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賢者の贈りもの: O・ヘンリー傑作選I (新潮文庫)

5.0 5.0 (レビュー1件)
著者: Oヘンリー
定価: 497 円
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    「賢者の贈りもの: O・ヘンリー傑作選I (新潮文庫)」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 5.0

       アメリカ短編小説の名手であるO・ヘンリー(1862-1910)の傑作選です。同時代に活動した「イギリス人」のサキ(1870-1916)が、人間の負の部分を冷徹に、シニカルに描きだしたのとは対照的に、人間の日常に暖かい眼差しを注いだのがO・ヘンリーであったと一般に言われています。ですが、今回の新訳を読んでみると、そんな単純に語れないということを再認識しました。

      まずは、短編の内容を要約しておきます。とはいっても、いくつも短篇が収められていますから、気になったもののみを取り上げたいと思います。

      ①「賢者の贈り物(The Gift of The Magi)」
       最も有名な短篇の1つ。貧しい夫婦の妻が、夫のためのクリスマスプレゼントを買う。そのプレゼントの費用は、自分の髪をカツラ屋に売って得たものでした。ようやく手に入れたクリスマスプレゼント(夫がもつ懐中時計に付ける鎖)を夫に渡そうしますが、なんだか夫の様子がおかしい…。実は、夫も妻のために、自分の懐中時計を売ってプレゼント(それは妻の髪にぴったりの櫛)を用意していたのでした。お互いがお互いを思うがゆえに起きた、奇妙なすれ違い。でも、そのすれ違いはきっとあたたかいはず。

      ②「巡査と賛美歌(The Cop and The Anthem)」
       主人公の男は一文無しです。貧しすぎて今年の冬は越せそうにない…。そこで、彼が考えたのは刑務所に入ること。そのために、何度も犯罪を犯して刑務所に入ろうとします。ですが、食い逃げ、窃盗、器物損壊などを試みたものの、不幸にも(?)警察には捕まりません。
       捕まることを諦めた男は、ふと教会の前を通り過ぎる。そこからは、賛美歌が流れてきます。それを聴いた男は、幸せだった過去の自分を思い出し、そのころの幸せを取り戻すために真面目に働こうと心を入れ替えました。
       さぁ、新たな人生の始まりだ!…、とそこに、夜中にうろついている不審者を取り締まる警察官に肩を叩かれ…、男は不幸にも(?)刑務所に入ることになったのでした。

       みなさんが思い浮かべるヘンリーは①のヘンリーでしょう。でも、②のようなお話も書いちゃうのがヘンリーなのです。もちろん、①だって偶然に左右されてしまう人間という意味では、とても現実主義的なお話です(これは訳者も指摘しています)。②も同様に、自らの意思が通用しない社会の流れ(偶然とも、運命とも、構造ともいえる)に翻弄される人間を描いているわけですから、①も②も共通点があるといえるでしょう。

       しかし、ヘンリーの物語よんで絶望することはありません。①は「小さな奇跡がおきたのよ」と信じたくなるし、②も「まぁ、そんなこともあるよね」と笑みがこぼれる。ヘンリーはどんな状況にある人間も、見放さずに、あたたかい眼差しで描こうとしたのです。「きみみたいな人生もあっていいよね」とヘンリーは言っているのかもしれません。訳者は「馬鹿な話の肯定」がヘンリーの物語に通底する特徴だといっています。まさに、その通り。それは、言い換えれば、「生の肯定」や「人間の肯定」ともいえるでしょう。

       ちなみに、既訳は新潮文庫(全三巻)や岩波文庫のものもありますので、読み比べてみてもよいかもしれません。今回の新訳の新潮文庫も全三巻の予定(2014年の12月24日現在1巻目のみ刊行)のようです。短編集ですから全部読まなきゃ…と気負う必要はなく、好きなところから読み始めてみてください。

       また、20世紀初頭のアメリカの歴史を知らないと、なんとなーく分かりづらい箇所もあります。そんなときは、歴史書へ…とは言いません。Google先生に頼りましょう。教養も身について一石二鳥です。 
      >> 続きを読む

      2014/12/24 by

      賢者の贈りもの: O・ヘンリー傑作選I (新潮文庫)」のレビュー

    • O・ヘンリーの作品は「最後の一葉」しか知らないつもりでしたが、調べてみて「賢者の贈り物」もそうだと言うことを知りました。

      たった2作品しか知りませんが、本当に短編小説の名手だと思います♪
      >> 続きを読む

      2014/12/24 by ice

    • そうそう。O・ヘンリーの作品、読んだことない~って思ってても、どこかで話を読んだり聞いたりしていることが結構多いんですよねえ。
      心温まる作品が多い印象です。
      >> 続きを読む

      2014/12/24 by 月うさぎ


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