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虚空遍歴

5.0 5.0 (レビュー1件)
カテゴリー: 小説、物語
定価: 662 円
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    「虚空遍歴」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 5.0


      私が敬愛してやまない作家・山本周五郎の新しい浄瑠璃の作曲に生涯を賭けた男の純粋で孤独な遍歴を描いた「虚空遍歴」(上・下巻)をじっくりと読みました。

      「この作品では、一人の人間が自分の欲する仕事に全情熱を打込んでゆく"人間の姿"を書こうとしたのです。主人公の中藤冲也が、浄瑠璃を作曲することに重点を置いていない。また芸術論を展開したものでもありません」と作者の山本周五郎は、この作品の製作意図を語っています。

      自己の全存在を賭けた新しい浄瑠璃、冲也ぶしを完成できないまま、おけい以外に誰一人として知る者もなく、旅路のはてに若くして世を去った冲也は、悲運の芸術家と言えるかも知れません。

      しかし、作者が座右の銘にしているというブロウニングの「人間の価値は、その人が死んだとき、なにを為したかで決まるのではなくて、彼が生きていたとき、なにを為そうとしたか---である」という言葉が、そのままこの作品に生きていると思います。

      また、冲也とおけいが男女の交わりをもたなかったという設定は、不自然かもしれないが、男女のなまぐさい関係がないからこそ、おけいの姿に無償の奉仕が象徴されているのだと思います。

      考えてみると、おけいの役割というのは、芸術家が乱れに乱れ、狂いに狂っても、それを静かに見つめている自我を超越した存在ではないかと思いますね。

      そして、おけいの"独白"が、同じ作者の「樅ノ木は残った」の"断章"のように、この作品に深い奥行を与えているのだと思いますね。

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      2018/04/09 by

      虚空遍歴」のレビュー


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