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さよなら渓谷

3.5 3.5 (レビュー3件)
カテゴリー: 小説、物語
定価: 420 円

緑豊かな桂川渓谷で起こった、幼児殺害事件。実母の立花里美が容疑者に浮かぶや、全国の好奇の視線が、人気ない市営住宅に注がれた。そんな中、現場取材を続ける週刊誌記者の渡辺は、里美の隣家に妻とふたりで暮らす尾崎俊介が、ある重大事件に関与した事実をつかむ。そして、悲劇は新たな闇へと開かれた。呪わしい過去が結んだ男女の罪と償いを通して、極限の愛を問う渾身の長編。

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    「さよなら渓谷」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 4.0

      読むよりずっと先に映画を見ていた。
      その頃、同じ作者で評判がいい「悪人」を読んでいたけれど、これはさほど目新しくもなく、この映画は俳優の熱演だけででよく出来上がっているのかなと思っていた。
      比べるわけではないけれど、「悪人」の方は何かテーマがありきたりで今の風潮をうけたものに過ぎないようで余り入り込めなかった。

      ただ、買ってあった、この「さよなら渓谷」は、勝手に名作だと思っている「赤目四十八瀧心中未遂」と同じような濃密な人生の一編を見せられるようで面白かった。
      生活圏の最下層に属する人たちが織り成す過去と現在、読書の世界は、現在の自分と距離がありそうでどこか重なる、そいった生きる重みがずっしりと感じ取れた。


      映画は、真木よう子と大西信満の過激な絡みが話題になったが、夏のむんむんする暑さや、隣りの主婦のわが子殺しや、その主婦と大西信満の浮気疑惑が、これは夏に読まないでよかったと思うほど、汗臭く泥臭い物語だった。

      既にこの作品は話題作だったので(映画書籍ともに)もう書きつくされた感がある、
      レイプ犯と被害者の同居関係。人生を狂わしてしまった一夜の悪ふざけの事件が、生涯の不幸の根となって生き残り根をはり、周の好奇な面白半分の目に晒される。
      それがこともあろうに事件の中でも大学生野球部と女子高校生の悪質なレイプ事件だった。

      その当事者たちは時間がたってしまったが、その間もお互い生きづらかった、そして偶然出逢ってしまう。
      二人の過去といえば、深い悲しみと、周囲の好奇な冷たい目に晒されながら生きてきた。
      他人ごとのように考え忘れることが、救いであったのかもかもしれない。自分たちもそういう風に生きたかった、だが周囲がそうさせなかった。

      寄り添いながら常に距離があるふたりを、周りの人々の生活を絡めて読ませる一冊だった。
      交互に語られる二人の過去も、いい構成だった。
      同じ作者の「横道世の介」が明るい中にもの悲しさを秘めているのに比べて、これは終始、重く暗い人生と、人はそんな中でも空気を求めるようにささやかな安らぎがあれば生きていけるのかということ、しかし過去から開放されるために何をしたのだろう。
      こういった特殊な世界でなくても、人は重い何かを背負っていることを、感じた。

      しかし根源的な愛や性に関わるのニュースや事件となると、それを見聞きする人の品性があらわになる、最近報道される日ごろの出来事を思い出した。
      >> 続きを読む

      2016/05/05 by

      さよなら渓谷」のレビュー

    • あすかさん

      こんにちは、お久し振りです。

      GWは一週間ごみ当番で、からすよけのブルーシートを持って走っていました。今日で終わりです(^∇^;
      長く住んでいるのにGWに当たったのは初めてです。
      数珠繋ぎの道路を見ながら家でのんびりしていました。

      意識してないのですが吉田修一さんの本はちょっと多目に読んでいるので、改めて好きなのかなと思っていたところです。
      なかなか積読が減らないので、300ページくらいの薄い本を選んで積み直しました。ぼちぼち頑張りまぁす。
      >> 続きを読む

      2016/05/06 by 空耳よ

    • 弁護士Kさん

      「赤目四十八瀧心中未遂」は尼崎のあの暗さがいいですね。
      時々通りますが最近随分街の印象が変わってきたように感じます。
      鳥を串に刺すアルバイトのところでは、文字通り鳥肌が立ちました。

      「赤目」は近隣の観光地になりますので歩いたり、カメラを持って出かけたりしています。上流の瀧付近は、緑が深く清冽な水音がして、あの本にあるように死に場所にふさわしいと思い、いい設定だと感じました。
      上り口のお店で、ロケ中に会ったという寺島しのぶさんの話を聞きました。

      「パークライフ」は何気ない日常がいいですね好きな作品です。
      >> 続きを読む

      2016/05/06 by 空耳よ

    • 評価: 4.0

      汗がとめどなく流れる夏、隣に住む立花里美は4才になる息子が失踪したと届けを出した。風光明媚な渓谷に打ち捨てられた萌君の遺体。マスコミはセンセーショナルに子殺しの犯人として美里を追った。逮捕された美里は赤いワンピースを着、豊かな乳房を誇示しパトカーに乗せられていった。

      隣室に住む尾崎俊介は、契約社員として工場で働く傍ら少年野球の雇われコーチをし生計を立てている。化粧っ気は無いが色気のある妻、かなこと2人暮らしている。
      そんな中、逮捕された美里は俊介との肉体関係を供述し、かなこはそれを裏付けるような証言をする。

      俊介は大学野球で将来を嘱望される野球選手だったが、大学時代にチームメイトと共謀し女子高生を集団レイプした過去を持っていた。その後大学を退学し、伝手を頼り就職するが過去に犯した犯罪から逃れる事は出来なかった。
      たまたま今回の萌君殺害事件の取材で運転手として雇われていた須田は、俊介のチームメイトでレイプ事件の首謀者の一人であった。須田からその情報を得た雑誌記者の渡辺は、俊介の犯罪への関与への確信を深めて行く。
      渡辺は記事にすべくレイプ被害者の女性の足取りを追うが、その後の彼女の人生は幸せなものでは無く、渡辺はのうのうと生きて隣人と情事にふけっていた俊介への怒りを深めて行く。
      被害者の女性はその後失踪し足取りがつかめていない。
      俊介は殺害に関与しているのか?俊介の被害者女性は一体どこへ消えてしまったのだろうか?


      読み始めから超ブルーで、「ああ、後味悪そうな話じゃのう・・・」と意気消沈して読んでいました。電車に乗る前に本が読み終わってしまったので、古本屋で時間ぎりぎりで手に取ったこの本、さよなら渓谷という爽やか目な題名だったので安心して買ったのにですよ、なんですかこのどんよりした雰囲気は。超憤慨!!と、思っていましたらばそんな事有りませんでした。
      最後まで読んだ時の悲しみと爽やかさと希望が同居する心内には渓谷の風が吹き抜けます。

      ちなみに僕が一番嫌いな犯罪の一つに強姦がございます。どういう言い訳をしても絶対に許してやらないと心に誓っております。もしも死刑でないのであればちょん切ってしまえと心から思っております。やり過ぎ?イヤイヤそれぐらいやらんと分からんでしょう
      >> 続きを読む

      2015/06/22 by

      さよなら渓谷」のレビュー

    • 僕も吉田修一さんが大好きです。
      『さよなら渓谷』はもったいなかった印象があります。
      まだ書ける、もっと深く掘り下げられる、せっかくの設定が…。
      でも、面白かったですよね。
      僕の吉田作品ナンバーワンは『平成猿蟹合戦図』。痛快な小説でした。
      >> 続きを読む

      2015/06/23 by 課長代理

    • 課長代理さん
      読み終わって読書ログ見たら前の登録者が課長代理さんだったので、まるで私ストーカーの様だなとびっくりしました。
      これ2人の関係にスポットライト当てるために簡素な感じにしたのかなと思っていたのですが、子供殺害よりも、記者の夫婦関係の方をもうちょっと書いて欲しかったなあと言う希望はあります。今回のこの本で俄然吉田さんへの興味湧いてきました。猿蟹合戦って一体・・・気になり過ぎ(@_@。
      >> 続きを読む

      2015/06/23 by ありんこ

    • 評価: 3.0

      緑豊かな桂川渓谷で起こった、幼児殺害事件。
      実母の立花里美が容疑者に浮かぶや、全国の好奇の視線が、人気ない市営住宅に注がれた。
      そんな中、現場取材を続ける週刊誌記者の渡辺は、里美の隣家に妻とふたりで暮らす尾崎俊介が、ある重大事件に関与した事実をつかむ。そして、悲劇は新たな闇へと開かれた。

      映画化されたことと、皆さんのレビューが高評価ということで、手に取った。

      物語としては一級品と思う。
      現実に秋田県で起きた児童殺害事件を下敷きにしたと思われる導入部、その事件が展開してゆくと思いきや、隣家夫婦が物語の軸であったという意外性は面白く感じた。
      また、読者のほとんどは、作中の早い段階で、隣家の妻が、過去の事件の被害者という著者の仕掛けに、気付いてしまうのだろうが、それでも読者を結末まで引き付け続ける著者の剛腕もさすが。

      ただ、キャッチコピーにある『呪わしい過去が結んだ男女の罪と償いを通して、極限の愛を問う~』というのはちょっと大袈裟かな。

      よく『悪人』と本作を比較して、物足りないと感じておられる方々のレビューを目にしたが、きっと本作は掘り下げが足りていないんだと思う(上から目線で恐縮だが)。
      まだまだ描かなければいけない人間模様、相克はたくさんあって、
      たとえば尾崎夫妻を追及する記者・渡辺の夫婦関係は中途半端に紹介されて消化不良だし、そもそもの児童殺害事件がまったく取り扱われないのは物足りないを通り越して不自然ですらある。
      もっと書くべきことがあったのに、勿体ないと思う。
      まあ、そうなったら、とてもこのボリュームではおさまりきれないと思うが。

      結末、尾崎を残し、かなこは姿を消す。
      当然のように語る尾崎に、渡辺は問う。
      なぜ、二人は幸せになろうとしないのか、幸せになればいいじゃないか。どれだけふたりつらい思いをしてきたんだ。
      児童殺害事件がおきた家の、隣家の、夫婦が出した答え。
      その解釈は読者次第と思う。
      僕も僕なりに解釈して本を閉じた。

      そんな、余韻を残す結末よりも、かなこが去って、渓谷へ下りた尾崎が、
      「考えてみれば、近くにこんないい場所があるんだから、ここに来ればよかったんですね。とにかく寝苦しくて、部屋の中で何度も寝返りを繰り返しているくらいなら、寝るのを諦めてここに来れば、よかったんです」
      と、述懐したこの言葉が、この物語をひとことで言い表しているようで、悲しく、強く、心に残った。
      >> 続きを読む

      2014/08/16 by

      さよなら渓谷」のレビュー

    • >iceさん

      いつも、コメントありがとうございます。
      結局、最初に取り上げられた児童を殺したのは誰なのか。
      それも判然としないまま終わるのです。
      話のとっかかりとしての、センセーショナルな出来事。
      するっと入っていけます。
      >> 続きを読む

      2014/08/17 by 課長代理

    • >ゆうゆうさん

      いつも、コメントありがとうございます。
      そう思っていただけたら、幸いです。
      独りよがりなレビューばかりで、皆さんのお目汚しになってばかりおりますので。
      >> 続きを読む

      2014/08/17 by 課長代理


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