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サロメ・ウインダミア卿夫人の扇

4.0 4.0 (レビュー1件)
著者: オスカー ワイルド
カテゴリー: 戯曲
定価: 500 円

月の妖しく美しい夜、ユダヤ王ヘロデの王宮に死を賭したサロメの乱舞。血のしたたる預言者ヨカナーンの生首に、女の淫蕩の血はたぎる...。怪奇と幻想と恐怖とで世紀末文学を代表する『サロメ』。夫の情婦といわれる女が臆面もなく舞踏会に姿を現すが、はたして夫人は?皮肉の才気に富んだ風俗喜劇『ウィンダミア卿夫人の扇』。ワイルド劇の頂点を示す『まじめが肝心』の3編。

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    「サロメ・ウインダミア卿夫人の扇」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 4.0

      「ドリアン・グレイの肖像」に感動し、オスカー・ワイルドその人に魅せられて戯曲に手を出した。
      そう。私は純朴ピュア系よりも色気のあるデカダンな美学者のワイルドに惹かれる少女だったのだ。

      「サロメ」は福田 恒存訳でビアズリーの挿絵がある岩波版が一番人気だと思いますが、新潮社版は、ワイルドの戯曲のうち、異なるテイストの人気作品『サロメ』『ウィンダミア卿夫人の扇』『真面目が肝心』3作が読めるところが嬉しい。

      『サロメ』はエキゾシズムに満ちたビジュアル系の作品。セリフもシェイクスピアっぽい。
      『ウィンダミア卿夫人の扇』は人情劇。ワイルドらしいスノッブで皮肉が満載の、と思わせて、純粋な愛を描いた作品。
      『真面目が肝心』はドタバタのラブコメ。思いっきり楽しい、笑える作品。役者が自由に演技できそう。まさにお芝居向き。

      当時(19歳)の私は戯曲を読むレベルになかったのだとこの作品を再読してようやくわかりました。
      演劇作品は読む側に相当なイマジネーションが要求される文学作品なのです。
      字面やストーリーを追うだけなんて問題外。
      演劇として演じられている光景を思い浮かべられるだけでも不十分だったのです。
      役者ならどういう芝居をするか、脚本家ならどう書くか、演出家ならどうアレンジするか、舞台美術家ならどうビジュアル化するか、映画監督ならどこまで飛躍させられるか。
      芸術家的なイマジネーションが要求されます。
      戯曲はその素材としての質の高さこそが命。
      いかにアレンジしてもその本質がしっかりしていること。
      その上で、セリフの華麗さ、語る言葉の印象度の高さ、意味の深さに優れている事。
      オスカー・ワイルドのこの3作はどれも高レベルな戯曲作品といえるでしょう。

      「人間を善玉と悪玉に分けるなんて、ばかげてますよ。
      人間はね、魅力があるか退屈か、のどちらかです。」
       (ウィンダミア卿夫人の扇)

      ほとんどすべてが会話で描かれていますので、日本語訳が印象を左右すると思うのですが、
      あえて言葉は自分流に読み変えて!と言っておきましょう。
      正直言うと、西村訳はあまり好きではありません。
      「サロメ」以外の作品に関して、言葉のチョイスがどうも古臭いし、人物設定と会わない点がちらほら。
      キャラクターの同一感に欠ける。
      若々しさ、品性が表現できていない箇所がある。
      ワイルドらしい大事な台詞が軽く流されている。などなど。
      セリフの中に大量の(訳注)が挿入されている点も、読書の流れを止めてしまうので邪魔。
      けれど英語のことわざのモジリなど私にはわからない部分も多いので必要悪。
      ならば、いっそテキストとして翻訳本を使い英語で読むべきだと思いました。
      そして自分のお好みで翻訳し直した方がいいですね。
      とくに『真面目が肝心』はそれに適した作品です。


      『ウィンダミア卿夫人の扇』は舞台は大ヒット。映画化も何度かされているらしく、驚きました。
      実はこの話。ヴィクトリア朝時代の古い道徳観を扱った、結構地味なストーリーなのです。
      『理想の女(A GOOD WOMAN)』を観てみました。
      役者の演技力に舌を巻き、映画監督の造詣の深さを尊敬しました。
      好きにアレンジしてもいいよと言われたって、こんな風に思い描くことは私には無理です。
      舞台も設定も変えているのにエッセンスが変わっていない。
      それはこの戯曲の命は人物設定とセリフにあり、という証明であり、
      ストーリー的には軸がしっかりしているからなのですね。
      映画を観て、この作品がすっかり好きになりました。
      ワイルドのテーマである「善悪」と道徳性についての考え方が非常にうまく表現されています。

      まだまだ経験値不足ですが、ようやく戯曲の面白さがわかってきた気がします。
      でも、こういう作品こそ新訳を出して欲しいものだと思う気持もあります。
      こういう戯曲は『粋な台詞』で読みたいです。


      新潮社のこの本の紹介文ですが、酷いと思いますよ…。
      『ユダヤ王ヘロデの王宮に死を賭したサロメの乱舞。
      血のしたたる預言者ヨカナーンの生首に、女の淫蕩の血はたぎる...。』
      えええええ~~~っ???です。
      確かに「新約聖書」の中のサロメのエピソードも、ワイルドのこの戯曲の中のサロメも「そんな女」じゃないのです。
      この作品を本当に読んでるの?と言いたい。
      サロメは非常に純粋で、初恋が激しかったからこそ残酷な異常性へと突き抜けてしまった訳で。
      恋の狂気というものを悲しくも美しく描いている物語なのですよ。

      怪奇と幻想と恐怖??
      生首が出るからってそれ? 発想がステレオタイプすぎですね。

      「そなたの唇にくちづけするよ、ヨカナーン」

      このサロメの恋のなんと戦慄的で官能的であることか。

      それはただくちづけだけの。
      それだけに終わる愛

      命をかけたキス
      >> 続きを読む

      2015/11/14 by

      サロメ・ウインダミア卿夫人の扇」のレビュー

    • > 月うさぎさん
      わぁ、ありがとうございます!早速読ませていただきます!

      2015/11/23 by ワルツ

    • ワルツさん
      早速岩波のレビューも読んでくださってありがとうございました。
      コメントもいただきとても嬉しいです。
      これからも情報交換しましょうね。どうぞよろしくお願いいたします。
      >> 続きを読む

      2015/11/25 by 月うさぎ


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