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東京異聞

3.5 3.5 (レビュー2件)
カテゴリー: 小説、物語
定価: 620 円
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    「東京異聞」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 4.0

      明治元年七月、江戸は東京と名を変えた。
      それから29年後-----人魂売り、首遣い、闇御前、火炎魔人といった魑魅魍魎の妖しの者どもが、帝都の闇に跳梁し、怪事件を巻き起こしていた。

      この事件を追う新聞記者・平河新太郎と便利屋の万造は、闇御前に襲われかけた鷹司侯爵家の後継候補・常熙に事情を訊くために侯爵邸を訪れた。
      やがて、新太郎は、鷹司家の家督争いが一連の事件と関連があることを知るのだった-------。

      この「東京異聞」の作者の小野不由美は、もともと「十二国記」シリーズや「悪霊」シリーズなどのティーン向けの小説で人気のあった作家で、その彼女が初めて手掛けた大人向けの作品なんですね。

      この作品は、そうした小野不由美のストーリーテラーとしての本領を発揮したもので、極彩色の絵巻物を見ているような、そんなゾクゾクするような陶酔感に私を誘ってくれるんですね。

      本格ミステリであり伝奇ミステリの味わいのあるこの作品は、開化の世を騒がす"怪異の正体"を"合理"の白日の下に曝さんと、新聞記者の平河新太郎と便利屋の大道芸人の万造が真実の解明に向けて奔走するんですね。

      一方、事件の幕間には謎の黒衣が躍り出て、娘の形をした人形と語らいを交わすことで、人形が人に変じ人が傀儡と化す"繰の宴"とでも言うべき、物語の幻想色も一気に高まっていると思う。
      そして、狂言廻しよろしく彼らを自由自在に操って、作者の小野不由美は、夢幻の都の探偵綺譚をぽつりぽつりと始めるのだ。

      跳梁跋扈する魔人たちの所業は、この世のものとも思えず、事件は混迷の極に達するが、大団円の花見の場ですべての真相は、合理的に解明される。

      しかし、この作品の真に驚くべき部分は、そのあとなんですね。
      これはもう読んでからのお楽しみとしか言えませんが、その結末に至るための伏線もきちんと張ってあって、実にうまいんですね。

      この作品は、本格ミステリの最高峰、不滅のバイブルだと信じて疑わない、中井英夫の「虚無への供物」の系譜に連なる意欲作だと思いますね。

      >> 続きを読む

      2018/07/05 by

      東京異聞」のレビュー

    • 評価: 評価なし

      「その街は海底の泥から浮上した。
      そして、帝都となる。その名は東亰(とうけい)
      東亰が帝都となったのは、明治元年七月のことである」

       ある世界を創りだすファンタジーの中で全くの架空の世界を創りだす創生主タイプと、実在する都市、国を摸して、ゆがんだ鏡の中の別の世界を創りだす鏡の国タイプがいるように思います。

       小野不由美さんは「十二国記」シリーズでは、この世とつながっている中華風の12の国を創り上げましたが、この物語は十二国記とはまた違った、ゆがんだ鏡の中の日本の明治時代を作り出しました。
      東京ではなく、首都は東亰(とうけい)

       東亰の夜に、闇御膳と言われる、髪に簪、緋色の打掛、赤姫の姿をして、鉤爪で人を襲う魔物が徘徊すると同時に現れた、流行りの塔の上で人を火達磨にして殺す、火炎魔人。

       夜になると、大きな袋に人魂を入れて、あるく人魂売りが歩きまわり、東亰の夜は暗い。

       そこで、新聞記者の平河新太郎が、友人の万造と共に、闇御膳と火炎魔人をつきとめようとします。

       そこで浮かび上がってくるのは、公爵家、鷹司(たかつかさ)家の跡目相続騒動。
      側室の子供たちの中から、跡継ぎ候補として、同じ年の男子、直(なおし)と常(ときわ)が浮上します。

       昼と夜、塔の上の火炎魔人と、路地裏に潜む闇御前。瓦斯灯の光と夜の闇。正反対の直と常。

       明治になって、西洋文化が入ってきた反面、それまでの日本の闇はもっと、もっと暗くなる。
      日本は戦争の時代、混乱の時代へと突入する。それをあざわらうかのような、闇御前と火炎魔人。

       この『東亰異聞』とほぼ同時に出たのが京極夏彦さんの『姑獲鳥の夏』、宮部みゆきさんの江戸時代ものです。新本格ミステリの嵐の中、日本の過去の時代の中での、新境地ミステリを開いた3人なのですね。

       私の本格ミステリ小説は、この『東亰異聞』から始まった、ともいえましょう。
      >> 続きを読む

      2018/06/16 by

      東京異聞」のレビュー


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