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4.2 4.2 (レビュー3件)
カテゴリー: 小説、物語
定価: 460 円
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    「卍」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 5.0

      一言で言えばレズビアニズムの2人の主人公を中心に展開される愛憎悲劇(喜劇とも言える)に近しい作品なのだが、作者がこの作品によって表現することを目指しているところの、その根源的なものは、あくまでレズビアニズムによる官能性にあるのではなく、そこから生まれ出た登場人物一人一人のサディズム、マゾヒズムにある。
      風俗的な官能性は、序盤の描写において早々にクライマックスを迎え、その後は個的な心理、耽美的なエロティシズムの根源に存在する性的衝動、衝動心理と言えるものが前面に押し出され交叉するドラマが物語られていく。この流れから、我々は悲劇か喜劇となる結末を予想する。しかし、主人公二人のように物語を生み出すという器量があるとは言い難く、物語の進行においてほとんど石地蔵に蜂であったり、むしろ破壊的であったりするが故に、前述のようにこの作品を悲劇や喜劇に近しくも異なる作品としてしまう、明らかに役不足である二人の男性の介入によって、その予想は覆されていく。さらに、全編が柔らかな印象のある関西弁で語られる説話体の文章であることも、それを助長することに繋がってしまっている。
      それこそが悲劇と呼べるものなのだが、しかし、そのハンデを逆手に取り、基本主題であったサディズム、マゾヒズムとそれに起因するレズビアニズムの描写をも放擲し、悲劇にも喜劇にもなり得ない空前の“虚偽”を生成したところにこの作品の素晴らしさがある。作品を、悲劇にも喜劇にもなし得なくさせる文体や登場人物を、しかしひどく人間的で滑稽、抱腹絶倒ものながら限りなく瀟洒な”虚偽の悲劇・喜劇“足らしめるものの生成に不可欠な存在に仕立てる谷崎氏の手腕は、流石としか言えないものであろう。
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      2017/12/15 by

      」のレビュー

    • 評価: 5.0


      一見すると、
      とても美しい女性と、
      その女性の友達になった女性との友情物語。

      友達になった女性のほうは、至極まっとうな女性で、夫がいる。
      この夫も、わりと常識人で、信用の置ける人物。
      とはいえ谷崎作品の女性なのでどこか自由気ままな気質があり、夫はある程度自由にさせてくれる鷹揚さを持つ。

      問題は、とても美しい女性、光子と、
      光子と交際している男、綿貫だ。
      こちらは、二人ともが問題大アリの人物のように思える。
      どちらがより問題なのか?裏切りや嘘、芝居の繰り返しでハラハラしながら読んだ。

      ……
      とても美しい終わり方で、谷崎作品の中でもかなりお気に入りです。
      理屈を越えた美、ってあると思います。
      ――それは人を虜にする。
      この作品に強く共感する私は、マゾなのでしょうか。
      >> 続きを読む

      2016/08/01 by

      」のレビュー

    • 評価: 4.0

      読んでなかった気がして図書館で借りてきたんですが、読み始めたら読んだことがあることを思い出しました。面白かったのでそのまま最後まで再読しました。

      谷崎といえば魔性の女ですよね!今回の魔性の女は徳光光子さんです。良家の子女でありながら男だけではなく、若奥様をすら誑かします。

      谷崎は東京の人ですが、細雪でも有名なように、関西びいきです。この本も、語り手の若奥様・園子が大阪の女なので、地の文が大阪弁です。するのん、とか、いちいちかわいい。内容どろどろなんですけどね!
      文学的にどうのというのはあまりわかりませんが、谷崎らしい作品だと思います。大阪の上流階級(いわゆる「ええし」ですね)という舞台装置に、やわらかな関西弁で語られる愛憎劇というギャップ。関西弁が異国情緒を醸し出すというか、世界を作り出す装置の一つとしてうまく合っている感じです。これが東京弁だったら、また全然違う話になったでしょうね。これはキタの大阪弁でないとダメです。

      しかし光子さん、怖いなぁ。
      >> 続きを読む

      2016/07/10 by

      」のレビュー


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