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雪国

3.6 3.6 (レビュー12件)
カテゴリー: 小説、物語
定価: 380 円
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2016年11月の課題図書

頑なに無為徒食に生きて来た主人公島村は、半年ぶりに雪深い温泉町を訪ね、芸者になった駒子と再会し、「悲しいほど美しい声」の葉子と出会う。人の世の哀しさと美しさを描いて日本近代小説屈指の名作に数えられる、川端康成の代表作。

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    「雪国」 の読書レビュー (最新順)

    最新のレビュー順 | 人気のレビュー順
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    • 評価: 4.0

      数十年ぶりに読み返してみた。「いま長いトンネル抜けたよ。まっ白です。早く駒ちゃんに会いたいな」。もしスマホがある時代だったら、島村と駒子はLINEでやりとりをしていたかもしれない、なんて思いながら読んだ。

      東京在住、妻子ある金持ちおっさん(島村)が、北国で出会った若い芸者(駒子)が暮らす村を年一ペースで訪れ、逢瀬を繰り返す。

      ストーリーだけ追うと、若い娘とおっさんの切なく淡い不倫劇だが、情景や心象を映し出すおっさんの視点が高感度カメラでとらえた映像のように素晴らしく、雪の音まで聞こえてきそうな文章が映画以上に幻影的で叙情に満ちた映像美。

      この年齢になって読んだからか、全編に「縮まらない距離感」の美意識を感じた。男と女の距離感、都会と地方の距離感も今とまったく異なる時代。

      恋も旅も時間の流れが遅かったからこそ、雪国につながるトンネルはとても長く、その先にある風土、文化、歴史、愛人までも豊かな旅情を帯びる異文化世界としておっさんの目鮮明に写ったのではないだろうか。

      もしおっさんがスマホをいじりながら新幹線に乗って、駒子のもとへ通っていたなら、葉子の存在や鏡台に映り込むぼた雪など雪国の美しい移ろいにもにも気づかなかったかもしれないし、不朽の名作は生まれなかったかもしれない。

      本を閉じたあともクライマックスシーンの天の川の残像が不思議な余韻を残す。

      人と街の距離感が縮まったはずなのに、見えなくなってしまった日本の美質を映し出す鏡の残像のように美しい小説。

      流石、ワールドワイド文豪だぜ!
      >> 続きを読む

      2019/01/19 by

      雪国」のレビュー

    • スマホで不倫。と、自然を通して感じる不倫。主人公の実感の美しさもそうですが、読者としても実感が全然違いそうです。

      スマホで恋愛の障害を実感するとしたらSNSでしょうか。そこから不倫相手や同僚、嫁や娘などの家族や親戚から不倫をリークされたりしてエラいことになるという障害を想定してみました。・・・でもそうすると、下品になり幻影的で叙情に満ちた映像美という趣がサッパリなくなりそうです。
      >> 続きを読む

      2019/01/19 by 月岩水

    • 高速道路、インターネット、SNSで他者とすごく近くなったのに、恋、愛、友情、人情にかなり距離感ができてしまった現代に警鐘を鳴らすようなトンネルの長さを想像できる人間でいたいな、と思いました。 >> 続きを読む

      2019/01/19 by まきたろう

    • 評価: 4.0

      大江健三郎と並び、ノーベル文学賞を受賞している日本人である川端康成の代表作。
      難解な文章の大江とは異なり、読みやすい文章でぐいぐいページが進む。
      サラサラとした清涼飲料水のような読後感。

      2018/12/28 by

      雪国」のレビュー

    • 評価: 4.0

      遅ればせながら、読んでみました。
      無為徒食の虚無的な男、島村と、湯沢町の温泉街の芸者、駒子が織りなす物語。

      同著掲載の「川端康成 人と作品」で、竹西寛子氏は「本質的にはモノローグに依るものという点で、和歌により強く繋がっているということである。」と、論じています。

      また「雪国について」という題で、本作の解説を著した、伊藤整氏は「大変音楽的な美しさと厳しさを持っていると言い得よう。」とも評しており、和歌的で、詩的で、音楽的でありながらも、私には駒子と島村の、「この時代の人」特有の言葉の用い方・言葉のリズムから、私の好きな小津安二郎映画のそれを思い出し、東京の下町言葉のような、チャキチャキした、おきゃんな口調の駒子に、「小津安二郎映画における淡島千景」を重ねていました。

      また、この抒情的な文章は、とても「鮮烈な映像」として、私の脳内であらゆる「映像」が形成されます。時に、ノイズがかったセピア色、時にモノクロ、時にスローモーション、、、そして、抽象的な、独白調の情景描写も相まって、この点ではアンドレイ・タルコフスキーの名画「鏡」を彷彿とさせるようでもあります。

      私にはまだ、この小説の本質は分からないですが、全篇に渡って「音楽的で、詩的で、映像的でもある、儚げな和歌」を詠う感覚で読んでいるような、風情ある作品でした。
      >> 続きを読む

      2018/02/21 by

      雪国」のレビュー

    • 評価: 3.0

      一度は読んでおかないとなぁと思って読んだ本。
      ただ、そういう本はそう思った時点で義務感や偏見が生まれて疲れてしまう。

      表現が素晴らしい!と名高い本書だが、贔屓目に見てもあまりそう感じなかった。読解力の無さが原因だとは思うけど。
      むしろ句点の場所や、文章の長短が気になって、分かりにくいとすら思った。

      そしてあまり好評はなさそうなストーリーだが、逆にストーリーは面白かった。
      駒子の現代でいう病んでる系な心情や、登場したことに意味があるようなないような葉子。そしてのらりくらりしてる島村。
      「その後」を想像すると、雪の情景と共に色々思い浮かんで面白い。ハッピーエンドは思いつかないけど
      >> 続きを読む

      2017/08/14 by

      雪国」のレビュー

    • 評価: 4.0

      表現の美しさで有名だが私にはあまり響いてこなかった。

      最後の最後でホラーのように描写が怖かった。

      2016/12/23 by

      雪国」のレビュー

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      岩波書店 (2003/03)

      著者: 川端康成

      • 評価: 3.0

        「雪国」って真冬の雪に閉ざされた温泉にて人目を忍ぶ大人な男女の秘め事を通し人生の哀しさを描いているんでしょ?と思ったら全然違いました。
        季節も初冬、晩春、晩秋と雪は降ったとしても豪雪ではありません。白い世界のイメージはタイトルと冒頭の「雪国であった」の一言による先入観なのでした。
        「駒子」はむしろおきゃんな女と言える若い女だった事も驚きです。
        当時の道徳観からいって男側の意識としては18-19歳の女を買うことなどはあっけらかんとした無抵抗なものだった訳なのですね。

        川端文学は日本文学です。というと当たり前じゃないのと思われるかもしれません。
        でも日本語で書かれたから「日本文学らしい」とは言えない作家も多いのです。夏目漱石さんは明治の文豪と言われているので、純日本的小説家なのかと思われるかもしれませんが、むしろ漱石さんは英文学のプロなんですよね。そして漢文もとてもお得意なので、日本の古典の血を引いた作家ではないのです。
        では耽美な文章で知られる泉鏡花こそが日本文学なのかというとそれだけではないと思います。
        まだ「川端文学」を語るレベルには全くないのですが、きっとこれだけはいえるでしょう。
        川端の小説には日本の古典的様式と感性が表現されている。と。

        平安時代にさかのぼれる文学のスタイル、そして歌舞伎などの舞台の形式美。江戸時代に人気を博した物語の省略と誇張表現もきっと受け継いでいることでしょう。

        直接的表記はあえて避け、大胆な空白と隠喩を用い、注意深い読者にはわかる仕掛けをキーワードにして。
        自然風物を観察し新しい見方を「発見」するという短歌や俳句の伝統。
        主人公の目をとおして見える景色のディテールを詳細に描くことで舞台に自分もいるような感覚を得られ、声に出して話される言葉の生々しさをもって、人物のリアリティを生んでいく演劇的手法。

        「雪国」の駒子、そして「悲しいほど美しい声の葉子」の実在感は何と言っても彼女らの「声」のためにあるのです。

        その点が他にない面白さを持っていると感じました。

        「雪国」では物語は時系列に進むのではなく、同じ言葉や文章の繰り返しも多く、決して構成がよくできた作品ではありません。
        それもそのはず、雑誌で連載のような形で切れ切れに掲載されたものをまとめたものだったのですね。

        「雪国」を小説として評価するのは難しいです。
        主人公島村が越後湯沢の温泉芸者の駒子に会うというだけのストーリー。
        それも3年弱の期間に3回訪れただけの、情が濃いのか薄いのかよく判じかねるふわふわした「恋」のお話。
        「恋」を口にするのは一方的に駒子だけです。
        島村はというと「親の財産で」「無為徒食」の暮らしをし、文筆業をしながらぷらぷらできる贅沢な身分の、色白小太りで髭剃り後が青々としているような妻子持ちの男なんですよね。

        こういう男に惚れる気持ちに自分が全く同感できなのがまず恋愛小説としてマイナス。
        駒子が15〜16歳で売られた身の上で、島村との情事も19歳から21歳の間のお話であることも、憐れが先に立ってしまって普通の恋のお話に思えないこともマイナス。

        それでもこの小説が愛されているのは二人の女の強い印象が後を引くからなのではないかしら。
        私は駒子よりも葉子に心が惹かれましたが、彼女の存在がこの物語に陰影を与えています。
        情景描写もただの写生ではありません。冒頭の有名な文章に続く列車内の記述は特に魅力的です。

        このあたりの文学的なすばらしさはdreamerさんのレビューをぜひお読みください。
        きっとこの小説の香り立つ文章の良さがわかるでしょう。


        そこで私はちょっと別の見方を最後に書いておきます。

        「結局この指だけが、これから会いに行く女をなまなましく覚えている」
        左手の人差し指が覚えている女って…。

        「雪国」はエロい小説でした。
        起きたことを省略せずに、ありのままに映像化したなら、こっちが赤面したくなるような情事のシーンが多々出てきますが、川端は何も書かず、すっとばしています。
        それでも言葉によってそれは「表現されている」!
        なんとまあ。
        読まれて困る日記を隠語で書いてあるのを読み解くみたいですよ。
        例えば、生理中なので関係を躊躇している駒子にそんなのなんでもないよと事に及んでしまうと、女も体のことは忘れ…。
        なんてのが、想像できるように書いてあるんですよ。
        源氏物語とかの古典文学みたいでしょ?

        ぜひぜひ雪国の一番のエロな表現(しかし上品をぎりぎり壊さない職人芸)を探してみてください。
        読み取っていただければ川端さんも喜ぶと思います。


        そしてこれだけではいけない。川端康成をもっと読まないと…。これだけでは全くわからないわね。と思った次第です。
        >> 続きを読む

        2016/12/21 by

        雪国」のレビュー

      • > 月うさぎさん
        川端康成は描写が綺麗なところが好きで、行間を読ませる筆力が魅力的だと思っています。そのくせ、けっこうえげつないことを盛り込んでくるのが陰湿さが割と好きです。
        『雪国』は高校生くらいのときに読んだきりで、非常につまらなかった覚えがありますが、きっと私はその官能を味わうほどに成熟していなかったんですね…ちょっと、読み返さなくては。
        >> 続きを読む

        2016/12/30 by ワルツ

      • ワルツさん
        私も「伊豆踊り子」も「雪国」も昔は全くつまらないと思っていました。
        成長したのかしら。
        次読むとしたら「千羽鶴」かなぁ。
        >> 続きを読む

        2016/12/31 by 月うさぎ


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