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血の日本史 (新潮文庫)

4.0 4.0 (レビュー1件)
著者: 安部 龍太郎
定価: 853 円
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    「血の日本史 (新潮文庫)」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 4.0


      歴史小説が面白い。安部龍太郎の「血の日本史」は、古代から明治までの「血」で彩られてきた日本の歴史を、従来の視点とは異なる斬新な発想で書かれた、46の短篇小説からなる作品だ。

      歴史とは、戦争に勝利した側が、自分たちを正当化するために書くものだ。
      そのため、勝ち残った者は常に正義であり、己の主張も弁解できないまま死んでいった敗者は、不当に排斥され、貶められるばかりだった。

      この作品は、タイトルにある「血」に象徴されるように、権力闘争や戦乱から歴史を捉えようとしている。
      これは勝敗が決する時、つまり、どちらが正義で、どちらが悪かが混沌としていた「場」をクローズアップすることで、まさに「歴史」が生み出される瞬間を描こうとしたからに他ならない。

      それだけに、悪人と呼ばれた人間が正論を語り、英雄の卑怯かつ姑息な一面を見ることにもなる。
      誰もが知っている有名な事件ばかりが取り上げられているので、次々と浮かび上がる意外な真相は、圧倒的な知的興奮を与えてくれる。

      そして、もう一つ忘れてならないのは、自らが民衆の畏怖の対象になろうとした織田信長を描く「余が神である」や、革命に不要な孝明天皇の死を望んだ岩倉具視が、死後に天皇の真意を知る「孝明天皇の死」など、「神」と歴史の接点を見据えていることだ。

      これは、著者・安部龍太郎が一貫して追求しているテーマであり、この著者の第一作品集から、その萌芽が見られるのも実に興味深い。

      ただ、留意すべき点は、必ずしも著者が「神」を絶対視していないことだ。
      蒙古襲来を題材にした「異敵襲来」には、神国日本を主張する少弐資能に、家臣が蒙古にも信じる神があると応じる場面が出てくる。

      これは歴史を作る「神」=立脚点が複数あることを示し、歴史を語るには、相対的な視点が必要なことを明らかにしているのだ。

      今も絶対的な「神」を信じる国家が歴史を紡ぎ、世界中で戦争が続いていることを考えると、この作品から学ぶことは、決して少なくないと思う。

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      2018/12/13 by

      血の日本史 (新潮文庫)」のレビュー


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