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午後の曳航

3.7 3.7 (レビュー5件)
カテゴリー: 小説、物語
定価: 380 円
いいね! cocodemer Tukiwami

    「午後の曳航」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 4.0

      三島氏は女性を美しく描ける作家だと改めて感心した前半の部。後半の部はエンディングまで目が離せない展開となるのであるが、この作品が書かれた時期は三島氏が「天皇」を意識し始めた転換期らしいです。そういう視点で深読みしてみるのも面白いですね。

      2019/01/12 by

      午後の曳航」のレビュー

    • 評価: 評価なし

      高遠な哲学を披瀝する13歳の少年たちにとって、セカイとはそれすなわち虚であり、それに迎合しきって、ただ生きているから生きているといったような存在となっている「父」というモノは、全く悪辣極まる存在であった。そして、栄光や死との聯関を保ちながら生きていたことで、そんな少年たちの一員である登から確かな憧れを抱かれていたにも関わらず、自らその立場を放擲し、この世で一番わるい存在である「父」となることを選択した船乗り、竜二は、初めから「父」であった存在よりも、もっとわるい存在として認識されるコトとなった。だから、竜二はもう救えない。罰を与えるコトこそが彼のためになることなのだと、彼らは確信するコトとなった。
      全くひどい逆恨みもあったモノである。セカイの真実を見抜いたつもりでいる彼らは、感情を抑制する訓練をする一方で、前述のような憎悪の念を常に抱き、勝手に憧憬し、勝手に失望し、「制裁」も行なっているわけであるが、およそ自己撞着とも言える状況を生み出している彼らの目指しているところのセカイとは一体なんであるのか。その答えは「彼らの理想とするセカイを、理想の姿のまま維持し続けるコト」に他ならないだろう。それは、彼らが成長を腐敗と同義と考えていることや、前半部分で彼らの思う完璧なセカイが構築されていて、後半部分でそれの崩壊、そして再構築を図る様子が描かれているという二部構成からも容易に想像できる。刹那の快楽に向けた貪婪な欲求の表れである。畢竟、彼らは時が過ぎ何より忌み嫌うオトナに、ひいては「父」になるコトを恐れ、あえて対極の行動を取ることにより、せめてそのことを考えないよう努めているに過ぎないのだろう。
      彼らはたしかに世の中の本質を見抜いているのかもしれないが、そんな世の当事者とはなっていなかった。
      >> 続きを読む

      2018/08/03 by

      午後の曳航」のレビュー

    • 理想の構築と再構成を目指し、現実を見ないように哲学を乱用する子供ですか。

      それを三島由紀夫さんの筆致でどれだけ豊穣に表されているのか愉しみです。 >> 続きを読む

      2019/01/12 by 月岩水

    • 評価: 4.0

      純潔たる理想と内なる美学の中の
      かつての憧れの者を通して、少年は
      純真という名の潔癖さを持って
      変わりゆく者へ、裏切りという絶望感を認識する。

      内なる世界観に無垢な残虐性が帯び始める様は、
      作者ならではの耽美の言い回しでより生々しく
      ゾクっと最後の余韻を繊細に浮かび上がらせる。
      >> 続きを読む

      2015/08/02 by

      午後の曳航」のレビュー

    • 恥美の表れがどのような美しさになるのか愉しみです。

      2019/01/12 by 月岩水

    • 評価: 4.0

      seiさんのレビューを拝見して読んでみました。

      三島由紀夫なんて聞くと、とても敷居を高く感じていたのですが、この作品は扱っているテーマの重さや際どいシーンの割には非常に読み易かったです。


      母子家庭で育つ息子が、母と船乗りの男との情事を覗き穴から目撃するという衝撃的なシーン。

      まだ大人とは言えない彼そして、友人達の、租借しきれないできごとに対しての反抗の仕方が狂気染みていながらリアルを感じさせます。

      決して後味の良い作品とは言い難いですが、読み手の感情の揺さぶられ方の振り幅が非常に大きく、存在感のある作品としては、誰も異論がないところではないでしょうか。
      >> 続きを読む

      2013/02/08 by

      午後の曳航」のレビュー

    • わーい!同じ三島経験者(笑)ですね!
      前半と後半でストーリーがまったく違ったカンジになるのがとっても印象的でした。
      確かに万人受けしそうにないですが、おっしゃるとおり存在感のある作品ですよね!異論なし!です。
      >> 続きを読む

      2013/02/09 by sei

    • そんな経験も込みでの展開とは。惨い設定だ。

      2019/01/12 by 月岩水

    • 評価: 4.0

       うーん、これはなかなか衝撃作で。三島版「恐るべき子供たち」というか。
       2部構成の第一部「夏」は他愛もないラブロマンス。
       ブティックを経営する未亡人房子はもうすぐ14歳になる息子・登と暮らすいわゆるセレブ。その彼女は実直な二等航海士・竜二と再婚予定。
       その房子と塚崎の出逢いと結婚までの過程を、巧みな心理描写と共に描写してゆくのはさすがの巧さ。年齢的に難しい登少年の母親とその恋人に対する好奇心と、自分に対して遠慮がちな大人へのシビアな視線と視点が白眉。

       で、このままメロドラマ的展開で終始するのかと思いきや、第二部「冬」でまさかの超展開。
       登少年は竜二を崇拝し憧憬の念を抱いていたが、それは彼が雄大な「海の男」であったから。それが母親と結婚し自分の父親となり、海を捨て母親の店の経営に乗り出すと知ると、その憧れは幻滅へと変わってしまう。理想ともいうべき存在から俗物へと転落した竜二への登の憎しみにも似た複雑な想い。
       そしてその登がとった行動が正直怖い。仲間とつるみ、なんと竜二殺害を計画してしまうのだ。
       まさに「恐るべき子供たち」といった様相を呈し、まるで外国文学を読んでいるかのよう。現代の少年犯罪に通じるテーマをいち早く取り入れた作者の先見の明は瞠目に値するかと。
       登少年の、大人に向ける終始一貫した冷徹な視線が恐ろしい。純粋であるがゆえに不純なもの・邪悪なものを発見した時の断罪の強さ。
       なんとなく現代の中二病を連想してしまった。少年の昏い心の闇とかね。
       未亡人と航海士との恋愛譚という大人のずるさ甘さを見事に斬って捨てた少年の純粋さ残酷さ。
       日本の、しかも今から50年近くも前にこんな斬新な小説が発表されていたことに正直驚いた。そして三島由紀夫の天才ぶりを改めて思い知ったというか。
       ずるい大人から痛いくらい純粋な子供の心理を巧みに描き分けるその手腕に脱帽の1冊だった。スゴすきる!
      >> 続きを読む

      2013/02/04 by

      午後の曳航」のレビュー

    • > emi さん
      自分も最初は三島作品ってなんだか難しそう~><
      って思っていたのですが、読んでみたら意外とするする読めたので驚きでした。
      こちらこそ読書の楽しみを共有できて嬉しいです!
      >> 続きを読む

      2013/02/09 by sei

    • 三島さんの恥美を読んでみます。

      2019/01/12 by 月岩水


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