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疾駆する夢

4.0 4.0 (レビュー1件)
カテゴリー: 小説、物語
定価: 1,995 円

自動車作りに賭けた男の挫折と再生の物語。感涙の新・企業小説。

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    「疾駆する夢」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 4.0


      今回読了した佐々木譲の「疾駆する夢」は、自動車職人の生きざまを通して、日本の戦後史を描いた力作だ。

      今でこそ、中国や韓国などのアジア企業に押されているが、かつて日本には「世界の工場」「ものづくり大国」と呼ばれた時代があった。
      そして、それを支えた二本柱は、エレクトロニクスと自動車だ。

      しかし、太平洋戦争が終わった直後の日本は、自動車の普及など夢のまた夢と思われた時代だった。
      そのような状態から、自動車大国になるまでには、筆舌に尽くし難いドラマがあった。

      この作品は、自動車という視点から、日本経済の戦後史を克明に描き切った、読み応えたっぷりな大作になっていると思う。

      この作品は「ひとの夢を乗せて動く」自動車づくりに精魂を傾けた主人公・多門大作の半生が描かれている。

      終戦後、自動車やオートバイの整備からスタートし、原動機付きの自動車からオート三輪の製造へと幅を広げていった。

      やがて、多門自動車も小型乗用車の製造に着手。まだ年間400台程度しか売れていない小型乗用車の販売促進を狙って、多門が行なったのは、ルマン自動車24時間耐久レースへの参戦であった。

      1970年に、自動車の排出ガス汚染物質の濃度を現行の10分の1にせよという、マスキー法がアメリカで成立すると、それをクリアする新型噴射・希薄燃焼エンジンを発表する。

      そして1975年には、ガソリン価格の高騰を追い風に、25万台のコンパクトカーをアメリカに輸出。
      さらには、ホンダについで二番目に、アメリカ現地工場の建設に着手する。

      1980年代に入って多門自動車が、海外生産を急拡大するために、多額の資金調達を必要とした時、元隅銀行との関係が深まった。大株主としての影響力も増したのだった。

      そして銀行からやって来た役員が提案する拡大路線には、猛反対する多門だったが、待っていた現実はなんと-------。

      この作品に用意されている結末は、現時点では誰も考えつかないような選択肢のようだが、もしかしたら日本の自動車メーカーが、いずれたどる道なのかも知れません。

      戦後日本の自動車産業が抱えた問題・課題とは? そして、それらは、どのようにして解決されていったのか?。
      個々の企業にとって、当時の通産省の産業政策は、いかなる意味を持っていたのか?-------。

      いろいろなことを考えさせてくれる作品だ。

      終戦直後の日本には、噴き出すようなエネルギーと熱気があった。
      それは、たんに貧しかった時代の賜物なのか。

      豊かになった今の時代にも、熱いエネルギーを再現することは出来ないのだろうか-------。
      そんな著者の嘆きと期待が聞こえてきそうな作品だ。

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      2018/10/03 by

      疾駆する夢」のレビュー


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