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夏の庭

The friends
3.8 3.8 (レビュー11件)
カテゴリー: 小説、物語
定価: 420 円

Curious about death, three sixth-grade boys decide to spy on an old man waiting for him to die, but they end up becoming his friends.

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    「夏の庭」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 3.0

      夏の間に読みたいと思っていた本。
      一人暮らしの老人の死を観察する為に、その老人の家に集まっていた少年三人組。
      結局観察はバレてしまうのですが、そこから老人と少年達との不思議な交流が始まります。
      裏表紙のあらすじから、
      あ、このじいさん死ぬな。と、思っていましたが、予想通りの展開でした。泣けはしなかったです。
      「この世界には隠れているもの、見えないものがいっぱいあるんだろう」
      「死んでもいいと思える何かをいつかぼくはできるのだろうか」
      「もの」「何か」等、抽象的な表現がやや多くありましたが、言わんとしている事はなんとなくわかりました。

      話は、おじいさんと少年達との交流が始まった所から面白くなります。
      死んだらどうなるのかわからない、逃れられない恐怖、そして、幾ばくかの好奇心から、少年三人はある一人暮らしのおじいさんの死を観察します。
      しばらく、本人に気づかれないよう観察をするのですが、主人公の少年木山がおじいさんの顔をなかなか覚える事が出来ず、
      「家に帰って思い出そうとしても、輪郭のぼやけた人形みたいで、はっきりと思い出す事が出来ない」と書かれている所から、あの世に片足を突っ込んでいる、おじいさんの死が近づいているのを予感させました。
      観察に気づいたおじいさんは、少年達との出会いによって、健康的な生活に変化していきます。きちんと洗濯をしたり、ゴミを出したり、料理を作ったり……いきいきとしてきます。
      そして、この三人の少年は、それぞれ家庭内にわだかまりを持っているのですが、おじいさんとの出会いを通して、それも変化していきます。
      主人公の木山は父母間が不仲で母親はアルコールに逃げている、デブの山下は母親から父親の魚屋を継ぐ事に対して良く思っていない、眼鏡の河辺は母親と二人暮らしで父親に別の女性が出来て離婚、腹違いの子供もいる状況です。
      しかし、おじいさんから家事や考え方を学んだ三人は、それによって家庭内の風向きを変えるのです。
      木山の母親は、元々お酒を飲まずに自分の子供と向き合って接してきたのですが、今ではアルコールに逃げてしまって子供を見ずにどこかぼんやりしています。しかし、おじいさんから教わった梨を剥く様子を母親に見せ、その梨を食べさせた時、母親の目が覚めるのです。子供の成長に気づいた驚きと後悔と共に。
      この作品のテーマは「死」ですが、それとは逆の「生」もまた、描かれています。
      生きていく中で、自分にとっての人生の目標を見つけたり、死んだ人の考えが心の中に残り続けて、それが今後の人生において様々な場面で影響していったりする事もこの作品で表現されています。
      主人公達がサッカー合宿でのバスの移動中、なぜか窓に老人の姿が映ります。
      バスの窓に映っていた見知らぬ老人、ですがどこか見覚えのある姿は、観察していたおじいさんだったのではないでしょうか。もしかしたら、おじいさんはその時に亡くなっていて、会いに来ていたのかもしれません。
      主人公が昔飼っていた犬のチロが死んだ時は亡骸が段ボールの中に入れられて、ちゃんと見る事が出来ず、色々な事を見過ごしてしまった不安に襲われていましたが、おじいさんが死に、火葬場で骨になった時は決して目をそらさず見届けていました。
      最初は死んだ人やあの世がなんとなく怖いものだと思っていた三人でしたが、これを機に怖さはなくなり、成長します。
      成長していく者と死にゆく者、切ないお話でした。
      >> 続きを読む

      2018/08/30 by

      夏の庭」のレビュー

    • コメントありがとうございます^^
      話が夏休みの入る前~夏休み中の出来事で、
      プールでデブの山下が死にかけたり、
      おじいさんが打ち上げ花火を上げたりする描写がありました。
      タイトルの『夏の庭』はおじいさんの家の庭の事です。
      夏の庭を前にした縁側での思い出は、少年達の心にずっと残り続けていると思います。
      >> 続きを読む

      2018/08/30 by May

    • いいですね~。なんか昔の話ではないけれどノスタルジーを感じます。
      絵になる情景が浮かびますね。 >> 続きを読む

      2018/08/30 by 月うさぎ

    • 評価: 1.0

      『夏の庭』(湯本香樹実) <新潮文庫> 読了です。


      ※内容に触れますので嫌な方は読まないでください


      いろんな出来事が起こるのですが、なぜか平板な感じで、どうにも迫ってくるものが感じられませんでした。
      山下がプールで溺れるところ、おじいさんの元奥さんと出会うところ、いろんな盛り上がりシーンがあったはずなのですが、どのシーンも、おじいさんが死んでしまうシーンですら、ふわっと始まってふわっと終わるような感じでした。

      小学六年生の男の子の視点で物語が進んでいくのですが、これも文の装飾が過剰すぎて違和感ばかりでした。
      最初の方はそれほどでもなかったのですが、だんだん過剰になってくるんですよね……。

      さらには、出てくるおばあさんの口調とか、おじいさんが戦争体験を語るシーンとか、サッカー合宿のシーンとか、どれもこれも違和感ばかり。

      どこをとっても平板で違和感ばかりが気になるという作品でした。

      彼女の作品は『西日の町』も買ってしまったのでこれは読みますが、それ以上はたぶん読まないと思います。
      >> 続きを読む

      2018/08/21 by

      夏の庭」のレビュー

    • 評価: 3.0

       小学6年生の仲良し3人組を主人公にしたジュブナイルで、
      なんだか郷愁を感じさせるお話です。
       
       サッカークラブも塾も一緒の木山、山下、河辺の3人組が
      ひょんなことから「死んだ人」を見たいと思いつき
      彼らの行動範囲内から とある老人が
      なんだか死にそうだと目をつけ偵察を始めます。
       
       いかにも子どもの発想ですが、
      発想だけではなく、行動や心理の描写も
      造られた感を読者に抱かせずに
      いきいきと子ども達を描いているのは見事だと思います。
       
       いかにもと言えば、子どもであるがゆえに
      あまりにもお粗末な偵察はすぐにおじいさんにバレてしまい、
      そこからちょっと可笑しく温かな交流が生まれていく・・・
      というストーリーです。
       
       とても上手にまとめられた作品だと思います。
      少年達の成長が清清しく、微笑ましく、そしてちょっとだけ頼もしく、
      巣立ちを見送る親のような気分の読後感をもらいました。
      小中学生の夏休みの読書などにもオススメです。
       
       余談ですが、「人の死を見てみたい」という発想を
      子ども達が抱いたという同じ起点でも、
      主人公を男子小学生にして湯本さんが書くと「夏の庭」に、
      主人公を女子高生にして湊かなえさんが書くと「少女」になるんですね。
      当たり前といえば当たり前ですが
      そのあまりの違い振りに、小説ってやっぱり面白いな~
      と思ってしまいました。
      >> 続きを読む

      2018/05/29 by

      夏の庭」のレビュー

    • 評価: 5.0

      作品の時代は、ちょうど自分が小学生の頃とほぼ重なり、息子がまさしく主人公の少年達同様中学受験に向けて勉強しているということで、とても感情移入して読みました。
      少年達のおじいさんへの、女の子への、親への、死への、自分たちの将来への、それぞれに対する想いが、とても繊細に表現されています。でも、さすがに私はこの少年達の父親目線です。読後は頑張れ少年達!とエールを送りたくなりました。

      2018/02/21 by

      夏の庭」のレビュー

    • 評価: 3.0

      人の「死」に興味を持った小学6年生の少年3人組は、近所で一人暮らしをしているおじいさんがもうすぐ死にそうだというのを小耳に挟む。おじいさんが死ぬところを発見したいという思いから、彼らはおじいさんのことを監視するようになる。窓ガラス越しに見えるのは、6月だというのにコタツに入りずっとテレビを見ているおじいさんの姿。
      すぐにでも死ぬかと思っていたのに、彼らの監視に気づいたおじいさんは、やがて毎日の生活に変化が現れはじめ、なかなか死にそうにない。それどころか、ふとしたことから、彼らと会話を交わすようになっていく。
      こうして、小学生とおじいさんとの奇妙な交流が始まった・・・

      「死」に興味を持った小学6年生の少年たちが経験する、ひと夏のできごとと言えば、これはもう誰だって「スタンド・バイ・ミー」を思い出すだろう。デブの山下はバーンだし、眼鏡をかけ、父親に複雑な思いを抱いている河辺はテディ、主人公の木山はゴーディとクリスを足して2で割ったような感じ。最後、進路がバラバラになる展開も同じだ。
      「スタンド・バイ・ミー」に比べると、冒険感はあまりない。おじいさんとの交流がメインなので、かなりほのぼのとした内容となっている。児童書だからか、大人が読むと物足りないと感じる。やはり、小学校高学年くらいの子ども向けか。ところどころ、「そんなことアリ?」と気になる点があるのは、子ども向けファンタジーだからだろう(打ち上げ花火のシーンや、親戚でもない子どもが火葬場で骨上げまでしたりなど)。

      ここに登場するおじいさんは、一体何歳だったのだろう? 80歳くらいを想像しながら読んだのだが、小学生の子どもにとっては60代でも十分おじいさんに違いない。
      子供たちがおじいさんに戦争体験があるかと尋ねるシーンで、思わず「いやいや、戦争を体験した世代じゃないだろう」と言いそうになったのだが、なんと、おじいさんは従軍経験があった。よくよく見てみたら、本書が出版されたのは今から25年ほど前のこと。それなら、70代でも戦争体験があるのは当然か。「死」に興味のある小学生に戦争時代の話を持ち出すのは、言葉が悪いが大変便利である。これからの時代、もうこの手法は使えなくなるのだなぁと、へんなところで感慨深くなった。

      幸か不幸か、今の日本では「死」は身近なものではなくなっている。
      事故を目撃でもしないかぎり、死の瞬間を目の当たりにすることはほとんどない。病室で危篤状態の親族を看取ることができた人ってどれくらいいるのだろうか。まして、小学生の子どもなら、「死」から遠ざけられ、看取ることもできないだろう。
      本書の子供たちは、この非日常的な「死」に対して興味を示したが、これは健全なことといえる。しかし、中には生き物の命を奪いたいという衝動に駆られるなど病的に「死」に執着してしまう者もいる。これは、「死」が身近でない平和な世界だからこその歪みではないだろうかと常々思っているところだ。

      わたし自身は、目の前で知らないおじいさんが亡くなった瞬間を目撃した経験がある。それこそ小学生のころだ。風邪を引いたわたしは父親に連れられて開業医に行ったのだが、待合室で対面に座っていたおじいさんが突然ズズっと横に傾いて、隣の人にもたれかかった。それが死の瞬間だった。苦しそうな表情とか、うめくような声とかは全くなく、少なくとも周囲が気づくような死の兆候はなにもなかった。
      医師が一人しかいない小さな医院で、救命処置など対応に追われてしまっていたので、結局その日は受診せずに帰宅した。

      今でもその場面を鮮明に思い出す。あのころからずっと、死ぬならああいう死に方がいいと思っている。もしかしたら普段から発作に苦しんでいたのかもしれないし、あの瞬間も実は苦しかった、痛かったのかもしれないけれど、それでも周囲に気づかれない程度だったのだから。
      布団に入ったまま、苦しみにもがいたあともなく、眠っているような姿で死ぬのも理想的だと思う。
      ただ、それは今の自分だからそう思うだけで、一人暮らしで誰にも気づかれずに布団の中で死んでいくのは、本当は寂しいことなのだろうか。やっぱり、誰かに看取られたいと思うのだろうか。
      わたしの祖母は今年95歳、まだまだ元気だ。でも、親しい人や親戚、自分より若い近所の人がどんどん亡くなっていくのを寂しがり、「次は自分の番かなぁ」と呟くのを見ると、長生きが幸せなことだと単純に考えられなくなる。

      「死」。
      この年になっても答えの出ない、難しい問題である。
      >> 続きを読む

      2018/01/12 by

      夏の庭」のレビュー

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