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ダーティ・ワーク

3.0 3.0 (レビュー2件)
著者: 絲山 秋子
定価: 1,404 円
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    「ダーティ・ワーク」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 3.0

      7作からなる短篇集。
      それぞれの登場人物が、読み進めていくとリンクしだして、その人となりがいろんな角度から見ることが出来る。
      他人からはこう捉えられても仕方がない言動も、本人目線で綴られると感じ方が変わったり。
      登場人物の心情も、語られる物語も、厚みがあって、面白かった。
      絲山秋子は、短篇がパンチが効いてていいなあ。

      2016/06/26 by

      ダーティ・ワーク」のレビュー

    • 評価: 3.0

      若いころから洋楽をまったく嗜んでこなかったので、絲山秋子さんの『ダーティ・ワーク』という作品がストーンズの楽曲をモチーフにした小説という予備知識は、僕を長らくこの本から遠ざけていた理由になっていました。
      半年ほど手許に置いて、ようやく勇気を振り絞って手を伸ばし、しかしながら読み始めると面白くて止まらず、一晩で読み終えてしまいました。

      それぞれのタイトルもローリングストーンズの楽曲タイトルから採っているようですね。
      著者のストーンズ愛が伝わってきます。
      また、タイトルの“ダーティ・ワーク”も意味深。
      たくさんの登場人物たちが、それぞれ就いている職業だったりライフワークとしていることだったりが、みんなどこか汚い、狡い、健康的じゃない肉体的にも、精神的にも汚れ仕事をしています。
      ちょうど、世代的に社会から置き去りにされがちな年齢層の男女の、人生の一時期を切り取った連作短編集です。
      少し疲れたとか、今、人を求めてるなぁと感じている人には、心に沁み入るような佳作揃いの一冊です。

      短編7本。
      すべて『小説すばる』誌に2005年10月号~2006年10月号に亘って隔月で連載されていたものを纏めたものです。
      なかでも、僕が紹介したいのは「moonlight mile」。

      主人公・遠井(♂)は、突然の旧友からのメールにたじろぎます。
      それは、大学時代に同級生だった女性。
      彼女は、自分の事を地元の方言なのか「オレ」と呼び、まるで美人ではなくラ・ヴァッシュ・キ・リのチーズのパッケージにあるイラストの牛によく似ていました。
      服装もダサダサで、髪型にも気を遣う素振りもありませんでした。
      しかし彼女は抜群に頭がよく、博士課程へ進むほどの秀才。
      そんな彼女に、遠井はふられた過去を持っています。
      メールには近況報告が。
      「二年前から悪性リンパ腫にかかっていて、今月、転移が見つかり、土浦の病院に再入院しています。お見舞いに来てください」
      病院の地図とともに送られてきたメールに、遠井は躊躇わず勤め先へ欠勤の連絡を入れます。
      どうせ、汚い仕事です。
      今の仕事に就いてからというもの、人を騙したり、貶めたりして金儲けに明け暮れ、働きたいなんて日は一日もありませんでした。
      遠井は、愛車のカマロに乗り込み掛川の自宅を飛び出します。
      関越、外環、常磐と高速を乗り継ぎ、悪性リンパ腫について、二年ぶりに会う自分をふった女性について思いを馳せます。
      なんで俺が。
      なんでいまさら俺が。
      病院に着くと闘病でいくらか痩せましたが、間違いなく彼女。
      抗癌剤の投薬治療で病魔と、そして苦痛と必死で戦っていました。
      ですが彼女は、自分の死に対してシニカル。
      苦痛と戦うのに疲れて、はやく楽になりたいと言い募ります。
      そんな会話の最中も波のようにおしよせる激痛、慌てて周囲を取り囲む医療スタッフたち、泣きわめく彼女、鎮痛剤を投与する医師。
      遠井が気が付くと、日も暮れかけていました。
      「死ななくてよかったと思えたよ。遠井が来てくれたから」
      遠井は凝り固まった肩をぐるぐる回しながら、カマロの運転席に乗り込みます。
      アパートに帰ると出かけた時と変わらない部屋が待っていました。
      たまった洗濯もの、吸い殻で山になった灰皿、万年床。
      遠井は、いきつけの居酒屋に出掛け、いつもと違って熱い燗酒を注文します。
      あいつは生きていた。
      遠井は、自分の日常と、今日の見舞いの一部始終を肴に、ゆっくり酒をすすります。

      他の作品も、時間をずらしたり視点を変えたりした巧みな構成で、同じ一つの世界を描いていて、紹介した上記の短編も『ダーティ・ワーク』全編を織り成す世界の一部です。
      同じような手法の短編集を最近読んだのですが共通点は、やはり女性作家さん、やはりお上手な職業作家さんだったことでした。

      薄いビジュアルで油断し、タイトルのイメージで敬遠していた本書ですが、読み終える頃にはヘビー級のかたまりが残る印象の一冊。
      ただ、読後感は悪いものではなく、さすが絲山さんらしく、投げやりな生き方の中にも前向きな明るさ(これは単純さとか、あっけらかんとした楽観とかも含むのですが)を滲ませている、ある種爽快感をともなったものになっています。
      >> 続きを読む

      2016/01/08 by

      ダーティ・ワーク」のレビュー

    • >月うさぎさん
      いつも、コメントありがとうございます。

      >この小説ってバンドメンバーが仲悪いとか?そういう内容?

      まさに!連作短編の核を為す部分がふたりのバンドメンバーの確執、ナチュラルな別離、そして再会みたいな感じです。
      さすがですね~(惚々)。ストーンズも好きなんですね~。
      僕なんか、タイトルが全部英語だったので、グーグル翻訳で訳して読みました。
      ところが、全部、曲のタイトルだという。我ながら、愚鈍さに呆れ。
      またまた家内の話ですが、うちのがストーンズ大好きで。
      大学のときは、大きなべろをベロンと出したくちびるのプリントのTシャツを着て学内をカツカツ歩いていました。
      ミックが来たときは、コンサートに行ったそうです。
      僕は槇原とか、何か普通の学生の聞く音楽しか聞いていなかった。
      なんで、一緒になれたんだろうな~と、不思議です。
      彼女は「アタシが嫁にきてやったという素晴らしさを、アンタはわかっていない」と豪語している日々ですが、確かに僕はわかっていない。
      >> 続きを読む

      2016/01/08 by 課長代理

    • >ふたりのバンドメンバーの確執、ナチュラルな別離、そして再会
      なるほどなるほど、それでこのアルバムタイトル。納得です。
      このアルバムはミックとキースが険悪だったという噂というか事情があってファンの間でも評価が高くないアルバムなんです。バンドにはよくあるお話しですが。
      メンバーが揃っていない曲もあるし、まあ、ビートルズにもそういうアルバムがあって、それでもデキは素晴らしいのでさすがなんですが。
      ヒットした「ハーレム・シャッフル」はオリジナルではなくカバーですし、他の曲はそんなにパッとしないかんじ。
      ミックは 『シーズ・ザ・ボス』ってソロアルバムを出すし、デヴィッド・ボウイ&ミック・ジャガーのデュオで出した「ダンシング・イン・ザ・ストリート」 の方が大ヒットと、ストーンズのバンドとしての存在感よりもミックのほうが目立っていたんですよ。

      奥さまはロックな方なんですね。そこも気が合いそう。
      ストーンズが初来日したドームのコンサート。もちろん行きましたよぉ!
      あと何年前だったか最近も行っています。ミックは変わらないわ~♡ってことで。
      で、奥さまはこの小説は読まれました?ご興味は持たれました?

      >「アタシが嫁にきてやったという素晴らしさを、アンタはわかっていない」
      なんか私もオットに似たようなセリフを吐いたことがありそうな(^_^;)
      >> 続きを読む

      2016/01/08 by 月うさぎ


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