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沈黙

4.0 4.0 (レビュー12件)
カテゴリー: 小説、物語
定価: 540 円
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    「沈黙」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 5.0

      一クリスチャンとしてのレビューです。

      キリシタンが弾圧され、迫害されていた江戸時代初期の禁教時代の日本、長崎を舞台にポルトガル人司祭、日本人切支丹、そして体制側の長崎奉行の人間を通し、人間の神に対する「信仰」を問う。

      ネタバレするとダメなのであまり書けませんが、作中で何度も強調される、凄惨な拷問を受け、あっけなく殉教していく切支丹を前にした「神の沈黙」、ポルトガル人司祭は「なぜ、このような時にもあなたは沈黙しておられるのか」と、何度も訴えているのが印象的でした。

      私が考えたのは、もし今の時代、自分が棄教を強制され、明日から切支丹は棄教するまで拷問にかけます。という、禁教令が発令された場合、キチジローのように、拷問が恐ろしいからと踏み絵をすぐに踏むような、卑屈な弱々しいクリスチャンになるか、「イエスのために死ねるなら、本望だ!」と、イエスの、人類全てのための殉教に、耽美的な、至上の美を見出し、その大義のために拷問にかかり、自らをヒロイックな幻想で飾り立てて、死んでいくか、どちらかを選択しろと言われたら当然、後者の生き様の方が、殉教者として尊敬される、あるいは「俺は神のために、殉教した! 立派な最期を遂げたんだ!」と、死後、パライソ(作中でもでてきますが、ポルトガル語で、天国のこと。)での達成感も、あるかもしれませんが、イエスは後者のような、「強い人間」は求めておらず、逆にそのくらい「強い人間」は「神が俺に」ではなく、「俺が神に」になってしまう危険性も孕んでいます。

      イエスはむしろ、キチジローのように弱くて、みずぼらしく、卑屈で、自分が信仰しているはずのイコンである踏み絵もさっさと踏んでどっかにいってしまう、それでも神にすがりついてくる「救いようのない弱者」を救うために、ヒロイックな最期をもってして、人類を救済してくれたのではないでしょうか。

      クリスチャンであるために、私たちが立派になる必要はありません。
ですから、私が思ったのは、もし棄教を迫られたら、踏み絵を踏んで、権力者から離れたところで「先ほど、私は拷問の恐怖に恐れ戦いて、あなたの顔を踏みつけました。どうか赦しを与えて下さい。」と、祈るのが、クリスチャンの模範といえるのではないでしょうか。私たちが弱くなればなるほど、むしろイエス・キリストは強まり、その御名は光り輝くのです。
      >> 続きを読む

      2018/02/21 by

      沈黙」のレビュー

    • 月うさぎさん コメントありがとうございます。

      イコンについては、726年に勅令されたレオン三世による聖画像禁止令の背景には、偶像崇拝に対して更に強固に反対する人々がシリア・小アジアでムスリムに改宗する人々がいたようで、そういった事態への対抗策であったようです。ですが、ローマ教会は強く反対した、と。

      私的には、当然かもしれませんが、やはり布教に際してイコンは効果的な事と、あとは「目に見えぬ神を信仰する」という形而上的信仰を維持するために、やはり「形あるもの、目に見えるもの」に依存してしまう、人間が生来持っている「弱さ」が顕現されたのかと思います。

      『見ずに信じる者は幸いです』、イエスがトマスに言った、この言葉をクリスチャンとしては実践していきたいものです。

      明治政府による迫害の件は、初耳でした。教えて頂き、ありがとうございます😊
      >> 続きを読む

      2018/02/21 by KAZZ

    • 〉『見ずに信じる者は幸いです』
      本作にも神を見たい声を聴きたいと切実に願う場面がありましたね。

      高校の時、カトリックのミッションスクールに通っていました。
      教会や儀式、聖画、マリア像の美しさってやはり魅力的ではありますよね。
      クリスチャンではないけれど、普通にメダイヨンとか持っていましたもの。
      私、天草に行ったことがあるんです。そこの資料館に踏絵もありました。
      イエス様の顔がつるつるになっていて、ちょっとほっとした記憶があります。
      (踏んだ人が殺されないでよかったな。という意味で)
      迫害は明治のごく初期のことらしいですが、天皇を現人神とする政治を布きたかった明治政府にとって他の神をあがめる宗教は非常に邪魔だったらしいです。
      アメリカの圧力でキリスト教を認める方針に転じたという…昔も今も…ですね。
      私もキリシタン迫害=江戸時代 と思っていたので意外でした。
      >> 続きを読む

      2018/02/21 by 月うさぎ

    • 評価: 5.0

      映画を見て。
      一時期、単行本を持っていたか家にあった記憶があるけど、読んだことがなかったのは、重たくて辛そうなイメージだったから。
      そしてやっぱり、間違っていなかった!
      英語で読んだんですが、これは主人公がポルトガル人司祭なわけだし、全然違和感はない。
      むしろ、日本のこの時代の様子を傍から見るという意味で言葉というカタチから入れる。

      まずは、映画の筋書きの忠実さにびっくり。ただ映画ではどうしても表現しにくい主人公の複雑な心境や微妙な心の動きは、小説のほうが丁寧に書かれている。
      ただ、エンディングは…
      原作は映画のようではないはず、と思っていたのでスッキリ。
      遠藤周作自身のキリスト教徒であり日本人であるという(著者本人曰く)矛盾が、この作品の土台ですが、
      日本の歴史の中の暗い部分をくり抜いて曝け出し、宗教とは、社会とは、信念とは、個人の命とは、という普遍的な問題をぶつけてくる強いメッセージを持った小説。
      信念を貫き死を選ぶことは正しいのか、自分の命を惜しむことは間違っているのか弱いのか。
      では他人の死の上に申し訳なさそうに正座をして信念(宗教)を貫くのは正義なのか、諦めてもうこれ以上一人でも犠牲を出さないように心を無にして生きるのは悪なのか。

      守られた社会でしか生きてこなかった若造が大人の事情を知り成長する、という部分も重要な部分。
      勇敢な気持ちで期待していた肉体的苦痛を一度も与えられなかったという虚しさ、自分を常にキリストと比較している自惚れた傲慢さ、そして弱い者を軽蔑し、神の沈黙を疑う神父、という危うい側面はハリウッド映画としてはスッキリ来ない。
      映画上ではここが賛否両論の原因なのでは。
      でも小説ではその微妙な心境の変化も逃さずに書かれているので腑に落ちる。
      踏絵という、効率的なシステムの凄さに驚きですが、それでもキリスト教の神を信じ死を選ぶ日本人が実は歪んだキリスト教を崇拝しているという矛盾。
      じゃあ何のために彼らは死ぬのか。
      すべてを腐らせる沼である日本の中で、真のキリスト教徒として生きるにはキリスト教徒であることすべてを否定しないいけないという「悟り」の域に達する主人公。
      考えれば考えるほど、次へ次へと物語のベールは脱がされ、この小説の素晴らしさが見えてくる。
      映画がもし、素晴らしい映画だとして後世に残ることになるとしたら、讃えられるべき要素は映画製作者ではなく原作者だと思う。
      それだけ力強い小説であり、キリスト教の根本である絶対的な存在、絶対的な正義を地の奥から揺さぶるような恐ろしい物語でもある。
      >> 続きを読む

      2018/01/12 by

      沈黙」のレビュー

    • 評価: 3.0

      映画が面白かったので読んでみた。
      読んでる途中、常に『神とは?宗教とは?』を突きつけられ続けた気分。
      すごく哲学的。
      3~4回繰り返し読むと自分なりの答えが出るのでは。

      2017/12/25 by

      沈黙」のレビュー

    • 評価: 5.0

      ただ圧倒的すぎて、何も言えない。

      言葉がない。

      きっとまた読むと思う。

      2017/10/27 by

      沈黙」のレビュー

    • 評価: 4.0

      人が本当に大切にしている支え、信条みたいなものに対し、外から力を加え歪めること以上の罪はないかもしれない。江戸時代のキリシタンと司祭の物語だけど、たった今、世界で日本でおこっている物語でもあると思うとやりきれない。
      同時に信仰って何だろう。人の強さ、弱さとは何ではかるんだろうかと考えずにはいられない面白い小説だった。

      2017/06/26 by

      沈黙」のレビュー

    • 日本国憲法 第十九条
      思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。
      自民党の改正案
      思想及び良心の自由は、保障する。

      明らかな人権の後退です。なぜわざわざ「言い換える必要がある」のか?
      侵してはならないは、憲法が政治を規制している言葉です。
      保障するは保護して損害を与えないこと。「誰か」の力でお墨付きを与えることです。
      基本的人権の項目も削除すると言っています。
      やりたいことは明白です。国民に対する政府の権限拡大です。
      自民党の憲法改正がどれほど大問題なのか。
      9条だけに固執してはいけません。私達の人権を守るには。
      これを知ることから始めなければなりませんね。それも大至急。

      この小説がこういう風に読めるような時代が来るとは!
      予想さえしていませんでした…。
      >> 続きを読む

      2017/06/26 by 月うさぎ

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