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オラクル・ナイト (新潮文庫)

5.0 5.0 (レビュー1件)
著者: ポール オースター
定価: 680 円
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    「オラクル・ナイト (新潮文庫)」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 5.0


      映画「スモーク」の脚本などで知られる、現代アメリカ文学を代表する作家、ポール・オースターの作品を最近よく読んでいるのですが、彼の作品には入れ子が頻出するなと思っています。

      つまり、物語の中に別の物語が登場するんですね。
      そして、それだけではなく、その物語は時としてオースターの手による別の作品とも名前やストーリーを共有し、書物の世界と現実の世界の境界を揺さぶってみせるのだ。

      病から回復しつつある主人公で作家のシドニーが、青いノートを手に入れて再び物語を紡ぎ出す。
      シドニーと妻グレース、そして先輩作家であるトラウズの三人の安定した関係は、グレースの妊娠とともに揺らぎ始め、シドニーは自分が気づかずにいた現実が隠されていた可能性にさらされる。

      物語の中の現実として提示される、このストーリーの合間に、シドニーが青いノートに書き付ける小説のアイディア、その中で残された小説の原稿、映画のシナリオとして構想した「タイムマシン」の改変物語など、多くの別の物語が挟まれ、さらには冗長なほどに書き込まれた注釈が、中心的物語の外側の物語を構築するんですね。

      増殖する物語は、次第に現実とシンクロし、物語の外の世界を変えていくかに見える。
      一方の現実は、輪郭を曖昧にして虚構へと傾いていく。
      謎の中国人が現われ、あった場所がなくなり、いたはずの人間が見えない。

      こうして現実と虚構が、同じ地平上に描かれる時、書物の外側にある我々読者の「現実」が書物の内側とはっきり隔たった場所だとは、もはや確信が持てない。
      つまりは、我々読者が連れて行かれるのは、そういう場所なんですね。

      この作品を読み終えて手元に残るのは、シドニーが書き付け、最後には破り捨てたのと同じこの本であり、ここでもまた我々読者は、オースターの世界に引き込まれていることに気付く。

      すべてが内側へ引き込まれていく、ブラックホールのような小さな点、まるで握った拳のように緊密な世界が、ここにはあるのだ。

      >> 続きを読む

      2018/11/14 by

      オラクル・ナイト (新潮文庫)」のレビュー

    • 月うさぎさん

      ポール・オースターの作品でのお薦めというか、私が個人的に好きな作品は、もうたくさんあって迷いますが、「偶然の音楽」「ムーン・パレス」「リヴァイアサン」が特に好きですね。

      この3作品は、ちょうどレビューをしようと思っていたところなので、ご参考になればと思います。
      >> 続きを読む

      2018/11/15 by dreamer

    • そうなんです。どれも高評価なので、迷うんですよね。
      プロットとしては「偶然の音楽」なんか私の好みっぽいです!
      dreamerさんのレビューが読めるなら、ありがたいです。楽しみにしていますね♪
      >> 続きを読む

      2018/11/15 by 月うさぎ


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