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流転の海

3.0 3.0 (レビュー2件)
著者:
カテゴリー: 小説、物語
定価: 620 円
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    「流転の海」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 4.0


      父と子の小説にもいろいろあるが、王道は子供が生まれ、成長し、やがて父が死んで子が主人公となっていくという大河小説だろう。

      これまでにも、さまざまな作家が趣向を凝らして、父と子の小説を書いているが、そのパターンに忠実な正統的な作品も忘れてはいけないと思う。

      五木寛之の「青春の門」、伊集院静の「海峡」などがその代表で、先駆的な作品は、子供時代の描写は少ないにしても、やはり尾崎士郎の「人生劇場」だろう。

      このタイプの小説に登場する父親は、巨大な存在感を持った人物として描かれることが多い。
      強くて、正義感にあふれ、それでいて弱さを持った人間味のある男。

      彼は息子を社会という広大な海に案内する役割を負っている。
      自然の大切さや人に愛されることを息子に教える教師なのだ。

      そして、子はその父の背中を見て育っていく。
      したがって、このタイプの小説は教養小説に近いと思う。

      宮本輝の「流転の海」も、そういう父と子の長い人生を描く物語だ。
      このタイプの小説の例に洩れず、先ず父親の像が圧巻だ。
      事業をやらせると鬼のように鋭いくせに、承知で人に騙されたりする。

      ヤクザに向かっていく獰猛さを持ちながら涙もろく、妻を愛していながら平気で何人も愛人を作ったりする。
      満足な教育を受けていないものの、人生の機微に通じ、書物から引用して説教したりする。

      知的で、猥雑で、嫉妬深く、妻に言わせると、いかさま師。
      とにかく不思議な人物なのだ。

      このように父親の造形が圧巻で、その強烈な個性とパワーに圧倒される。

      物語は、さまざまな人物が入り乱れる終戦直後の大阪で、五十歳にして彼が初めて子を持つところから始まるが、事業を営むこの男の奮闘ぶりが描かれる。

      彼を取り巻く悪党やちんぴら、裏切り者に競争相手、運のいい奴、悪い奴、そういうドラマが盛りだくさんで、その錯綜した挿話の背景から、ひとりの男の強烈な生き方が立ちあがってくる。

      しかも、主人公のドラマだけではなく、脇役に至るまで、一人ひとりが豊富なエピソードとともに活写されていく。

      例えば、彼の妻となる女性の不幸な生い立ちは、それだけで大長篇になる素材だが、そういうドラマを凝縮してこの長篇小説は成り立っている。

      この「流転の海」第一部に続く第二部「地の星」では、息子の健康のために温暖な故郷に帰った一家の日々を描いているが、第三部「血脈の火」では、妻と幼い子を連れて、再び大阪に戻ってくる。

      やがては、父が死んでその子が主人公となっていくのだろう。
      彼は成長した後、どんな時に、どういう風に父親を思い出すのか。
      そんなことをふと考えてしまう。

      私がこのタイプの小説が好きなのも、父と子、彼ら主人公の長い人生をともに生きる充実を、行間から伝えてくるからだ。

      >> 続きを読む

      2019/02/12 by

      流転の海」のレビュー

    • 評価: 2.0

      父と子と時々母の物語。母の昔話が一番面白かったような…。
      成功する人間は一癖も二癖もあるものだなあ。基本身内にしか暴力を働かないところがまた小さいというか…主人公がいまいち好きになりきれず。

      2018/11/15 by

      流転の海」のレビュー


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