こんにちはゲストさん(ログインはこちら) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト →会員登録(無料)

月と六ペンス (新潮文庫)

4.4 4.4 (レビュー5件)
著者: サマセット・モーム
定価: 662 円
いいね!

    「月と六ペンス (新潮文庫)」 の読書レビュー (最新順)

    最新のレビュー順 | 人気のレビュー順
    すべてのレビューとコメントを開く
    • 評価: 5.0

      6月の課題図書。新潮社金原訳で読みました。

      ロンドンで仕事、家庭にも恵まれた男、チャールズ・ストリックランド。
      平凡で幸福な日々を過ごしていた中、ある日忽然とストリックランドは姿をくらませた。
      愛人と共にパリに渡ったと疑われたが、彼は四十を過ぎて心に秘めていたことに打ち込み始めていた。

      人として最低じゃないか…!
      序盤からずっとストリックランドにイラついていました。何なんだ、この最低男は。
      奥さん子どもを捨て自分の家庭を壊し、それだけでは飽き足らず、親切にしてくれた人の家庭まで壊す。
      ストリックランドに嫌悪感がすごく、不愉快な思いをしながら読んでいました。
      主人公やストルーヴェ、ブランチらがこいつに惹かれることに納得いかない。病気で献身的な介護をしてくれた人たちを最低最悪な形で裏切ることができる彼の人間性に失望していました。ストルーヴェがパリを去る辺りが怒りのピークでした。

      その後場面は変わり、タヒチ島での生活となりました。
      ストリックランドが幸せだった、タヒチでの結婚生活。
      なぜこんな男が幸せになるんだ。あんなことやこんなことをしておいて、彼だけが良い思いをしていいのかと。
      しかし、祖国では理解されなかった彼が、この島で自身を受け入れてもらったことについて徐々に考えさせられました。
      ああ、なるほど・・・彼の居場所はロンドン、パリではなかったのだ。そうなのか。
      少しずつ、穏やかな気持ちで読むことができるようになっていきました。

      そして読了。
      びっくりするほどの満足感を得ている自分がいました。
      才能ある人だったんだから、少しくらい人間性に問題あってもしょうがないのかな、と。少しでもなんでもなかったのですが。
      最低男・ストリックランドの生涯を追っているのに、不思議なほど物語はおもしろかったです。とてつもなく。「8ヶ月の娘を寝かしつけたら『月と六ペンス』!!!」が合言葉になるほどでした。(それまではアイスだったのに)
      おすすめの一冊です。
      >> 続きを読む

      2019/09/07 by

      月と六ペンス (新潮文庫)」のレビュー

    • タイトルが昨今のアニメにありそうで、おっ!と思いました(笑)

      最低な男の人生を追っていって最初は受け入れ難かったけれど読み進めて行って徐々にわかっていき最後はこういうのも良いよな!と受け入れられた…

      …あすかさんのこのレビューが一冊の本に出来そうだなあと読んでいて思いました(o^^o)♪
      >> 続きを読む

      2019/09/07 by 澄美空

    • あすかさん。なんと子育て中に課題図書が読めるなんて。偉すぎです。
      〉最低男・ストリックランドの生涯を追っているのに、不思議なほど物語はおもしろかったです。
      そうなんですよね~。なぜか小説としては面白いのです。
      でも私はこの語り手の主人公とモームが被って見えてしまって、モームが嫌いになりました。(^^;)
      それと芸術家=非常識OKというのは、ちょっと違うと思うのです。
      これはたまたまとんでも人間のストリックランドが絵画については天才だったという個人の物語として受け取るべきでしょう。
      芸術家とは常人とは違うものだという部分は確かにあると思いますが。
      それはその人の持っているエネルギーが違うという事。
      やることが人並み外れているという事とは異なります。
      一応、私が知っている芸術家さんたちは、人として充分魅力的でお付き合いして楽しい方が多いので、あしからず。
      >> 続きを読む

      2019/09/09 by 月うさぎ

    • 評価: 4.0

      【人間を駆り立てる狂気とは?】
       ご存知、サマセット・モームの有名な作品を読み直してみました。
       初読したのは中・高生の頃だったと思うのですが、今回の読書の方が随分楽しめたように思います。

       本作は、ご存知の通り、ゴーギャンをモデルにした作品です。
       モームが療養中に書き上げた作品で、モームが読んだゴーギャンの伝記に触発され、それを小説化したと言われています。
       但し、本作は必ずしも実際のゴーギャンの人生に忠実に書かれているわけではないとも言われています(モームが読んだという伝記に忠実なのかどうかはよく分かりませんが)。

       主人公のストリックランドという男がゴーギャンというわけです。
       本作では、ストリックランドは株式仲買人として勤めており、何とも退屈で平凡な男だというのが語り手の初対面の印象です。
       語り手は小説家なのですが、芸術好きのストリックランド夫人と知り合い、彼女に食事に招かれるなどしてストリックランド本人とも知り合います。
       ストリックランド夫人は良妻として描かれています。

       さて、そのストリックランドですが、40歳になっているというのに、突然仕事も家庭も放り出してパリに行ってしまったのです。
       最初は、誰か女を作って一緒に逐電したのだろうと思われていたのですが、夫人に頼まれてパリに行った語り手が見たところではそんな様子は全くありませんでした。
       ストリックランドは、汚い安宿で一人で暮らしており、女出入りなどなく、ろくに金も無い様子でした。

       ストリックランドが語るところによれば、どうしても絵を描かなければならないから家を出たのだというのです。
       ロンドンでは描けないので、パリに来たのだと。
       到底信じられない話でした。
       ロンドンでの安定した生活を捨て、妻子を路頭に迷わせることになるというのに一向に気に掛けず、また、自分が絵でやっていけるかどうか不安になりそうなものなのにそんなことも全く考えておらず、金が無くても「稼げばいいさ」程度の考えで全てを捨ててしまったのです。

       ロンドンにいる頃から密かに絵のレッスンには通っていたそうですが、それも程なくしてやめてしまい、誰かに師事することもなく、まったく独学で絵を描いているというのです。
       別に絵の才能があったというわけでもないのです。
       とにかく描かずにはいられないというだけなんです。
       そんなストリックランドの絵は、周囲の者達からは下手くそな奇矯な絵だとしか見られておらず、全く評価もされず、もちろん売れもしません。
       ストリックランド自身、絵を売るつもりもないようなんです。

       ここにもう一人の登場人物が現れます。
       語り手の知人で、パリで画家をしているストルーヴという男でした。
       ストルーヴは、画家とは言っても、その描く絵は極めて通俗的な面白くもない絵で、きれいに描いていることからある程度は売れはするものの、芸術的には価値のない絵でした。
       しかし、ストルーヴの審美眼だけは超一級で、その評価が誤ることはありませんでした。
       これだけの審美眼の持ち主なのに、何故自分ではこんなつまらない絵を描いているのかというのも不思議でならないところなのですが。
       また、ストルーヴは盲目的に妻を愛してもいたのです。

       そんなストルーヴは、ストリックランドの絵は傑作だ、彼は天才だと力説するのです。
       ストリックランドは、ストルーヴの絵など全く歯牙にもかけておらず、評価すらしないという全く失礼な態度を取っているというのに、ストルーヴは手放しで褒め称えるのです。
       ストルーヴ夫人は、そんな失礼なストリックランドを毛嫌いしているというのに。

       さて、そのストリックランドですが、相変わらずの貧乏生活を続けており、遂には身体を壊して寝込んでしまいます。
       それを知ったストルーヴは、天才を放っておけないと言い張り、妻が強く拒んでいるのにそれを拝み倒してストリックランドを家に連れてきて看病し始めるのです。
       妻は、ストリックランドを連れてきたらきっと不幸なことが起きると言い張っているというのに。

       ストルーヴの手厚い看護の甲斐もあって、ストリックランドは健康を取り戻します。
       そして、ストルーヴのアトリエで絵を描き始めるのですが、ストルーヴが一緒に絵を描こうとすると「一人じゃなければ描けないので出ていってくれ」と言うのです。
       ストルーヴもストルーヴで、言われるままに家を出て行くのですね。
       何ともお人好しが過ぎます。

       困り果てたストルーヴは、遂にストリックランドに、そろそろ家に戻ったらどうかと持ちかけました。
       ストリックランドは、黙って荷造りを始めたのですが、何と、ストルーヴの妻も一緒に行くと言い出したのです。
       あんなに毛嫌いしていたストリックランドだというのに、何故?
       ストリックランドがどんなに悲惨な生活をしているかも分かっているだろうに。
       それでも、妻は頑としてストリックランドと一緒に暮らすと言い張るのです。

       ストルーヴは、事ここに及んでも、愛する妻がストリックランドのあのひどい部屋に妻が住むなど到底我慢できないと考え、自分が家を出て行くのでここでストリックランドと二人で暮らせば良いなどと言ってしまうのです。
       いくら妻を愛しているからといっても、これはさすがに……。
       妻は、もはやストルーヴのことなど全く考えてもいないというのに。

       本作は、このようなパリでのストリックランドの生活を中心に、語り手が共に過ごした時期のことを書いていきます。
       ご存知の通り、ゴーギャンはその後タヒチに渡るのですが、ストリックランドがパリを離れた後の消息については、語り手の聞き書きという形で、ストリックランドが亡くなるまでのことを書いていきます。
       そこにはフィクションも含まれており、本作ではストリックランドはタヒチで『らい病』にかかって亡くなったとされていますが、実際の所は諸説あるものの死因は不明のようです。

       今、『らい病』と書きましたが、私が持っている本は昭和50年刊行の本なので、その訳は相当に古く、今では使われなくなった言葉も沢山出てきます。
       ですので、特にこの版にこだわりがなければ、新しい訳でお読みになった方が良いでしょう。

       さて、この作品、タイトルがとてもチャーミングですよね。
       このタイトルの魅力で随分惹き付けるところがあるのではないかと思います。
       作中では、このタイトルの意味については全く触れられてはいないのですが、一般には、『月』は狂気を、『六ペンス』は現実を表しているのだと言われています。
       ストリックランドがどうしても絵を描かなければならないという情熱に駆り立てられた気持ちが『月』であり、そのために投げ出した現実が『六ペンス』なのだということでしょうか。
       ストリックランドは、タヒチで生活するようになって、ようやくその『六ペンス』のくびきからも逃れることができたということなんでしょうかね。

       物語として大変面白く書かれており、楽しめる作品だと思います。
       原田マハさんなど、美術を題材にした作品を書かれていますが、その源流とも言える作品と位置づけることもできるかもしれません。
       真実のゴーギャン伝とは異なるにせよ、一つのフィクション作品としての魅力は十分あるのではないでしょうか。

      >> 続きを読む

      2019/05/17 by

      月と六ペンス (新潮文庫)」のレビュー

    • >原田マハさんなど、美術を題材にした作品を書かれていますが、その源流とも言える作品と位置づけることもできるかもしれません。
      そうですね。きっとそういうとらえ方が正しいと思います。
      >到底信じられない話でした。
      本当にすごすぎるエピソードですよね。人間離れしすぎてて。
      かなり大胆なフィクションです。実際に作中でゴーギャンのゴの字も言っていないわけですし、小説ですからいいのですけれど。
      おそらく「時代」なんでしょうね。鴎外の舞姫とかと同じ系譜。
      女性の人権なんてあったもんじゃない。┐(´-`)┌
      芸術が苦しみであるとか、天才の宿命だとか、私は「美術」に関してはそれに同意できません。
      ここに書かれているのは、より多く、作家の苦しみだと思うんですよね。
      画家なんかに逃げないで「作家」を主人公にすればよかったのにと思います。
      絵描きは絵を描くのが好きですよ。
      ミケランジェロは「われに大理石の山を与えよ」と言っています。
      そして芸術家には完成というものはありません。
      もっと先、もっと先を夢見るのが芸術家です。
      なんかこの小説のストリックランドって私には画家としてのリアリティがゼロなんですよね…。
      >> 続きを読む

      2019/07/25 by 月うさぎ

    • 評価: 評価なし

       タイトルは有名で聞いた事あるけれど、未読だった名作シリーズということで読みました。

       実際、読んでみるとすらすらと読みやすく、イギリス人でありながら
      40歳から画家をめざして、パリへそしてタヒチへと流れていく、気難しい画家のストリックランドの数奇な運命。

       親切にしてくれる人、家族を皆、ばっさりと斬り捨てるような気むずかしさと非情さを持つと同時に魅力的でもある、という著者のつきはなした視線が全体を貫いています。

       無頼、破天荒、恩知らず、自分勝手・・・なんとも言えるのですが、その描いた絵は名作として評価が上がっていく皮肉。

       当然だけれども、いい人だからいい絵が描ける訳ではなく、天才だからいい人という訳でもないのです。
      語り手である小説家の「わたし」を通して見る芸術とは?幸せとは?
      人生とは?なのです。
      >> 続きを読む

      2018/07/03 by

      月と六ペンス (新潮文庫)」のレビュー

    • 評価: 4.0

      画家のゴーギャンの人生が元になってます。すごいお騒がせで近所にいたらすごく嫌なタイプ…しかもモテる。なんであの人に⁉︎です。
      本人は苦しんでいて、とてもナイーブで、今なら病名がついてしまうような疾患かもしれません。でも、当時はただのわがままな人で破天荒、絵はすごくてもね、な評価。
      その絵も理解できる人は少ないですが…
      題名も素敵ですが、隠された意味は夢と現実だそうです。
      主人公が不憫で応援したくなります。

      2017/06/20 by

      月と六ペンス (新潮文庫)」のレビュー

    • 評価: 5.0

      絵を描くために妻子を捨てパリに行き、後にハイチに行ったチャールズストリックランドという男の話。
      一言で表すとあらすじは上記のとおりなのだが、そんな話で面白いのかなという不安を覆し、何とも面白かった。パリでの最後の悲劇的な展開においては、面白くて読むことに集中して次を読むのに必死になっていた。

      話の中でストリックランドと対比するような存在としてストルーヴェが現れる。彼は話中でしきりに「道化師」と例えられてはいるが、彼なりの理想を追い求める美学と、類い稀なお人好しという美徳、あるいは現実的な生活力で、社会人として、パリの生活に適合しているように思える。ただ、危ないストーカーになるのはやり過ぎだと思うが。
      田舎に帰る前の彼の去り際の一言「僕には人間としてのプライドが欠けているんだ」が非常に印象に残っている。美徳の中でも親切心は徳が高い美徳だと思うが、彼は見返りの無い親切心を実行に移せる稀有な存在だ。そんな親切心に溢れる彼の、鋭過ぎる自虐が、私の心にも突き刺さって来る。心に痛む言葉として忘れられないだろう。
      >> 続きを読む

      2016/02/11 by

      月と六ペンス (新潮文庫)」のレビュー


    最近この本を本棚に追加した会員

    15人が本棚に追加しています。

    この本に関連したオススメの本

    取得中です。しばらくお待ちください。

    月と六ペンス (新潮文庫) | 読書ログ

    会員登録(無料)

    今月の課題図書
    読書ログってこんなサービス
    映画ログはこちら
    読書ログさんの本棚

    最近チェックした本