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月と六ペンス (新潮文庫)

4.2 4.2 (レビュー8件)
著者: サマセット・モーム
定価: 662 円
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    「月と六ペンス (新潮文庫)」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 評価なし

      有名な小説であり何度となく書店で見かけるうちに興味を持ち、カバーにある紹介文を除いて事前情報なしで読みました。読む前に何となくあった、ハートウォーミングなストーリーであるという予想は外れました。

      イギリスで証券会社に勤め、何不自由ない生活を送っていたと思われていた男が、ある日何の前触れもなく仕事と妻子を捨てて姿を消します。物語はひとりの作家の目を通して語られ、その男が失踪以降に生きた強烈な後半生を辿ります。他人の犠牲も厭わないエゴの極致ともいえる男の生き方に、作家である「私」は不快感を示しながらもその魅力に惹きつけられます。

      強烈な個性を放つある男を通して、人はいかに生きるべきかを探り、読み手に問いかける作品です。
      >> 続きを読む

      2020/07/23 by

      月と六ペンス (新潮文庫)」のレビュー

    • 評価: 4.0

      ある夕食会で出会った、冴えない男ストリックランド。ロンドンで仕事、家庭と何不自由ない暮らしを送っていた彼がある日突然、全てを捨ててパリに向かった。

      主人公は夫人に頼まれ、彼に会いに行くが…。

      文庫本の裏に書いてあるあらすじはだいたいこんな感じ。

      だが、とてもこの本は数行では語りきれない。

      ストリックランドを第三者から見るとこうだ。
      17年連れ添った妻と、子供二人をろくにお金も残さず捨てた。
      理由は、絵を描かずにはいられないから。
      その絵は売るためではなく、誰かに見せる訳ではなく、描かなくてはいけないから描いているのだそう。
      周りや自分自身にも興味がなく、死にかけていたとこを助けてくれた人にも感謝はしない。
      それどころか、命の恩人の妻を結果的に奪い、これまた結果的にその妻を自殺に追い込む。
      その後、各地を点々とし、タヒチに辿り着く。
      そこが、求めていた地だと直感的に理解した彼は新しい家庭を築き、死ぬまで絵を描き続けた。

      まぁ何とも自分勝手な人物に見える。

      でも。

      自分勝手とは何なんだろう。

      一般的な人間としての常識からはもちろん外れている彼。
      でも彼には確固たる執念があった。
      自分が感じた美や真理みたいなものを描かねばならなかった。
      その為には、人間関係や環境、肉体が感じる欲が邪魔でしかなかった。

      人としての思考を凌駕したものを追い求めていたのかもしれない。

      そんな彼を引き立たせる人物がいる。

      命の恩人、ストルーヴェ。

      ストリックランドとは真逆のような人物像。凡庸な、けど売れる絵を描く芸術家。ただ、審美眼があり、ストリックランドの絵を誰よりも早く評価していた。

      誰でも簡単に助けてしまって騙されることも多いストルーヴェ。ストリックランドを助けたことにより、最愛の妻は彼のもとへと行ってしまう。妻に捨てられてもなお愛していて、彼と妻に家を明け渡してしまう。

      その癖、周りには同情を求めて悲劇のヒーローを演じてしまう。

      自分というものを周りに決めてもらうような言動に終始イライラしてしまうが、それが最低であるはずのストリックランドのキャラを浮き立たせてしまう。

      また、ストリックランドと関わる女性達も彼のキャラをより特徴付けている。
      最初の妻や、ストルーヴェ夫人、二人目の妻。

      まぁ、この本は色恋がさして重要なポイントではないと思うけど、なくてはならない存在に感じた。

      一回読んだだけではこの本の真理には気付けない。

      夢とか希望とか、そういう人間っぽいことではなく、その人間が持っている使命感や宿命みたいなもの。
      そしてそれを成し遂げること。

      そこには、いわゆる人間的なことはなるべく排除して、誰にも理解されないような努力をしなければならない。

      読みながら、「自分はどうだ?」とずっと考えていたけど、答えは出なくて、読み終わった後に見慣れた日常が戻ってきた。

      でも、「あぁ、生きるってなんか…そういうことなのか」と漠然とした理解が得られる。

      そんな本だと思います。

      ただ、ちょっと気になることが。
      なぜストリックランドは40歳まで本性を隠し、普通の生活を送っていたのか。
      そしてなぜ、急に全てを捨てて本能のまま生きることにしたのか。

      まぁ、それはもう本人にしか分からないか。
      >> 続きを読む

      2020/05/15 by

      月と六ペンス (新潮文庫)」のレビュー

    • 猟奇殺人を全部「犯人サイコパスだから」という説明で終わらせるようなものです
      私個人的には全然納得できません。
      女性蔑視が散見されるし、モームって人が悪そうです。
      小説はこれが有名ですが、基本短篇の人ですよね。短篇は普通に読めますよ。
      >> 続きを読む

      2020/05/18 by 月うさぎ

    • 月うさぎさん
      確かにそう言われますと納得できないですね(笑)
      女性軽視などもろもろ含めて、モームさんの人間性や時代背景の結果なのかなぁと漠然と捉えています。
      むしろ、諦め?笑
      >> 続きを読む

      2020/05/18 by 豚の確認

    • 評価: 3.0

       ゴーギャンという天才画家の人生から
      インスピレーションを得て書かれた小説とのことですが、
      細部はずいぶん違うようです。
       
       でも、小説なのですから それで良いのです。
      問題は作品が読者に何を訴えかけてくるかなのですから。
       
       そういった意味では、
      本書は読む人によって随分 受け取り方の異なる本かもしれません。
       
       私はあまり深い領域まで読み下げられなかったかもしれませんが、
      著者が描きたかったストリックランドという画家の人生は
      観客として楽しまさせていただけました。

       あれだけ「我」をむき出しに生きた人でも、
      周囲には理解者や味方がいたというのは
      かなり特別なオーラを持った人だったんだろうなぁと
      小説の中の人でありながら思ってしまいます。
       
       そして、かなり奔放な画家にふりまわされてしまう
      まわりの人達の人生模様も含めて、
      なかなかの読み物ではあると思います。
      >> 続きを読む

      2019/10/30 by

      月と六ペンス (新潮文庫)」のレビュー

    • 評価: 5.0

      6月の課題図書。新潮社金原訳で読みました。

      ロンドンで仕事、家庭にも恵まれた男、チャールズ・ストリックランド。
      平凡で幸福な日々を過ごしていた中、ある日忽然とストリックランドは姿をくらませた。
      愛人と共にパリに渡ったと疑われたが、彼は四十を過ぎて心に秘めていたことに打ち込み始めていた。

      人として最低じゃないか…!
      序盤からずっとストリックランドにイラついていました。何なんだ、この最低男は。
      奥さん子どもを捨て自分の家庭を壊し、それだけでは飽き足らず、親切にしてくれた人の家庭まで壊す。
      ストリックランドに嫌悪感がすごく、不愉快な思いをしながら読んでいました。
      主人公やストルーヴェ、ブランチらがこいつに惹かれることに納得いかない。病気で献身的な介護をしてくれた人たちを最低最悪な形で裏切ることができる彼の人間性に失望していました。ストルーヴェがパリを去る辺りが怒りのピークでした。

      その後場面は変わり、タヒチ島での生活となりました。
      ストリックランドが幸せだった、タヒチでの結婚生活。
      なぜこんな男が幸せになるんだ。あんなことやこんなことをしておいて、彼だけが良い思いをしていいのかと。
      しかし、祖国では理解されなかった彼が、この島で自身を受け入れてもらったことについて徐々に考えさせられました。
      ああ、なるほど・・・彼の居場所はロンドン、パリではなかったのだ。そうなのか。
      少しずつ、穏やかな気持ちで読むことができるようになっていきました。

      そして読了。
      びっくりするほどの満足感を得ている自分がいました。
      才能ある人だったんだから、少しくらい人間性に問題あってもしょうがないのかな、と。少しでもなんでもなかったのですが。
      最低男・ストリックランドの生涯を追っているのに、不思議なほど物語はおもしろかったです。とてつもなく。「8ヶ月の娘を寝かしつけたら『月と六ペンス』!!!」が合言葉になるほどでした。(それまではアイスだったのに)
      おすすめの一冊です。
      >> 続きを読む

      2019/09/07 by

      月と六ペンス (新潮文庫)」のレビュー

    • 美空さん
      夜泣き&夜のミルクがいっぺんに終わったので、最近少し楽になりました~(>_<)
      気持ちに余裕が生まれると、読書ログのぞきたくなって。
      来月から復職するし、また来れたり来れなくなったりするかもしれませんが、またやりとりしていただけると嬉しいです☆本もそろそろ読み始めようかなぁ♪今は絵本しか読んでいないので。笑

      漫画も良いじゃないですか~!!!
      私も読もうかな。おススメあれば、ぜひ☆彡
      >> 続きを読む

      2019/11/26 by あすか

    • 月うさぎさん
      せっかく課題図書読んで褒めてもらったのに、、、月日の経つのが早すぎて恐ろしいです。
      この作品、本当にストリックランドが嫌すぎるのになぜかストーリーはおもしろくて惹き込まれるという、いろいろな気持ちが混ざっての読書でした。不思議な体験でした(^^;)そういう意味では、読めて良かったなぁと今でも思います。

      すみません、私、誤解を招く書き方してしまいましたが。。
      芸術家の方々のこと、非常識とか思っていませんよ~!!
      『仕事忙しすぎるサラリーマンが家庭を省みない、でもしょうがないかな』と同じくらいの意味合いで、軽く書いてしまいました。。レビュー書くってなかなか難しいですね><読まれた誰かが不快な思いをしていないことを祈ってます。うわーん(´;ω;`)
      >> 続きを読む

      2019/11/26 by あすか

    • 評価: 4.0

      【人間を駆り立てる狂気とは?】
       ご存知、サマセット・モームの有名な作品を読み直してみました。
       初読したのは中・高生の頃だったと思うのですが、今回の読書の方が随分楽しめたように思います。

       本作は、ご存知の通り、ゴーギャンをモデルにした作品です。
       モームが療養中に書き上げた作品で、モームが読んだゴーギャンの伝記に触発され、それを小説化したと言われています。
       但し、本作は必ずしも実際のゴーギャンの人生に忠実に書かれているわけではないとも言われています(モームが読んだという伝記に忠実なのかどうかはよく分かりませんが)。

       主人公のストリックランドという男がゴーギャンというわけです。
       本作では、ストリックランドは株式仲買人として勤めており、何とも退屈で平凡な男だというのが語り手の初対面の印象です。
       語り手は小説家なのですが、芸術好きのストリックランド夫人と知り合い、彼女に食事に招かれるなどしてストリックランド本人とも知り合います。
       ストリックランド夫人は良妻として描かれています。

       さて、そのストリックランドですが、40歳になっているというのに、突然仕事も家庭も放り出してパリに行ってしまったのです。
       最初は、誰か女を作って一緒に逐電したのだろうと思われていたのですが、夫人に頼まれてパリに行った語り手が見たところではそんな様子は全くありませんでした。
       ストリックランドは、汚い安宿で一人で暮らしており、女出入りなどなく、ろくに金も無い様子でした。

       ストリックランドが語るところによれば、どうしても絵を描かなければならないから家を出たのだというのです。
       ロンドンでは描けないので、パリに来たのだと。
       到底信じられない話でした。
       ロンドンでの安定した生活を捨て、妻子を路頭に迷わせることになるというのに一向に気に掛けず、また、自分が絵でやっていけるかどうか不安になりそうなものなのにそんなことも全く考えておらず、金が無くても「稼げばいいさ」程度の考えで全てを捨ててしまったのです。

       ロンドンにいる頃から密かに絵のレッスンには通っていたそうですが、それも程なくしてやめてしまい、誰かに師事することもなく、まったく独学で絵を描いているというのです。
       別に絵の才能があったというわけでもないのです。
       とにかく描かずにはいられないというだけなんです。
       そんなストリックランドの絵は、周囲の者達からは下手くそな奇矯な絵だとしか見られておらず、全く評価もされず、もちろん売れもしません。
       ストリックランド自身、絵を売るつもりもないようなんです。

       ここにもう一人の登場人物が現れます。
       語り手の知人で、パリで画家をしているストルーヴという男でした。
       ストルーヴは、画家とは言っても、その描く絵は極めて通俗的な面白くもない絵で、きれいに描いていることからある程度は売れはするものの、芸術的には価値のない絵でした。
       しかし、ストルーヴの審美眼だけは超一級で、その評価が誤ることはありませんでした。
       これだけの審美眼の持ち主なのに、何故自分ではこんなつまらない絵を描いているのかというのも不思議でならないところなのですが。
       また、ストルーヴは盲目的に妻を愛してもいたのです。

       そんなストルーヴは、ストリックランドの絵は傑作だ、彼は天才だと力説するのです。
       ストリックランドは、ストルーヴの絵など全く歯牙にもかけておらず、評価すらしないという全く失礼な態度を取っているというのに、ストルーヴは手放しで褒め称えるのです。
       ストルーヴ夫人は、そんな失礼なストリックランドを毛嫌いしているというのに。

       さて、そのストリックランドですが、相変わらずの貧乏生活を続けており、遂には身体を壊して寝込んでしまいます。
       それを知ったストルーヴは、天才を放っておけないと言い張り、妻が強く拒んでいるのにそれを拝み倒してストリックランドを家に連れてきて看病し始めるのです。
       妻は、ストリックランドを連れてきたらきっと不幸なことが起きると言い張っているというのに。

       ストルーヴの手厚い看護の甲斐もあって、ストリックランドは健康を取り戻します。
       そして、ストルーヴのアトリエで絵を描き始めるのですが、ストルーヴが一緒に絵を描こうとすると「一人じゃなければ描けないので出ていってくれ」と言うのです。
       ストルーヴもストルーヴで、言われるままに家を出て行くのですね。
       何ともお人好しが過ぎます。

       困り果てたストルーヴは、遂にストリックランドに、そろそろ家に戻ったらどうかと持ちかけました。
       ストリックランドは、黙って荷造りを始めたのですが、何と、ストルーヴの妻も一緒に行くと言い出したのです。
       あんなに毛嫌いしていたストリックランドだというのに、何故?
       ストリックランドがどんなに悲惨な生活をしているかも分かっているだろうに。
       それでも、妻は頑としてストリックランドと一緒に暮らすと言い張るのです。

       ストルーヴは、事ここに及んでも、愛する妻がストリックランドのあのひどい部屋に妻が住むなど到底我慢できないと考え、自分が家を出て行くのでここでストリックランドと二人で暮らせば良いなどと言ってしまうのです。
       いくら妻を愛しているからといっても、これはさすがに……。
       妻は、もはやストルーヴのことなど全く考えてもいないというのに。

       本作は、このようなパリでのストリックランドの生活を中心に、語り手が共に過ごした時期のことを書いていきます。
       ご存知の通り、ゴーギャンはその後タヒチに渡るのですが、ストリックランドがパリを離れた後の消息については、語り手の聞き書きという形で、ストリックランドが亡くなるまでのことを書いていきます。
       そこにはフィクションも含まれており、本作ではストリックランドはタヒチで『らい病』にかかって亡くなったとされていますが、実際の所は諸説あるものの死因は不明のようです。

       今、『らい病』と書きましたが、私が持っている本は昭和50年刊行の本なので、その訳は相当に古く、今では使われなくなった言葉も沢山出てきます。
       ですので、特にこの版にこだわりがなければ、新しい訳でお読みになった方が良いでしょう。

       さて、この作品、タイトルがとてもチャーミングですよね。
       このタイトルの魅力で随分惹き付けるところがあるのではないかと思います。
       作中では、このタイトルの意味については全く触れられてはいないのですが、一般には、『月』は狂気を、『六ペンス』は現実を表しているのだと言われています。
       ストリックランドがどうしても絵を描かなければならないという情熱に駆り立てられた気持ちが『月』であり、そのために投げ出した現実が『六ペンス』なのだということでしょうか。
       ストリックランドは、タヒチで生活するようになって、ようやくその『六ペンス』のくびきからも逃れることができたということなんでしょうかね。

       物語として大変面白く書かれており、楽しめる作品だと思います。
       原田マハさんなど、美術を題材にした作品を書かれていますが、その源流とも言える作品と位置づけることもできるかもしれません。
       真実のゴーギャン伝とは異なるにせよ、一つのフィクション作品としての魅力は十分あるのではないでしょうか。

      >> 続きを読む

      2019/05/17 by

      月と六ペンス (新潮文庫)」のレビュー

    • >原田マハさんなど、美術を題材にした作品を書かれていますが、その源流とも言える作品と位置づけることもできるかもしれません。
      そうですね。きっとそういうとらえ方が正しいと思います。
      >到底信じられない話でした。
      本当にすごすぎるエピソードですよね。人間離れしすぎてて。
      かなり大胆なフィクションです。実際に作中でゴーギャンのゴの字も言っていないわけですし、小説ですからいいのですけれど。
      おそらく「時代」なんでしょうね。鴎外の舞姫とかと同じ系譜。
      女性の人権なんてあったもんじゃない。┐(´-`)┌
      芸術が苦しみであるとか、天才の宿命だとか、私は「美術」に関してはそれに同意できません。
      ここに書かれているのは、より多く、作家の苦しみだと思うんですよね。
      画家なんかに逃げないで「作家」を主人公にすればよかったのにと思います。
      絵描きは絵を描くのが好きですよ。
      ミケランジェロは「われに大理石の山を与えよ」と言っています。
      そして芸術家には完成というものはありません。
      もっと先、もっと先を夢見るのが芸術家です。
      なんかこの小説のストリックランドって私には画家としてのリアリティがゼロなんですよね…。
      >> 続きを読む

      2019/07/25 by 月うさぎ

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