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シズコさん

3.0 3.0 (レビュー1件)
カテゴリー: 小説、物語
定価: 420 円

四歳の頃、つなごうとした手をふりはらわれた時から、母と私のきつい関係がはじまった。終戦後、五人の子を抱えて中国から引き揚げ、その後三人の子を亡くした母。父の死後、女手一つで家を建て、子供を大学までやったたくましい母。それでも私は母が嫌いだった。やがて老いた母に呆けのきざしが―。母を愛せなかった自責、母を見捨てた罪悪感、そして訪れたゆるしを見つめる物語。

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    • 評価: 3.0

      「私はずっと母を嫌いだった。ずっと、ずっと嫌いだった。」
      この本は贖罪である。
      「私は金で母を捨てたのだ。」

      各章ごとに高級老人ホームに暮らす母と共にすごす場面と共に、
      子供の頃の母の虐待やわがままぶりや、
      戦中戦後の時代を背景にした家族の暮らしぶりや大人になってからの母との付き合いや
      思いがけない記憶の断片が順不同に書き連ねてある。
      整理されない文章、何度も繰り返されるエピソード。
      その読みにくさが心の動きそのままで現実味がある。
      ほとんどは辛い記憶だが、それでも心の奥に忘れ去られていた暖かな記憶も蘇る。

      人は、心の闇を消すためには、人生を生きなおす必要があるのだ。
      子供からやり直すしか、方法はないと思う。

      親は子を捨てることができるが、子は親を捨てることができない。
      いや、「娘は母を捨てることができない」というのがより正確かもしれない。
      母と娘の関係をフロイトは考慮しなかった、する必要がない時代だったからだが、
      できなかったというのが正解だろう。


      母を愛せない娘は思いのほかたくさんいる。
      しかし、その誰もが、その罪の意識から解放されずに生きている。
      母との確執に傷つき、母を呪詛しながらもなお、愛せない自分を責め続ける。

      上野千鶴子でさえ、親をホームに入居させたことを「姥捨て」と発言している。
      佐野陽子は母への憎しみの代償として最上級の施設の費用の金を負担したのだという。

      しかし、それはそんなに罪に思うべきことなのだろうか?


      佐野洋子の母は老人ホームに入居し、呆けてしまった。
      そうなって初めて、母と向き合えた、母をみつめ、会話し、触ることができた。
      母と娘は互いに「ごめんね。ごめんなさい」と言い合うことができた。
      「四歳位の時、母が私の手をふりはらったときから、
      私は母の手にさわった事がない」ままでそれまで生きた来たのだ。

      年老いて記憶を喪失し人格が変わったようになり赤ん坊のように微笑む母。
      「母さんはどんどん呆けていった。どんどん素直になってかわいい人になった。」

      「母さん、呆けてくれて、ありがとう。神様、母さんを呆けさせてくれてありがとう」

      「神様、私はゆるされたのですか。
       神様にゆるされるより、自分にゆるされる方がずっと難しい事だった。」

      「本当に生きていてよかった。こんな日が来ると思っていなかった。」

      そう思うほど、母という問題は、人生の枷になるものなのだ。娘にとって。

      辛いよなあ、それは、不公平だよなあ。と私は思う。
      子供を愛せない親はいるのだ。
      親を愛せない子供がいてもおかしくない。
      けれど子は、それを自分が自分で許せないのだ。

      「かわいいかあさん、私はうれしい」
      佐野洋子は運が良かった。多くの娘は母との軋轢を解消できないままに、
      親に死なれ、こころに後悔と懺悔を抱えたまま死んでいかなければならない。

      私も死ぬ。生まれてこない子供はいるが、死なない人はいない。
      静かで、懐かしいそちら側に、私も行く。ありがとう。すぐ行くからね。

      佐野洋子は幸せだ。


      同じ痛みを抱える人で、この本を読んで希望を持てる人もいるかもしれない。
      解説、内田春菊さん。
      >> 続きを読む

      2013/08/11 by

      シズコさん」のレビュー

    • >そう思うほど、母という問題は、人生の枷になるものなのだ。娘にとって。

      子供の頃、姉を見ていて似たようなことを感じた気がします。あの人は・・・(でも自分は?)。そういう態度のことじゃありません?
      >> 続きを読む

      2013/08/12 by Shimada

    • Shimadaさん
      お姉さんが…。
      それを感じ取れるShimadaさんってきっと繊細な方なんですね。

      心の重荷はなるべく早いうちに気づいて降ろすのがよろしいと
      私は思うのですよ。
      まず、気づくところから。です。
      若いうちは自覚がないまま年を経て、ますます重さを増すケースが多いように思えてなりません。
      >> 続きを読む

      2013/08/13 by 月うさぎ


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