こんにちはゲストさん(ログインはこちら) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト →会員登録(無料)

からくりからくさ

4.8 4.8 (レビュー2件)
カテゴリー: 小説、物語
定価: 620 円

古い祖母の家。草々の生い茂る庭。染め織りに心惹かれる四人の娘と不思議な人形にからまる縁。蛇の夢。竜女の面。クルドの地。呪いと祈り、憎悪と慈愛。リバーシブルの布―私たちの世界。何かを探すためでなく、ただ日常を生き抜くために...。

※違う版の本の概要を表示しています。
いいね! niwashi Tukiwami

    「からくりからくさ」 の読書レビュー (最新順)

    最新のレビュー順 | 人気のレビュー順
    すべてのレビューとコメントを開く
    • 評価: 4.0

      【非常にレビューし辛い作品です】
       祖母が住んでいた古い日本家屋、今は、孫娘の蓉子が管理人を務めて、学生向けの下宿を営んでいます。
       その下宿に同居している蓉子も含めた4人の女性。
       彼女たちは、染色をし、機を織り、レースを編むなどしています。
       染色のために、様々な植物を採ってきては糸を染めて。

       本作は、そのようにして共同生活をしている4人の女性と、その家に代々伝わっている「りかさん」と名付けられた市松人形のお話です。
       彼女たちの日常の生活と、その中で起きる様々な出来事が静かな調子で語られていきます。

       この家には網戸が無く、冷房もありません。
       夏には窓を開け放しておくと蚊が入ってくるので、何とか網戸を入れたいと思うものの、お金が足りません。
       そこで、食費を削ることにして、みんなで庭に生えている草を食べてみたり。
       そうこうしているうちに秋になり、結局網戸は入れず仕舞い。

       「りかさん」の由来についても少しずつ明らかになっていきます。
       偶然というにはあまりにもできすぎた「つながり」があったり。

       何か、一つの事件に向かって物語が進んでいくというタイプの作品ではありません。
       なので、非常にレビューが難しい。

       時に淡々と、時に苦しくなるような描写が続いていきます。
       こればっかりは粗筋を書いても伝わらないと思いますし、この作品に関しては粗筋をご紹介することはあまり意味がないように思われます。

       この静かな物語は、その過程をじっくり味わうのが良いのではないでしょうか。
       それも、サマリーで確かめるのではなく、ご自身の手でゆっくりとページをめくっていただくのが良いと思います。

       梨木さんらしい、とても良い雰囲気の漂う佳作だと思います。
      >> 続きを読む

      2019/08/14 by

      からくりからくさ」のレビュー

    • 評価: 評価なし

       この物語は亡くなった祖母の家を、孫の蓉子が管理人として住み、下宿人として、紀久と与希子とアメリカ人のマーガレット、4人の女性の共同生活をすることになる風景を語ります。

       そしてもうひとり、重要な人がいます。祖母の形見ともいえる、市松人形のりかさん。

       マーガレットは、日本に針鍼灸師の資格をとるために来ていすが、他の3人は、自然のものから色を作る、染色の仕事をしています。

       何も起こらないわけではなく、特に、アメリカ人で日本にやってきたマーガレットは日本語はできるけれど、根本的な日本の慣習などは、どうして、そんなことするのか?感情を理性で押さえつけようとする傾向があります。

       だから、どうしても、わからないことがでてきてしまいますし、それを上手く、言葉できっちり説明できないことも出てきます。一番、悩み多いのはマーガレットかもしれません。

       マーガレットは、日本が好きで、アメリカだとユダヤ系とか色々細かく先祖がいつまでもついてくるアメリカに帰る気はなく、「外人」のひとことで、わかってもらえる日本がいい、という。

       詳しくは書かれていませんが、マーガレットは家庭的には、寂しい思いをして育ってきたらしいのです。

       蓉子は、逆に慈しまれて、自由に育ってきました。かといっていい家のお譲さん、というわけでもないのですが、マーガレットが言うように、「自然を慈しむように、人間を慈しむ」ことができる女性です。

       はっきりと自分の意見を言う・・・というマーガレットに比べたら、蓉子さんや他の下宿人は、あまりはっきり言わず、なんとなく、以心伝心で物事を決めるということがたくさんあります。

       梨木さんの物語の世界はとても自然にあふれていて、誰もヒステリックになることなく、急ぐことなく、色々、困ったことが起きても、人間関係にさざ波は立ちません。

       それは、家の描写、自然の描写の中で、人間が生きている・・・という緑や草や花の匂いがいつも漂っているような穏やかな文章が、大げさにいえば魂浄化効果をあげているからだと思います。
      >> 続きを読む

      2018/07/06 by

      からくりからくさ」のレビュー

    関連したレビュー

      新潮社 (1999/04)

      著者: 梨木香歩

      • 評価: 2.0

         今まで読んだ梨木さんの作品で、個人的には「風変り」に感じた一冊でした。

         蛇だったり呪いだったり…また、人間関係が複雑に絡み合う…こういった内容は私には苦手でした。

         ただ目まぐるしく変化していく環境の中、落ち着きをなくしたこのがない蓉子さんの姿にひかれました。
         あのような、優しく流れにのり、全てを見届けるだけでなく、すっぽり包んでしまう心は、とても素敵に思えました。

         また思ったのは、どんなに大好きな作者だったとしても、やはり日常の人付き合いと同じ、「合う部分」と「合わない部分」があること。
         そういう面もあったことを知って、受け入れていること。
        >> 続きを読む

        2018/01/31 by

        からくりからくさ」のレビュー

      • モッフイーさんのレビューそのものが蓉子さん的で癒されます。確かにこの作品、親子や親族、地域性、職場のいざこざ、男女関係、人種の違い等てんこもりで重い・・・と思いつつ、それぞれにフォローする人間がいて、それぞれが自分と向き合い、折り合いをつけていく、その過程が細やかに書いてあるので、それが救いでもあり、私が梨木香歩の作品で一番読み返してしまっている作品です。好みも感じ方も皆違って当たり前だし、それで良いと思うので、苦手な作品は私は結構辛口にレビューしてしまうのですが、モッフィーさんの穏やかな言葉選びを見習いたいと思います。 >> 続きを読む

        2018/02/02 by チルカル

      • ありがとうございます。
        梨木さんの作品は基本大好きで、梨木さんはお気に入りの作者なんです。けど、親友との間でもあるように、好き・嫌いな部分はそれぞれ存在していてそれはしょうがないなぁと思っています。:)
        だから、個人的にちょっと…と思った作品にあたっても、彼女の価値観・世界観の一部だととらえて、受け入れちゃいます。

        「好き」というのは、包容することでもあると学んだので…
        この作品の蓉子さんも、そのような人ではないでしょうか^^
        >> 続きを読む

        2018/02/02 by deco


    この本に関連したオススメの本

    取得中です。しばらくお待ちください。

    この本に付けられているタグ

    カラクリカラクサ
    からくりからくさ

    からくりからくさ | 読書ログ

    会員登録(無料)

    今月の課題図書
    読書ログってこんなサービス
    映画ログはこちら
    読書ログさんの本棚

    レビューのある本

    太閤の能楽師

    最近チェックした本