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お伽草紙

4.0 4.0 (レビュー2件)
著者:
カテゴリー: 小説、物語
定価: 578 円
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    「お伽草紙」 の読書レビュー (最新順)

    最新のレビュー順 | 人気のレビュー順
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    • 評価: 5.0

      私は太宰治が創作した文学作品の中で、最も完璧な芸術作品は「お伽草紙」ではないかと思っています。

      この「お伽草紙」は、太平洋戦争の最も激しい時期に、防空壕の中で娘に聞かせた、これらのお伽噺は、彼の芸術的な資質が最も発揮された作品だと思います。

      この作品の中で太宰治は、日本の子供ならたいてい知っている物語の筋立ての中で、原作の軽快な感じを少しも損なわず、しかも世の中を暗鬱にみせるという、彼独特の"皮肉なおかしみ"に満ちた世界観を繰り広げていくのです。

      太宰治の作品を時系列的に読んできて思うのは、この太宰の持っている"皮肉なおかしみ"は、「道化の華」という作品以後、ずっと彼の作品の中に流れている一つの重要な要素ではないかと思うのです。

      考えてみれば、彼の自伝的な作品の中には、幼年時代からどれほど道化の役を務めたかを示す場面が多いような気がします。しかも、晩年の辛辣な諸作品の中にさえも、そのおかしみは消えることなく流れていると思います。

      このように思うのは、「斜陽」とともに彼の代表作の一つである「人間失格」の最後の部分にある、病的な性質と胸の病気に悩まされている主人公の葉蔵は、よく眠れるようになる前に睡眠薬を十錠も飲む。しかし、一向に眠くならない。そこで薬の箱をよく見ると、それはカルモチンではなく、ヘノモチンという下剤だったことがわかるという描写などがあったからです。

      この「お伽草紙」では、おかしみは全くおかしみそのものであって、それが"純粋な笑い"を引き起こしているのです。

      この物語集の楽しさの一つは、太宰の他の小説の中によく出て来る、お馴染みの人物-----聖人のような顔をしているが実は無慈悲な男、生活力のない芸術家、悪だくみに長けたおかみさんなど----が、効果的な掴み方で描かれていることです。

      そして、その掴み方は、太宰の分身と思えるような主人公を持つ幾つかの小説よりも、もっと巧妙に出来ていると思うのです。

      太宰治という人間を終始悩ました社会の偽善は、彼の代表作である「人間失格」の中でよりも、より一層効果的に、この物語集の中の「浦島さん」の中に描き出されていると思います。

      恐らく、太宰はこの物語を書く時に、自分自身の切羽詰まった必要性から解放されて、伝統的なお伽噺の枠の中で、自由に想像力の翼を広げ、尚且つ、優美に描いていると思います。

      この「お伽草紙」という作品のおかしみは、"自己憐憫"や"自己憎悪"で損なわれていないために、より一層鮮やかなのだと思います。

      太宰治という作家の文体に対する異常なほどの心づかいは、一つ一つの言葉の持つ意味に示した、ほとんど取り憑かれたような姿勢でわかりますが、この「お伽草紙」の文体も最も太宰らしい文体であると同時に、他の作品では見られないような"純粋なおかしみ"を色濃く持っていると思います。

      >> 続きを読む

      2017/05/19 by

      お伽草紙」のレビュー

    • >「お伽草紙」という作品のおかしみは、"自己憐憫"や"自己憎悪"で損なわれていないために、より一層鮮やかなのだと思います。
      私には太宰のユーモアが全然笑えないのですが、この小説ならもしかすると読めるかもしれません。
      dreamerさんのご指摘にある通り"自己憐憫"や"自己憎悪"という自己主張が見えすぎて、私にとっては太宰の小説はどうも受け付けないのです。文章がいいと思うのもところどころで、作品全体が一巻していないと感じます。
      最も太宰らしいとはどういう部分なのか気になります。読んでみたくなりました。
      >> 続きを読む

      2017/05/19 by 月うさぎ

    • 評価: 4.0

      抱腹絶倒、爆笑必至の痛快コメディ、著:太宰治。
      こんなことがあって良いのでしょうか…と呻かずにはいられない一冊。
      またしても意義深い書と出会ってしまいました。
      オーソドックスからちょっと逸脱した言葉の選択だったり、物事の本質を思い掛けなくも言い得て妙な言葉に置き換えられたりという日本語のセンスに面白さ、可笑しさを感じるのは森見作品で既知の事柄でしたが、本作は正にその要素が凝縮された作品。
      そのうえ時代背景や太宰作品のイメージとのギャップも効いて、兎に角笑えます。
      中学の教科書にこれが載ってたら文学部に行ってたかも。 >> 続きを読む

      2014/04/28 by

      お伽草紙」のレビュー

    • <抱腹絶倒、爆笑必至
      そんなすごいなら是非読んでみます!笑
      楽しみです!

      2014/04/28 by Lee

    • やはり太宰治というと暗いイメージが先行しますよね。
      言葉遊びも好きだし、これまでのイメージとのギャップにも期待しちゃいます。
      >> 続きを読む

      2014/04/28 by Aver


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