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ニシノユキヒコの恋と冒険

3.3 3.3 (レビュー2件)
カテゴリー: 小説、物語
定価: 460 円

ニシノくん、幸彦、西野君、ユキヒコ...。姿よしセックスよし。女には一も二もなく優しく、懲りることを知らない。だけど最後には必ず去られてしまう。とめどないこの世に真実の愛を探してさまよった、男一匹ニシノユキヒコの恋とかなしみの道行きを、交情あった十人の女が思い語る。はてしなくしょうもないニシノの生きようが、切なく胸にせまる、傑作連作集。

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    「ニシノユキヒコの恋と冒険」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 評価なし

      「ユキヒコはあおざめていた。
      わたしのことを、甘くみていたのだ。いつもいつも。
      わたしはユキヒコを甘くみていなかったのに。
      でも、甘くみあわないで、どうやってひとは愛しあえるだろう。
      許しあって、油断しあって、ほんのすこしばかり見くだしあって、
      ひとは初めて愛しあえるんじゃないだろうか。」

       以前、読んでいたのですが、配信で映画版を観たので再読。

       川上弘美さんの「恋愛の実感度」が非常にうまく出ている小説でした。
      漢字を少なくして、簡単なようで、深いのは川上文学の特徴です。
       
       西野幸彦は、たくさんの女性とつきあう。
      各章は、そのつきあった女性たちの目から描かれており、西野君、ニシノさん、ユキヒコ、ニシノ・・・と女性たちはそれぞれに名前を呼ぶ。
      たくさんの女性とつきあっても、「恋」が出来ないニシノユキヒコ。

       たくさんの女のひとにもてて、つきあって、ふられる男、ニシノユキヒコ。
      確かに魅力的な男ではあるのですが、何かが足りない。だから女達はニシノユキヒコとつきあうけれど、結婚したりはしない、去っていく。でも、ニシノユキヒコは憎まれない。

       女性たちはニシノユキヒコに固執しない。
      好き、と言わず、「好きになったのかな・・・・」といった漠然とした気持を抱くだけです。
      つきあう女性がニシノユキヒコを好きになっても「恋」はしない、というきっぱりとした線を皆、引いているようです。冷静な女たち。

       恋愛小説なのに恋が出てこない、女性たちとのあれこれも「冒険」ではない。
      そしてはかなかったニシノユキヒコの一生。
      そんな微妙な男女関係が本当によく描けていると思います。

       映画は、恋愛の実感を撮るのが上手い井口奈己監督。
      ニシノユキヒコを演じたのは竹野内豊。飄々とした雰囲気が良かったですし、周りに登場する女優さんたちも豪華。でも、独特の長回しやゆったりとしたテンポが独特の空気を持つ映画でした。
        
       ニシノユキヒコは、幽霊になっても、「好き」になってもらえない。寂しい、哀恋物語です。
      >> 続きを読む

      2018/06/01 by

      ニシノユキヒコの恋と冒険」のレビュー

    • 評価: 4.0

      こんなひとがもし本当に目の前に現れて「あなたは他の人とは違うから」なんて言われた日には、陥落してしまうに違いない。好きにならないように意識するとか、しないと。どんなに背後にほかの女の影がいても、自分が一番だと思ってしまう、あるいは、一番でないことを承知することでイーブンを保とうとしてしまう、ような。そんな気持ちにさせる男、ニシノユキヒコ。

      はたして彼の一生は幸福だったのか。数多くの女性と浮名を流して、しかし結婚はせず、誰もが彼のもとを去ったのは、彼が博愛主義者だったから。だれにでもやさしい、は、だれのことも好きではない、ということ。

      しかしニシノユキヒコの精神分析はまぁ置いておいて、この連作短編集の話の置き方に川上弘美のセンスを感じます。時系列ではない、あっちへ行ったりこっちへ行ったり、自在に時間を飛び越すのは、さすがです。そしてそれらの配置が最高の効果を生んでいると思います。完璧な布陣。

      ニシノ自身の独白はないけれど、彼は本当に結婚したいなんて思っていたのか。『ぶどう』の愛にみせた執着は、彼女がニシノに執着しなかったからだとか、心理学的にはいろいろ言えるかもしれないけれど、この小説のキモはそこではない気がする。ただの女たらしでもない、ニシノユキヒコ。不思議な人だ。どこにもいなくて、どこにでもいる感じ。
      川上弘美って感じ。ほんとうに、個々の話のしんみり感もさることながら、並び順がすばらしかったです。この順番でなければいけなかった、と思う。
      >> 続きを読む

      2016/12/06 by

      ニシノユキヒコの恋と冒険」のレビュー

    • >ただの女たらしでもない、ニシノユキヒコ。不思議な人だ。
      光源氏の現代版ですね。それにしては名前がカッコよくないですが。
      本当は匿名にしたかったのかもしれませんね。
      主人公は男だけれどきっと実際の主役は個々の女性たちですよね。
      >> 続きを読む

      2016/12/07 by 月うさぎ

    • > 月うさぎさん
      確かに、匿名にしたかったのかもしれません。どこにでもいるけど、どこにもいないようなキャラクタです。
      連作短編集ですが、語り手はすべて周りの女性たちです。なので、ニシノユキヒコという男を周りの女性の目を通して浮き彫りにしていく感じです。とはいえ彼女たちのそれぞれの視点やものの見方が作品を支えているので、主役はニシノユキヒコであり、周りの女たちであり、なのでしょう。
      >> 続きを読む

      2016/12/10 by ワルツ


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