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アニバーサリー

4.0 4.0 (レビュー2件)
著者: 窪 美澄
定価: 724 円
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    「アニバーサリー」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 5.0

      戦争を乗り越え、人々に妊娠出産の大切さ、食の重要さを教えたり、現在も現役バリバリでマタニティスイミングの講師をしているお節介なおばあちゃんと、
      地震、津波、福島の第一原発事故の中、
      不安がいっぱいの中で出産した妊娠さんの物語。

      初めての妊娠出産で、
      困ったことがあったら人に相談したり、どんどん人に会えばいいんだな。

      読んでよかった。
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      2020/08/07 by

      アニバーサリー」のレビュー

    • 評価: 3.0

      子どもは育つ、こんな、終わりかけた世界でも。
      七十代にして現役、マタニティスイミング教師の晶子。
      家族愛から遠ざかって育ち、望まぬ子を宿したカメラマンの真菜。
      全く違う人生が震災の夜に交差したなら、それは二人の記念日になる。
      食べる、働く、育てる、生きぬく…戦前から現代まで、女性たちの生きかたを丹念に追うことで、大切なものを教えてくれる感動長編。

      「絶対に安全」と言われていた神話が、跡形なく崩れさってから、4年が経ちました。
      未だ収束を見ない福島の現状に背を向けて、九州では新たなる「安全神話」のもと、ふたたび原子力発電所が稼働し始めた夏です。
      たった4年で、今もなお故郷に戻れない数多くの人々がいるという未曽有の人為的大公害を過去のものとし、日本各地で噴火や火山性微動が続く現状でもなお、その凄まじい環境汚染の起因たるやもしれぬ発電所を稼働させる我々を、後に続く子らはどう思うのでしょう。
      ちょうど、今を生き僕たちが、この国を引き返せない太平洋戦争という惨禍に先導していった当時の人々を「愚かだった、反省せねばならない」と後悔や憐憫とともに振り返るように、10年後、20年後のこの国の人々が先人たちを情けなく、愚かしく思うであろうことに、今の今から悲しくなり、自分の無力さを嘆くばかりです。
      痛感します、それほどに個人は無力です。

      本作の主人公はふたりの女性です。
      戦前から戦後の動乱と、昭和の高度経済成長期を時代に乗り遅れまいと懸命に生き抜いた晶子。
      飽食の時代に生まれ落ち、不幸にも親の愛情に恵まれず、氷のような家庭で育ち、そして今、シングルマザーにならんとしている真菜。
      平成23年3月11日、数多くの日本人にとって運命の日。
      東京で、70を過ぎてなお、スイミングスクールでマタニティスイミングの講師として一線で働く晶子は、ちょうど教え子の妊婦たちを相手に食育のレクチャーの真っ最中でした。
      大きな揺れとともにパニックが襲い、懸命に彼女らを落ち着かせながら帰路を急がせる晶子。
      揺れが引き、ひと段落がついたとき、晶子は、最近スイミングのクラスに来なくなったひとりの妊婦・真菜の安否が気になりだします。
      混雑で前に進むこともできず、交通網が麻痺した池袋駅。
      晶子は自宅に帰ることを断念し、急遽、真菜のマンションを訪ねることに。
      その道すがら、過去に同じような混乱があったことを、晶子は思い出します。
      絶望的な戦争の末、晶子の空は敵機に蹂躙され、愛する家族やたくさんの人たちが命を落としました。
      それから…。
      自分の歩んできた道を思い返し、また自分を鼓舞し、真菜の住むマンションのインターホンを押すのでした。
      真菜は、望まぬ妊娠に驚き、まるで当たり前のように職場の上司でもあった男に棄てられ、自暴自棄になっていました。
      何不自由ない家庭に生まれ、真菜は両親から惜しみない愛情を注がれ、育てられてきました。
      母親が仕事を持つようになってから、真菜の家庭はおかしくなります。
      何よりも母の仕事が大事、自分はいつもそのあと。
      上辺だけ満ち足りた生活は、少女だった真菜の心の隙間を埋める事はできませんでした。
      友人から受ける悪影響、欲しいカメラを手に入れる為に自分の体を投げ出す真菜。
      帰れば暖かいはずの家族からひとり離れ、真菜は独立するとカメラマン事務所で働き始めます。
      憧れだった写真家は、いつかの中年のひとり。
      彼は上司となり、自然にまた男女の仲になり。
      3月11日、大きな揺れのあとにテレビから流れる映像は、衝撃的なものでした。
      濁流に呑みこまれていく畑、車、逃げ惑う人々。
      そして、原子力発電所の水素爆発…。
      呆然とテレビの前に立ち尽くす真菜を現実に引き戻したのは、それほど熱心に通っているわけでもなかった水泳教室の老教師の声でした。

      日本が背負った十字架、太平洋戦争、そして原発事故。
      ふたりの女性の半生を描くことで、著者はそのふたつの罪深さを露わにしてくれます。
      世代を跨ぐことで、前の世代の功罪が、次の世代の贖罪へと繋がることを言い募ります。

      作品としての巧拙を言えば、第一章で晶子の半生を描くあたりは読ませますが、第二章の真菜に移ると一気にパワーダウン。
      なぜ晶子は真菜にあんなにも拘ったのか、晶子と真菜の運命的な結びつきに理由付けが不十分でした。
      前述したように「世代を跨いで日本の十字架を描く」ことが、著者の試みだったように思います。
      8月15日の終戦記念日、3月11日の東日本大震災の日、それぞれの、日本人であれば誰でもの、記念日<アニバーサリー>なのです。
      その意図はよく伝わってくるのですが、プロットが十分に練られないまま、描写がそれぞれの登場人物たちに深入りしてゆくので、設定の不自然さが最後まで残ります。

      晶子は、手に職をつけるという意味で、栄養士の学校に通います。
      美味しく、滋養のつくお料理を作るというその技術は、戦後の高度経済成長の時代、家庭を守る主婦として料理の腕をふるい、老齢になっても職業に活きてきます。
      また、真菜の母親・真希も、自らの料理の腕前とルックスの良さで売り出したマスコミ受けする「料理研究家」。
      対照的な晶子と真菜の生活の背景に、同じように“食事”があります。
      食事だけは誰にでもあり、著者は時代が変わっても、環境に違いはあれども、共通のものとすることで、登場人物たちが現に生きている“今”を、読者に感じさせようとしているように思いました。

      著者は発刊時のインタビューの結句に、こんなことを言っています。
      「この小説には歴史的な区切りになる日がでてきます。決して個人的な記念日ではないのに、その日から主人公二人の人生がくっきりと姿を変えてしまう。そしてその区切りは、彼女たちが望んだものではありません。
      乱暴に言ってしまえば、男たちが勝手にその区切りを作ったんじゃないかとも思います。地震災害に原発のことを含めるならば、戦争だって原発だって女が望んだものじゃない。男たちが望んだもののせいで彼女たちの人生が変えられてしまった。私にはそうも思えるのです」
      言い換えれば、現実を直視する女性と、夢ばかり見ている男性と。
      小説を読み終えるたびにいつも思う男女の性の比較を、本作でも僕は考えずにはおられませんでした。

      取り上げたテーマは良かったと思いましたが、著者の作品でいつも不必要と感じる(個人的にですが)セックスシーンの重たさや、前述した設定の無理などがひっかかりました。
      >> 続きを読む

      2015/08/17 by

      アニバーサリー」のレビュー

    • >月うさぎさん
      いつも、コメントありがとうございます。
      TOKYO-MXの「5時に夢中!」にホリエモンさんが出演してて、川内原発の話題になったんですね。
      出演者全体的に「原発再稼働反対」みたいな空気だったんですが、ホリエモンさんは「賛成」で。理由としては、やっぱり電気代が高すぎて産業が失速している、海外に出て行った工場が国内に戻ってこない、っていう景気の減速を挙げていらっしゃいました。ただ、危険性のリスクについてもよく理解していて、本来であれば再稼働すべきではないとも。
      根っこは政府や、国の怠慢だ、と。
      原発が動かないことで市場経済が減速している、しかし危険性を考慮するならば原発に変わるエネルギー代替案を具体的に提示して、実際に動き出さなければダメだ、と。
      ホリエモンさんは、例えばロシアから天然ガスのパイプラインを引きこんで電気に替わる廉価なエネルギーとして使用するとか、って言ってもアメリカ寄りの日本としては難しいかもしれませんがね…と、言ってました。
      僕は、具体的な代案としては現実味がないとは思いませんでしたね。
      ロシアだって国際問題で孤立が深まっているし、日本との関係を良好にすることで不利益があるとは思えない。逆にアメリカは絶対にいい顔しないでしょうが。
      アメリカとの同盟を解消する必要はないと思いますが、過度なお追従外交は、もうやめてもいいんじゃないでしょうかね。

      知ってますか?
      政府や電力大手は、太陽光発電から発電される電気の買い取り価格を年々引き下げているんですよ。僕ら不動産関係の仕事をしていると、家を建てる時に屋根にソーラーパネルを設置して節電、自家発電しましょうとか、広大な休耕田にソーラーパネルを並べて節税対策しましょうとか、福島後は政府の強力な後押しもあって、どんどん設備投資してきたんです。今じゃ、新築戸建の屋根にソーラーパネルは標準装備みたいになりました。
      けれども、あんまり太陽光が普及してしまうと、ほんとうに原発が不要になっちゃう。だから発電した電気の買い取り金額を下げる(これは電力会社が決めます)、こんな安い金額じゃソーラーパネルを設置しても意味が無い、設備投資しても資金回収さえおぼつかない…設置するの、やーめたっていう風潮に変わってきていますよ、現場では。
      すべてが原発再稼働致し方なし、という風潮に持っていきたいのが、現政府です。
      莫大な原発マネーが関連業者に流れ、まわりまわって政権与党の政治家の懐に入ったり、管轄省庁の天下り先確保に利用されます。

      この国は、市民の命を土台にして、一部特権階級の刹那的な快楽を満たすことに躍起になっている、おそろしい国です。
      亡国です。
      >> 続きを読む

      2015/08/18 by 課長代理

    • 〉この国は、市民の命を土台にして、一部特権階級の刹那的な快楽を満たすことに躍起になっている、おそろしい国です。
      私もそれをひしひしと感じます。今、発言の自由があるうちにいろいろ発信しておかないと、と真剣に危惧しています。

      オール電化の電気代優遇ってハンパじゃなかったんですが、それも原発依存体質を国民的に推し進めさせる政策だったのですよね。
      地熱発電なんか日本でやれば家庭なら完全受給できるほどの資源なんです。
      地域で発電し地域で使う発想。だから大手電力会社が不要。だから政府は地熱を認めない。
      政官財の密着の構図です。
      でもJAXSAでは太陽光を宇宙で発電して地上へ送電するという夢の計画を実現しようとしていますし、理論的には実現できるそうですよ。
      暗い現実も伝えないといけませんが、それを打破するアイディアもみんなで考えないとね。
      堀江さんに迎合する訳じゃないけど、ロシアと仲良くするのもいいと思う。
      >> 続きを読む

      2015/08/18 by 月うさぎ


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