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李陵

新撰クラシックス)
著者:
カテゴリー: 小説、物語
定価: 630 円

中島敦は、幼時よりの漢学の教養と広範な読書から得た独自な近代的憂愁を加味して、知識人の宿命、孤独を唱えた作家で、三十四歳で歿した。彼の不幸な作家生活は太平洋戦争のさなかに重なり、疑惑と恐怖に陥った自我は、古伝説や歴史に人間関係の諸相を物語化しつつ、異常な緊張感をもって芸術の高貴性を現出させた。本書は中国の古典に取材した表題作ほか『名人伝』『弟子』を収録。

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    「李陵」 の読書レビュー

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      新潮社 (2003/12)

      著者: 中島敦

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      • 評価: 5.0

        初めて読んだ、宿題が済んだ気がする。「山月記」は亡くなった年に書かれて「文学界」に掲載され「名人伝」は「文庫」に掲載。「李陵」「弟子」は遺稿としてそれぞれ「文学界」「中央公論」に掲載された。
        中島敦は昭和17年、33歳で死去。
        解説では、生涯に20編足らず、内2編が中篇で後は短編小説、中に未完のものがある。




        数こそ少ないが、珠玉のように光輝を放っていて永遠に忘れられぬ作家に列するとすれば、作品の芸術性は高く、古典の域に達しているといえよう。しかも、その代表作「弟子」や「李陵」を含めて、死の年に発表された大部分の作品について、みずからその成価を確かめる余裕を持つことが出来ずに終わった(解説より)


        「山月記」
        李徴は博学英才だったが、協調性がなく自信家で勤めをすぐにやめてしまって、詩作にふけっていた。一度は行き詰って詩作を諦めて職についたが、その時になっては、見下していた人たちの下で働くことになってしまった。自尊心が許さず、出張途中で発狂して行方不明になった。
        たった一人の友達が山でトラになった李徴に出会う。彼は本性もほとんど虎になっていたが、姿を隠して友人とは話した。そして。
        一途に求めて得られず悲惨な結末を迎えた男。

        「名人伝」
        邯鄲に紀昌という男がいた。弓の名人になろうと師匠を探して弟子入りした、言われるとおり厳しい修業を経て奥義を授けられた。100本の矢を射たが、一矢に次の矢が刺さり、順番に刺さっていってやがて一直線に続いていた。また妻といさかいをし、眼を狙って射たが、マツゲ三本を射切ってそれに妻は気がつかなかった。さらに極めるに山の老師についた。帰ってきたときはすっかり面代わりをして呆けたように見えた。みんなはこれは本当の名人だといい様々な噂が飛んだ。

        「弟子」
        孔子の弟子、子路の話。
        孔子の噂を聞いて冷やかしにふざけた格好できた子路が、話を聞いて弟子になった。彼は難しい理屈はわからないが、純朴で心から師を敬愛し、片時もはなれず付き従った。孔子も顔回と子路を特別可愛がった。孔子は頭を低くして仕官することはできなかったが、時々招かれて、職句の館に逗留することがあった。
        時は国が乱れ、争いが耐えなかった。次第に孔子の名が挙がってきたが、時には陥穽に落ちることもあった。だが子路だけは常の師を信じ、悪口を聞きつけると暴力で鎮めることがあった。孔子に諭され年を経て彼も一国を治める役目についた。孔子が訪ねてみると、子路は人に慕われ田畑は青々と茂り村は豊かだった。
        孔子は言った「善い哉、由や、恭敬にして信なり」また進んでいった「善い哉、由や、忠信にして寛なり」子路の屋敷に入り「善い哉、由や、明察にして断なり」と。
        子路(由)に会う前に孔子はその政を知った。
        一時孔子のいる魯の国に戻っていたとき、政変が起きた。子路は禄を与えて貰った魯の現衛候を擁護し叫んだ。

        「李陵」
        漢の武帝の時、李陵は兵を率いて、匈奴をうつために出兵した。匈奴までは遠く、季節は冬だった。
        幸先良い勝ち戦が続いたが、ついに5千の兵は400足らずになって辺塞にたどり着いた。敗戦の報を知らせに走った使者は自害しなければならなかった。武帝は李陵が捕らえられたと知って激怒した。すでに臣下は誰も李陵を援護しなかった。
        ただ一人司馬遷だけが異を唱えた。彼は李家の家族より先に刑罰が決まった。宮刑であった。
        彼は男をなくした。長い療養生活の末家に帰った。魂が抜けたように暮らしたが、やがてするべきことに思い当たった。そして「史記」の編纂を続けた。稿を起こして14年、腐刑の禍から8年、一通り出来上がり、また数年後史記110巻ができ、列伝第70太史公自序の最後の筆をおいた。
        李陵は北方で蘇武と出会っていた。蘇武は匈奴に馴染まず独り山暮らしをしていた。 李陵は次第に北の国に馴染んでいたが、蘇武とは時々あって話をしていた。武帝が崩じて、蘇武は漢に帰った。
        その後の李陵の記録はない。


        短編が4つ、強く感銘を受けた。
        芥川のような厭世的な暗さはないが、運命の暗さが底にある。作者の心が中国の古典を踏まえた形で、物語になっていた。
        迫力があり、純な心があり、一途に進んでいこうとする主人公の気概に、中島敦の孤独感や不安がにじんでいるのは、死を見ながら生きていたことの証のようであった。
        漢学者の一族に生まれたためか、なれない漢字や語句が多かったが、別についている注解に照らして読みながら、少し知識も増えた気がする。
        >> 続きを読む

        2015/07/10 by

        李陵」のレビュー

      • 角フェスで、今日、これ買いました。
        まだ、読める時間じゃないですけど、中国古典は興味深く楽しみにしています
        日本とはまた違う考え方が教務深い。色々影響受けてる筈なのに
        不思議と価値観が違う国の古典。
        読み終わったら、感想を書きたいと思います。
        >> 続きを読む

        2016/07/20 by ゆのき

      • 読む準備ができたんですね
        私は読みたい本が側にあるだけでニコニコしてしまいます。未読の山は増える一方です。
        中国の話といっても、正史はざっと学校で習ったくらいですが、演義などから子供用のお話を楽しんできました。
        時代を遡るとずいぶん影響しあって、命がけで文化を吸収していたのに、やはり根っこが違うのは、大陸と島国で独自の道を開いて行ったからでしょうか。
        今になると、そんな過去があったことさえ思わない時代になりましたね〜。

        中島敦という人は短命であっただけに、人生の深い境地を書き残されていますね。
        >> 続きを読む

        2016/07/21 by 空耳よ


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