける。

      「子供って、大人の社会を存続するために産むものなの?」と瑞江は思う。
      子供を己の幸せの道具にしてはならない。
      瑞江は、浦尾の冷たい仕打ちを恨みながらも、その厳しくも潔い生き方に共鳴してゆく。

      すべてを賭して主家を守る、それこそが浦尾の人生だった。
      浦尾は、我欲にまみれた女たちに、きっぱりと言い切る。
      「天涯孤独の身なればこそ、無益な欲心にかられて、非を理に曲げるようなことは断じてござりませぬ」と。

      浦尾の矜持を受け取り、瑞江は己の生きるべき道を見い出すのだ。
      >> 続きを読む

      2020/01/07 by

      家、家にあらず」のレビュー

    • 評価: 評価なし

       江戸時代の同心の娘、瑞江は17歳になっていきなり、「おば様」という母の遠縁の浦尾から砥部(とべ)家という大名の奥御殿につとめるよう言われていきなりの御殿勤めになる所から始まります。

       奥御殿とは、大奥のようなもの。女の世界で、花嫁修業として武家のしきたりなどを習う娘など
      がいますが、大変、厳しい世界。

       殿様の目にとまって、「お手がつく」そして男子を産めば、殿様の生母という「位」が得られる
      が、殿の御寵愛を誰が受けるか、すさまじいまでの女の憎悪の世界でした。
      浦尾は、その奥座敷で一番上の位、御年寄なのです。

       厳しい、外に出られない、息がつまりそうな瑞江の日々。
      浦尾の姪だということで、嫉妬の対象になり、周りは意地悪く、つらい日々が続く。

       しかし、そんな時起った、人気歌舞伎俳優と砥部家の女の心中。中老という地位にいる玉木の自害。そしてさらに砥部家、奥座敷では血なまぐさい事件が起こります。

       乱心ゆえ・・で隠蔽されてしまう、人々の死に疑問を抱く瑞江。
      様々な謎がたたみかけるように厳しい立場の瑞江を襲います。

       女の生き方には2つある。高貴な殿の子供を産んで、女としての栄華と安泰を得る。

       または、嫁に行く。女は子供を産んで母となって初めて、その地位を得られる。
      女に三界なし、あくまでも家は「男」が継ぐもの、であり、女の生きる道は「嫁」「母」しかないのか。

       父と娘、若い女同士、男と女、母と子・・・そんな人間関係の濃密なからみあいが、がっしりとつながって、怒涛の結末へと向かうその筆力は時に凄みを増して、読んでいて恐ろしいほどの描きこみです。

       寵愛を受ける、他人から可愛がられる、ひいきにされる、とはどんな事か、そしてどんなに大変か。それがとても切なく哀しく、何も知らない瑞江は、読者と共にそんな世界を知ることとなるのです。
      >> 続きを読む

      2018/07/01 by

      家、家にあらず」のレビュー


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