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時雨のあと

3.7 3.7 (レビュー2件)
カテゴリー: 小説、物語
定価: 546 円
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    「時雨のあと」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 4.0

      藤沢周平の時代物短編集。

      江戸時代の庶民や下級武士の人々が織りなす様々な物語。

      非常に完成度の高い短編が7話収録されている。
      これまで藤沢周平の作品は隠し剣シリーズしか読んだことが無かったのだが、こちらの作品の方が個人的には好ましいと思う。
      人の心の僅かな揺らぎというかそういった機微が上手に表現されている作品が多い。
      藤沢作品は映画化で成功した作品が多いので、ぜひこの短編集の作品も映画として撮ってもらいたいくらいだ。

      あとがきで著者の藤沢周平が何故江戸時代を背景にした作品を書くのかを語っているが、読んでて納得がいった。


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      2018/02/18 by

      時雨のあと」のレビュー

    • 評価: 4.0

      初めての藤沢周平作品。時代物もほとんど読んだことがない。
      この短編集の登場人物は下級武士だったり江戸の町人だったり、決して裕福な暮らしをしていない庶民たち。時代物と言えば悲しき仇討や悪人をバッタバッタと斬りまくる勧善懲悪もののイメージだったのですが、このお話は温かくも切ない人情ものばかり。

      【雪明かり】【闇の顔】【時雨のあと】【意気地なし】【秘密】【果し合い】【鱗雲】の7編。どれも読みやすくて、さらりと読める。素直な気持ちになれる作品が多い。


      【雪明かり】
      兄妹でありながら、兄が家柄の良い家に養子に出されたことで立場が違ってしまった兄と妹。この時代は家に縛られて生きて行かねばならなかったのだなぁと思う。
      「由乃が跳べと言っている」「いま、跳んだのか」
      ここがとても好き。

      【闇の顔】
      2人の武士が闇の中で倒れている。最初はお互いに斬り合ったものと思われたが、それには不審な点がいくつか。
      7編の中ではちょっと長編。そしてこの事件の真相を巡るミステリー仕立てで、他の6編とはテイストの違う作品です。ハラハラとする斬り合いもあり、最後はびっくり!

      【時雨のあと】
      短編集のタイトルにもなっている作品。
      もうね、兄ちゃんの金五郎がどうしようもない。でも妹のみゆきはその兄ちゃんが真面目に働いていると信じて女郎に身を落としている。そんなみゆきに金五郎は金の無心に行くのです。しかも博打の借金!
      ほんと兄ちゃんどうしようもない。でもね、憎めないのです。人間とは弱いもの。そういう人の弱さが、いとしいと思う。周りの人たちが優しいんだ。

      【意気地なし】
      妻を亡くして萎れたように生きる男は、残された赤子の面倒を見ることすらできない。見かねたおてつが赤子の面倒を見るうちに。
      母性というやつなのでしょうか。女は強いよ。

      【秘密】
      すっかりボケてしまったようなお爺のお話。近頃、難しい顔をして考え込むお爺を家族は心配しているけど、お爺が考え込んでいるのは若いころの女の話。
      お爺ちゃん、かわいい。

      【果し合い】
      今回、藤沢作品を読んだお目当てがこの作品。ドラマ化されるので先に原作を読んでおきたかったのです。
      「部屋住み」として厄介者扱いをされてきた佐之助。庄司家の当主である甥の嫁に疎まれながらも、唯一の味方はその娘の美也でした。あるとき美也に縁談話が持ち上がります。庄司家より格上の縄手家との縁談に美也の両親は乗り気になりますが、美也にはすでに想う人がいました。佐之助は自分の過去と重ね合わせながら、美也の気持ちを尊重します。美也は縁談を断りますが、恥をかかされたと怒った縄手は、美也の想う人に果し合いを申し込むのです。
      渋くて素敵な作品だとは思うのです。落ちぶれた佐之助が最後に取り戻した武士の矜持。2人の幸せを祈りたくなります。
      が、わけあって私はどうしても縄手目線で読んでしまうので、最後の「果し合いの理由」とされるところが納得いかないのですよ。そこはちゃんとしてあげようよ。

      【鱗雲】
      厳しい峠で新三郎は病に倒れた若い女を拾います。
      このお話が一番好きかも。読了感の良さが最高でした。
      新三郎は病気の女、雪江を家へ連れて帰り、母に面倒を頼みます。厄介な荷物を背負いこんですみません、と謝る新三郎に「ばかなことを言いなさい。介抱するのが当たり前です」と叱りつける母の優しさが大好きです。
      まるで母娘のように仲良くなる母と雪江。その雪江に隠し持つ固い決意。
      ラストシーンにはのどかに広がる緑と沈む夕日のコントラストが、鮮やかに目の前に広がる気がしました。


      どのお話も「万事めでたしハッピーエンド」というわけではなく、これから進む道は決して平たんではないだろうと思うけれど、その先の小さな幸せがあることを信じたくなります。
      >> 続きを読む

      2015/10/10 by

      時雨のあと」のレビュー


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