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決壊

4.0 4.0 (レビュー1件)
カテゴリー: 小説、物語
定価: 700 円
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    「決壊」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 4.0

      サラリーマン沢野良介は、妻と息子との三人暮らしをする平凡な男。
      良介の兄崇は優秀で、そんな兄への羨望や嫉妬といった日常の思いをネットブログに記していた。
      中学生北崎友哉は、クラスメイト女子への叶わぬ恋心と、その女子の恋人からの暴力に耐えるといった鬱屈した思いから、殺人への夢想を膨らませていた。
      ある日、バラバラ殺人事件が起きる。
      見つかった遺体は、良介だった。
      崇は被害者家族から一転、良介殺害事件の犯人として疑われはじめる。

      良介の遺体が見つかる頃までが上巻、下巻は崇が被疑者となるところから、犯人がわかるところ、その後と描かれる。

      上巻で、人物描写として三島論をぶったりするシーンが挟まれる。
      そこがグダグダしていたことは既に書いたが、下巻に入り作者が描きたかったことが伝わってくる。

      良介の妻佳枝の気持ちが後半描かれている。
      失った家族への思い、あのときこうしていたらという後悔、犯人への思い、犯人は社会によって守られるが被害者は放り出される、それでいて好奇の目には晒される、犯人を憎んでいつまでも生きるのか、それでいいのか、憎み続けることは人間として酷いことだと言われることなのか、子供にも父親を殺した犯人への憎悪を植えつけていくのか、様々な思いに悩む。

      良介の両親の事件後も描かれる。
      父も母も壊れていく。
      自分たちに良介の死の責任はないのに、互いを思いやるゆとりも失ってしまう。
      そして、悲しむ暇もなく疑われる兄崇。
      崇には被害者家族としての労りさえかけられない。
      犯人さえも予想のつかないところで、様々なひとの人生が狂っていく。

      また、現代社会の側面としてのマスコミやネット。
      直接には被害者のことも加害者のことも知らない誰かが無責任に垂れ流す言葉。
      誰も責任は負わないし、ネットに流れた情報は回収出来ない。
      そういった言葉に煽られ、ネットによって明かされてしまう個人情報を用いて、加害者家族へ正義の代表者のような顔でぶつけられる暴言。

      特別新しい着眼ではない。
      こういった問題は今までに色々な形で提起されてきている。
      それでも、引き込まれ読ませる文章だった。

      良介を殺した犯人は誰なのか。
      本当に崇は弟を殺したのか。
      こういったことを推理して楽しむ読み物だと思っていたので、後半の佳枝や崇の心情描写が予想になく響いた。

      上巻の知識を並べ立てる部分に始まり、最後の終わり方を含め、読み手を選ぶ作品だと思う。
      文体も少し癖があるようにも感じられる。
      わたしのように推理ものとして読んでいて、何だか違うと戸惑う読者もいるのではないかと思う。そのため、せっかくの後半部分がきちんと伝わらず終わってしまうこともあるのではと思う。
      終わり方が余りにもというものだったので、もっと救いはないのかと思うところが、きっと被害者家族の気持ちをわかったようなつもりでいて全くわかろうともしていない残酷な傍観者でしかない自分を思い知った気がする。
      >> 続きを読む

      2015/10/13 by

      決壊」のレビュー

    • 近いうち読むことに決めました。
      レビュー参考になります。ありがとうございます。

      2015/10/25 by 課長代理

    • 課長代理さん
      コメントありがとうございます。

      レビューを楽しみにしています。 >> 続きを読む

      2015/10/26 by jhm


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