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草祭

3.0 3.0 (レビュー1件)
カテゴリー: 小説、物語
定価: 540 円

たとえば、苔むして古びた水路の先、住宅街にひしめく路地のつきあたり。理由も分らずたどりつく、この世界のひとつ奥にある美しい町“美奥”。母親から無理心中を強いられた少年、いじめの標的にされた少女、壮絶な結婚生活の終焉をむかえた女...。ふとした瞬間迷い込み、その土地に染みこんだ深い因果に触れた者だけが知る、生きる不思議、死ぬ不思議。神妙な命の流転を描く、圧倒的傑作。

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    • 評価: 評価なし

       この連作短篇集は、美奥という山間の町で起る異界ものなのですが、この美奥の異界にはここから入口、ここから異界、という境界線がありません。

       第一章では中学生の「ぼく」の友人の春という男の子が失踪する、ということから始まります。

       春という子は、成績のいい、かといって特別なことはないごく普通の男の子というのが「ぼく」の認識でしたが、異界に入ってしまった春は、どんどん変容していく。

       その様を「ぼく」は怖がっていません。春、帰らないの?うん、帰らない。

       そして、だんだん美奥という山間の町が何故、異界と接しているのか・・・・という時代をさかのぼっていきます。

       さらに「苦解き」(クトキ)という花札のような、森羅万象を描いたカードでもって「苦」を解く、悩める人の苦悩をとるための人生をかけたゲームをすることになった女の子のくだりが、とても印象的です。

       そして、そのカードの絵柄にそれまで読んできた美奥の謎がたくさんふくまれていて、とても危険なゲームであり、ゲームの緊張感がまた異界の世界で人生賭ける!の心意気がばんばん伝わってくる、緊迫したリズムでもって描かれるところが圧巻。

       まさにこの連作短篇集は、美奥というごく普通の町に住む、ごく普通の人々の中にある
      嘘を隠す真実と嘘に隠れた真実の物語。

       恒川光太郎さんの文章のすべらかさ、なめらかさ・・・は読む側にリズムを感じさせます。

       ストーリーの構成も上手いと思うのですが、そこに流れるような言葉のリズムが展開されていて
      それがひとつの「アナザーワールド」

       泉鏡花や夏目漱石の『夢十夜』といった、時間軸を微妙に使った幻想文学であると思います。

       難しい漢字や言葉を使わず、ここまで読みやすくしながら、深い世界を静かに激しく描くという
      才能のようなものを感じる文章を書く人だと思うのです。
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      2018/07/11 by

      草祭」のレビュー


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