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空白の桶狭間

4.0 4.0 (レビュー1件)
著者:
カテゴリー: 小説、物語
定価: 500 円
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    「空白の桶狭間」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 4.0


      永禄三年(1560年)五月十九日に起きた桶狭間の合戦は、二万五千の今川軍にわずかな兵力の織田軍が快勝して、信長が戦国の覇者としての基礎を固めたことでよく知られています。

      急な天候の変化に乗じて今川義元の本陣をついた、織田信長の勇猛果敢な奇襲作戦が有名ですが、今川方の資料が何一つ残っていなくて、その細部に関しては不明な点が多い合戦とされてきました。

      この加藤廣の「空白の桶狭間」は、大胆な発想と仮説で織田軍の意外な奇襲のありように迫る時代小説の傑作だ。

      永禄二年盛夏、今川勢の侵攻を目前にした織田家中で、足軽頭になったばかりの二十四歳の木下藤吉郎(秀吉)が、今川義元に一世一代の謀略を仕掛ける。

      その出自を諸国を放浪する技術集団、異能集団である「山の民」の一員とすることで、これまで誰も書かなかった桶狭間の合戦を描くことに成功していると思う。

      藤吉郎が仕掛ける謀略戦の内実に続いて、後半部では義元の本陣に五十匹の黒犬が乱入する戦いの模様が描かれる。
      兵と兵が激突する合戦はなかったという結論が導き出されていくのだが、このように藤吉郎が「山の民」のお家芸の犬遣いで自在に犬たちを操ったのだ。

      この本での信長像は、既成のものとは異なっている。
      その画期的な政策とされる兵農分離と楽市楽座は、繊維産業によって地域経済が発達していた尾張でなら、誰もが思いつくと分析している。

      女子労働への依存度が高い尾張で、男子を兵として通年利用できた背景とともに、信長が鉄砲の導入を急いだ理由にも触れるなど、戦国時代に関する常識を覆してくれる。

      著者の加藤廣は、2005年に信長の死の謎に迫った「信長の棺」で作家としてデビューし、「謎手本忠臣蔵」など歴史の謎を解き明かす問題作を手掛けて注目されてきた作家なんですね。

      この「空白の桶狭間」でも、桶狭間の合戦の裏を読みとっていく独自の"歴史解釈"が随所に見られ、その剛腕ぶりに酔うことができるんですね。

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      2019/04/18 by

      空白の桶狭間」のレビュー


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