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太陽の塔

3.8 3.8 (レビュー12件)
カテゴリー: 小説、物語
定価: 420 円

私の大学生活には華がない。特に女性とは絶望的に縁がない。三回生の時、水尾さんという恋人ができた。毎日が愉快だった。しかし水尾さんはあろうことか、この私を振ったのであった!クリスマスの嵐が吹き荒れる京の都、巨大な妄想力の他に何も持たぬ男が無闇に疾走する。失恋を経験したすべての男たちとこれから失恋する予定の人に捧ぐ、日本ファンタジーノベル大賞受賞作。

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    「太陽の塔」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 4.0

      遠い昔の青春を思い起こさせてくれた。

      失恋して涙したことも失恋させて傷つけたことも色々あった。
      その時にフラッシュバックさせられたのは森見さんの瑞々しい文章に引き込まれたからだと思う。

      太陽の塔は憧れや自分の理想の象徴だと思ったけど若いときは空回りばかりする。でもその無駄なような悩んだ日々があったからこそ今の自分がいる。

      それを思い出させてくれたこの本に感謝したい。

      最初はただ面白いだけの本だと思ったけど・・・・(笑)
      >> 続きを読む

      2019/04/16 by

      太陽の塔」のレビュー

    • 評価: 5.0


      「何かしらの点で、彼らは根本的に間違っている。なぜなら、私が間違っているはずがないからだ」などと大それたことを言い放つ、この森見登美彦の「太陽の塔」の語り手は、京都大学を休学中の五回生。

      本当はモテたくて仕方ないくせに、まるでモテないのだから、端からすれば随分みじめな学生生活を送っているように見受けられる。
      ところが、彼は自分がモテないのは世間の方が間違っていると主張して譲らない。

      例えば「水尾さん」との一件。理屈ばかりこね回しているうえに、むさ苦しい、つまり、今時の基準では女性から鼻もひっかけてもらえないタイプの「私」にだって、実は彼女がいた時期があったのだ。

      それが水尾さん。だが、ほんの数か月で玉砕。にもかかわらず「なぜ私のような人間を拒否したのか」解せない「私」は、その後も「水尾さん研究」と称して観察を続けているのだ。

      これをストーカーと呼ばずに何と称せばいいのだろう。ところが「私」は堂々と胸を張るのだ。

      彼女は「私の人生の中で固有の地位を占めた一つの謎と言うことができた。その謎に興味を持つことは、知的人間として当然である。したがって、この研究は昨今よく話題になる「ストーカー犯罪」とは根本的に異なるものであったということに、あらかじめ読者の注意を喚起しておきたい」と。

      第15回日本ファンタジーノベル大賞を受賞した、この作品における文章は、このように常に主観と客観という二重構造を持っている。
      そして、そのズレが笑いをもたらすのだ。
      反復や誇張、間といった技巧が駆使されたこの小説は、上等なコミック・ノベルとして、非常によく出来た作品だと思いますね。

      恐ろしく緻密な頭脳の持ち主ながら、デートで観覧車に乗り込もうとした際、一緒に乗ろうとした彼女を「これは俺のゴンドラ」と押し返しフラれた経験を持つ男・飾磨、鋼鉄のような髭を生やした超弩級のオタク・高藪、世間に対し容赦ない怨念をじくじくと培養している法界悋気の権化・井戸。

      この三人に「私」を加えた、自称「四天王」が暇にあかして交わす崇高なまでにバカバカしい会話や、「男汁溢れる」妄想、彼らがクリスマスイヴに決行する壮大なまでに下らない計画は、腹筋がブチ切れそうになるほどの笑いをもたらしてくれる。

      そうした、あれこれに爆笑しつつ、しかし、このコメディーの裏に恥ずかしそうに身を隠したロマンティシズムを見つけることになるという仕掛けなんですね。

      それは、岡本太郎が大阪万博の際に製作した太陽の塔と水尾さんをめぐるエピソード。
      「私」は、「つねに異様で、つねに恐ろしく、つねに偉大で、つねに何かがおかしい」、それゆえに自分を畏怖させる世界で、最も愛する場所へと、交際中の水尾さんを誘うのだ。
      それが、実は太陽の塔なのだ。すると、その日から、水尾さんは「私」を上回るほどの情熱を、太陽の塔に傾け始める。

      すぐにフラれてはしまったけれど、でも「私」は少なくとも太陽の塔を彼女の心の奥深くに棲みつかせることは出来たのだ。
      だから、万博公園に連れていってくれる叡山電車を見かけるたび、その中に水尾さんの幻影を見ないではいられない「私」は-------。

      クリスマスイヴに四天王が起こした大騒動の後、「私」は色々なことを思い出す。
      最後の最後でようやく明かされる、おちゃらけてばかりの「私」のセンチメンタリズム。

      その切なさ、爽やかさは、読み終わった後、笑いを押しのけて強い印象として、いつまでも心に残るんですね。
      そう、これはれっきとした"恋愛小説"なんだと思う。

      韜晦と諧謔に満ちた、巧緻な語り口の著者・森見登美彦の、地の純情がはっきり見える、そのファンタスティックな世界観もまた、この作品の優れた美点だと思う。

      >> 続きを読む

      2018/11/15 by

      太陽の塔」のレビュー

    • 評価: 4.0

      3ページほど読んで「これ、絶対におもしろい!」と確信。非モテ京大生の生態と恋人を持つ者と持たざる者の格差を、ありったけの言葉で呪っているのがイカス。さほどイタく感じないのは、主人公が基本、自己肯定感で生きているからか。自意識が見え隠れしながらも、努めて論文のように考察するのもオカシイ。奇態大いに結構。大学生活はこうでなくちゃ。

      2018/05/16 by

      太陽の塔」のレビュー

    • 〉恋人を持つ者と持たざる者の格差を、ありったけの言葉で呪っている
      すごい、これぞ青春かもしれない。(笑)
      高校のころちょうど京大の学祭の時に京都に行っていて、街中をパレードしていた京大生を見かけたのですね。
      ものすごく自由でパワーがあって、京都大学って変態の集まり?
      っていうイメージがあります。(いい意味で)
      変わらずにいてほしいです。
      そういえば先日新聞報道でタテカン禁止争議が起こっていると知りました。
      学生よ、とりあえず日ヨルな。できることをがんばってみろ。
      >> 続きを読む

      2018/05/17 by 月うさぎ

    • >月うさぎさん
      コメントありがとうございます。自分は関西方面には縁がなく、京都も観光程度なのですが、リアルでも京大はユニークなんですね。おっしゃるとおりハメ外せるのが大学生の特権ですものね。ただし、命の危険がない程度に・・・。
      >> 続きを読む

      2018/05/17 by かんぞ~

    • 評価: 5.0

      最初から最後まで、森見ワールド全開。

      意味があるようで、まぁ全く意味はない。けど、やはり何か深いことがあるのかもと思って想像を膨らませてみても、やはり、全く意味はない。

      そんな本。

      途中、ぼんやり読んでいると急に世界が変わる。
      何か大きい事があっても大きくしない。
      重要な所は何も書かない。

      ほんと森見さんは変人だ。

      あー。京都に住みたい。

      …1年間ぐらい限定で。
      >> 続きを読む

      2018/04/01 by

      太陽の塔」のレビュー

    • 評価: 5.0

      森見登美彦はやはりすごい笑
      恋人にフラれ、妄想全開の主人公とそれを取り巻く友人たちが憎いクリスマスにええじゃないかと騒動を起こすだけの話ですが、豊富な語彙と文章力で構成された森見ワールドによりとても面白く読めるのです。
      好みに合えば読みやすいと思います。

      2018/02/12 by

      太陽の塔」のレビュー

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      • 評価: 4.0

        モリミーのデビュー作品。
        デビュー当時からアホ満載だったようです(笑)
        言い回しがとてもモリミー独特でユニーク。
        本の内容はただなんてことのない四畳半に住む大学生の話。
        こんな愛すべきアホ作品で
        「ええじゃないか」騒動が時を超えて復活してました(笑)

        2013/03/14 by

        太陽の塔」のレビュー

      • >「ええじゃないか」騒動が時を超えて復活してました(笑)

        参加した過ぎ・・・w

        2013/03/14 by makoto

      • >iceさん。

        モリミー面白いですよ~。
        脳内どうなってるんだろう?と思います。
        本を読んで吹き出したこと何回もあります(^^)
        本家の「走れメロス」をモリミーが書くと
        とんでもない作品に出来上がります(^^;)

        >tadahikoさん。

        アホなんですよ~。
        それがまた好きで今まで出版になった本は全部読んでます(^^)

        >ybookさん。

        確かに奇才ですよね(^^)
        面白いですよね~。
        大好きです。文章で笑わせてくれる作家さんって好きです。

        >Aslanさん。

        こんな表現したくなるくらい悪意のないアホ作品です(笑)
        自転車をレッカーされた表現とか流石です(笑)

        >makotoさん。

        私もその騒動に参加したくなりました(笑)
        多分、キッカケがあれば今でも出来そう(^^)
        >> 続きを読む

        2013/03/16 by igaiga


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