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蟹工船

4.2 4.2 (レビュー6件)
カテゴリー: 小説、物語
定価: 420 円

A new edition of the classic The cannery boat. Labor activist Takiji Kobayashi wrote for the oppressed lower classes until he was murdered in prison by the government in 1933. Worked under deplorable conditions, the sailors on the cannery boat mutinied but were violently quashed by Japanese Navy. Included is another of his great works, "Life of a Party Member." In Japanese. Distributed by Tsai Fong Books, Inc.

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    「蟹工船」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 4.0

      題名は知ってた。でもなんとなく読む気になれなくて今まできた。
      読んだのは現代語訳なので読みやすかった。

      最初は悲惨な蟹工船の漁夫たちの有様を赤裸々に書いてる。
      クソツボと呼ばれるほど不潔で過酷だ。
      人としてでなく物として扱われ動けなくなったら捨てられる。

      資本主義を否定してるのではなくプロレタリア文学は弱い立ち場の人の見方なんじゃないかな。弱いもの同士で手を結んで理不尽な力に立ち向かって行こうとする本来あるべき全うなエネルギーだ。

      上に立つ者の資質が問題。利益ばかり優先する会社だと働く人たちは身心共につぶされてしまうだろう。企業より働く人の目線に合わせる方が国は豊かになるし幸福感が増すと思う。



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      2019/03/28 by

      蟹工船」のレビュー

    • 評価: 5.0

      小林多喜二『党生活者』を読んだ。

      だいぶ前に、『蟹工船』は読んだことがあったけれど、『党生活者』はまだ読んだことがなかった。

      感想はというと、なかなかこれは、単純には評価できない作品と思う。

      明らかに小林多喜二自身をモデルにしてある主人公が、官憲の追及を逃れながら、工場の労働者に対してビラを作成して配ったり、革命を夢見ながらも過酷な時代の中で苦悩する様子が描かれていると一応は大雑把には言える。
      子どもにキャラメルをあげたり、息子の心配をする母親とほんの一目だけ会いに行ったり、と、胸打たれる部分もある。

      しかし、この作品の奇妙な、そして問題を感じずにはいられないところは、「笠原」という女性の描き方である。

      笠原は、そこまで共産主義に理解や共鳴をしているわけではないが、一応は主人公たちの活動に好感を持ってくれている人物である。
      主人公は官憲に追われていて家を着の身着のままで脱出した後、他に頼るあてがないので、笠原の家にかくまってもらうことになる。
      その後、主人公は笠原に申しこみ、男女の仲として同棲することになる。

      主人公は日中外に出るわけにはいかないので、ヒモのように暮らす。
      笠原は会社につとめていたので働いて、主人公の生活も養ってあげる。
      しかし、いつ逮捕されるかわからない不安や緊張や、仕事や生活のストレスから、笠原が「一度としてあなたは散歩にも連れて行ってくれないじゃないの!」という愚痴を言うと、主人公はそんなのは当たり前だろうとしか思わない。
      笠原が「私は自分を犠牲にしてあなたに尽くしている!」ということを言うと、主人公は自分は生涯を犠牲にして革命に尽くしている、と思うだけである。
      その上、「伊藤」という工場につとめながらオルグをしている賢い美しい女性の同志に、どうも微妙に主人公は心惹かれていく様子が描かれる。
      その一方、笠原に対しては革命の難しい話をしても理解しないし興味もさほど持たないことに失望を深めていく。

      そうこうしているうちに、おそらくは主人公の関連で思想的なことで疑われたためか、笠原が会社を首になって仕事を失う。
      二人はすぐに生活に困り、やがて笠原はカフェの女給として、いわば今日でいうところの水商売みたいな感じの仕事を始める。
      主人公は、日中はそのお店に内緒で行って残飯を食べさせてもらったりしているにもかかわらず、笠原が徐々に堕落していくのではないか、水商売の空気に染まっているのではないかと思ったりする。
      仕事で疲れ果てた笠原がますます主人公の難しい話を聞かなくなったことに、主人公はますます失望を深めていく。
      一方、バリバリと工場のオルグで活躍する優秀な美しい同志の伊藤に心惹かれていく…。
      という様子を描いている。

      これは、ある程度は、小林多喜二の実際の事実を反映しているのだろうか。
      もし仮にそうだとすると、なんとも笠原に相当する女性が気の毒な気がする。
      かくまってやり、養ってやり、そのうえそのために会社を首になり、水商売でくたくたになっているうえに、主人公からそのように思われるなら、なんともかわいそうである。
      おそらくは、多喜二の恋人のタミさんがモデルになっていたのだろうか。
      仮に多喜二自身の話ではないとしても、当時の活動家には、そういうタイプが多々いたのかもしれない。

      だだ、逆に言えば、小林多喜二はこうしたことを書かなければ、ただただ立派な革命の英雄や聖人君子ということで通っていったのだろうけれど、自分の事実やありのままを正直に観察して描いたということは、すごいことなのかもしれない。
      一緒に暮らしている人の一人を大切にしたり大事に感謝することができずに、何が世直しだとか思う私は、たぶんプチブルの典型なのかもしれない。
      しかし、多喜二自身も、自分のそうした側面を、心のどこかで問題があると思っていた、あるいは大切な何かを見失っていると思っていたからこそ、あえて醜悪な部分まで赤裸々に描いたのかもしれない。

      多喜二は決して、聖人ではなくて、罪深い人間の一人だったということだろうか。

      もちろん、この小説の主人公は、そのまま多喜二というわけではなく、ある程度はモデルにしながらも、実際は全然違っていたのかもしれないが、あえてこうした物語を描いていた多喜二は、革命のためといって身近な人を犠牲にしていくような、そういうあり方に強い疑問や問題意識を感じ取っていた、ということは言えるのかもしれない。

      もっとも、この『党生活者』は、前編が完成したあとに、多喜二が官憲に殺されてしまったので、とうとう後編が書かれず未完の作品である。

      後半になれば、主人公や笠原や伊藤たちはどのような物語を紡いでいったかは、今となっては想像する他はない。
      完成させて欲しかったものである。
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      2017/04/22 by

      蟹工船」のレビュー

    • 評価: 4.0

      一見とっつきにくそうな、プロレタリア文学でありながら2008年に再度ブームとなった『蟹工船』。今さらながら手にとってみましたが、割と読みやすかったです。
      一気に書き上げたかのような荒削りでごつごつした文章からは情景が、においが、息づかいが、目の前にあるかのように感じられました。うがった見方をすれば、あえて文章を洗練させないことで過酷な肉体労働とは対極にあるインテリっぽさを排除しようとしたのかもしれません。

      物語の舞台はもちろん蟹工船。オホーツク海上で蟹を獲り、船上で缶詰に加工するのが漁夫たちの仕事です。彼らは不衛生でろくに食事も与えられない環境のなかで、監督の浅川によって徹底的に働かされます。
      沈没しそうな船を助けようとする船長に対して、船を借りる金を出してもいないのに勝手に寄り道するなと叱り、さらに「人情味なんか柄でもなく持ち出して、国と国との大相撲がとれるか!」と一蹴する場面からは、資本家や国際競争によって人間よりも一部の者の富や経済が重んじられる事態にあったことがうかがえます。
      もはや労働者たちは人間として扱われておらず、作中では27歳の漁夫が命を落とします。

      湯灌をしてやるために、着物を解いてやると、身体からは、胸がムカーッとする臭気がきた。そして不気味な真白い、平べったい虱が周章ててゾロゾロ走り出した。鱗形に垢のついた身体全体は、まるで松の幹が転がっているようだった。(中略)
      「カムサツカでは死にたくない。」彼は死ぬときそういったそうだった。しかし、今彼が命を落すというとき、側にキット誰も看てやった者がいなかったかも知れない。そのカムカツカでは誰だって死にきれないだろう。漁夫たちはその時の彼の気持を考え、中には声をあげて泣いたものがいた。

      もともと雑多な集団であった労働者たちが人権を踏みにじられる怒りを共有し、ひとつにまとまってゆく力がその後描かれることになります。思想としては過去の産物にすぎないのかもしれませんが、徐々に力がわきあがっていくその「うねり」の力強さと面白さがあるからこそ、今でも広くこの作品が読まれているのだろうと思いました。
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      2017/01/03 by

      蟹工船」のレビュー

    • 評価: 4.0

      名作を読もうと言う活動の一環で選択。

      実は、「まんがで読破」シリーズで一度読んでいた関係で、ストーリーについては知っていた形。

      プロレタリア文学の代表作と言われるだけ有って、カムチャッカ半島沖のカニ漁&缶詰加工(これが蟹「工船」と言う意味)における、非常に劣悪な労働環境を描いている。

      ロシアとも近いロケーションと言うことも有って、「赤化」と言う表現が見られるが、本質的には、国家のイデオロギーなどではなく、純粋に人権侵害までに至る劣悪な労働環境を打破するための労働者の結集と、行き過ぎた資本主義の批判と見るべきではないかと思う。

      この作品を読んでから、現代の社会人の状況を見てみると、なんて恵まれているのだろうと言うのが正直な感想。

      格差社会や、貧困の連鎖など、現代でも多くの問題点は依然として残っているが、少なくともここ日本では、物理的に生命を取られるような環境は、ほとんど無いのではないかと思う。

      昔話として捉えるだけでなく、(やりかたは十分考慮が必要だが)環境は自分たちが変えられるんだと言う学びを得てこそ、読んだ価値が有るのではないかと思う。

      ◆蟹工船 - まんがで読破
      http://www.dokusho-log.com/b/4872578368/
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      2014/12/15 by

      蟹工船」のレビュー

    • >格差社会や、貧困の連鎖など、現代でも多くの問題点は依然として残っているが、少なくともここ日本では、物理的に生命を取られるような環境は、ほとんど無いのではないかと思う。

       そうですね。でも、「豊かさ」や「貧しさ」というのは、本来、相対的なものなのだろうと思うのです。物質的にみれば、現代の生活保護家庭は、中世でいえば王侯貴族の生活かもしれません。しかし、それは豊かな生活とは言えないでしょう。
       拡大していく経済格差の中、現代の蟹工船が、社会のあちこちに漂い出てきたように思えます。
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      2014/12/16 by 弁護士K

    • 曲がった法による制裁を是とした時代の悲劇だとおもいます。
      自由に主義主張を表明できる今は、それによって曖昧な時代になっているのかもしれません。
      経済格差によって、豊かさは物質的なものより、精神的なものになってきているのではないでしょうか。蟹工船は追い詰められた時、象徴的に、または拠り所として出てくるように思います。
      >> 続きを読む

      2014/12/16 by 空耳よ

    • 評価: 5.0

       ぼくの持っている「蟹工船」は、新日本文庫の版です。「極私的文学館」にカバーデザインをアップしてますが、ヤフーやグーグルで画像検索しても出てこないので、けっこう珍しい画像かも。
       はじめて読んだのは高校1年生頃でしょうか。

       殺されるって分かったら?馬鹿ア、何時だ、それア。―いま、殺されているんでねえか。小刻みによ。彼奴等はな、上手なんだ。ピストルは今にもううつように、何時でも持っているが、なかなかそんなヘマはしないんだ。あれア『手』なんだ。―分かるか。彼奴等は、俺達を殺せば、自分達の方で損するんだ。目的は―本当の目的は、俺達をウンと働かせて、締木にかけて、ギイギイ搾り上げて、しこたま儲けることなんだ。そいつを今俺達は毎日やられてるんだ。―どうだ、この滅茶苦茶は。まるで蚕に食われている桑の葉のように、俺達の身体が殺されているんだ。

       諸君、とうとう来た!長い間、長い間俺達は待っていた。俺達は半殺しにされながらも、待っていた。今に見ろ、と。しかし、とうとう来た。
       諸君、まず第一に、俺達は力を合わせることだ。俺達は何があろうと、仲間を裏切らないことだ。

       ぼくはプロレタリア文学をたくさん読んでいるわけではありませんが、ぼくが読んだ中では、この作品は抜群です。おそらく、プロレタリア文学の中で、小林多喜二は別格の存在であり、小林多喜二の作品中でも「蟹工船」は別格であるとぼくは思っています。それはプロレタリアとかブルジョアとかいった枠を超え、読者を厳寒のオホーツクの海に引きずり込む言葉の力強さにおいて。

       昼過ぎから、空の模様がどこか変わってきた。薄い海霧が一面に―然しそうでないと云われれば、そうとも思われる程、淡くかゝった。波は風呂敷でもつまみ上げたように、無数に三角形に騒ぎ立った。風が急にマストを鳴らして吹いていった。荷物にかけてあるズックの覆いの裾がバタバタとデッキをたゝいた。
      「兎が飛ぶどオ―兎が!」誰か大声で叫んで、右舷のデッキを走って行った。その声が強い風にすぐちぎりとられて、意味のない叫び声のように聞こえた。
       もう海一面、三角形の頂が白いしぶきを飛ばして、無数の兎が恰も大平原を飛び上がっているようだった。―それがカムサツカの「突風」の前ブレだった。にわかに底潮の流れが早くなってくる。船が身体を横にずらし始めた。今まで右舷に見えていたカムサツカが、分からないうちに左舷になっていた。

       見る見るもり上がった山の、恐ろしく大きな斜面に玩具の船程に、ちょこんと横にのッかることがあった。と、船はのめったように、ドッ、ドッと、その谷底に落ちこんでゆく、今にも、沈む!が、谷底にはすぐ別な波がむくむくと立ち上がって、ドシンと船の横腹と体当たりをする。

       プロレタリア文学という看板で敬遠することなく、多くの人に読んでほしい一冊です。
      >> 続きを読む

      2013/05/18 by

      蟹工船」のレビュー

    •  桑田佳祐に「声に出して歌いたい日本文学」という曲があるんですよ。
      「汚れちまった悲しみに…」〜「智恵子抄」〜「人間失格」〜「みだれ髪」〜「蜘蛛の糸」〜「蟹工船」〜「たけくらべ」〜「一握の砂」〜「我が輩は猫である」〜「銀河鉄道の夜」からの引用した歌詞でのメドレー。

       二人はデッキの手すりによりかゝって、蝸牛が背のびをしたように延びて、海を抱え込んでいる函館の街を見ていた
       蟹の生ッ臭いにおいと人いきれのする「糞壺」の中に線香のかおりが、香水か何かのようにたゞよった。
       諸君、とうとう来た!長い間、長い間俺達は待っていた。俺達は半殺しにされながらも、待っていた。今に見ろ、と。しかし、とうとう来た。
       俺達は力を合わせることだ。俺達は仲間を裏切らないことだ。
       あいつらごときをもみつぶすは虫ケラよりたやすいことだ
       おい、地獄さ行くんだで
       ストライキだ

       これがまあ、コンサートでもすっごく盛り上がるんですよね、意外なことに。
      >> 続きを読む

      2013/05/18 by 弁護士K

    • カニ缶を食べたことないかもです。
      でもカニカマ美味しいからこれでいいや♪

      2013/05/18 by makoto

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