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百年の孤独

4.1 4.1 (レビュー5件)
カテゴリー: 小説、物語
定価: 2,940 円

蜃気楼の村マコンド。その草創、隆盛、衰退、ついには廃墟と化すまでのめくるめく百年を通じて、村の開拓者一族ブエンディア家の、一人からまた一人へと受け継がれる運命にあった底なしの孤独は、絶望と野望、苦悶と悦楽、現実と幻想、死と生、すなわち人間であることの葛藤をことごとく呑み尽しながら...。20世紀が生んだ、物語の豊潤な奇蹟。

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    「百年の孤独」 の読書レビュー (最新順)

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    すべてのレビューとコメントを開く
    • 評価: 4.0

      孤独を辞書で引くとこう定義される。

       仲間や身寄りがなく、ひとりぼっちであること。
       思うことを語ったり、心を通い合わせたりする人が一人もなく寂しいこと。
       また、そのさま。

      この作品に孤独という語は数十回登場し、時に応じて意味を変えるように思うが、
      それでも上のような一般的な定義でこの孤独を用いていないのは明白である。

      ブエンディア家は身よりも仲間も多い大家族である。
      基本的にパートナーがいない登場人物はいない。
      アマランタやピラル・テルネラのように、自ら独り身を選んだ彼女たちにおいても、誰からも相手にされなかった、といった孤独にはなかった。

      では筆者が言う、ブエンディア家の孤独、とは何か。

      これが本著を通じた最大の謎であり、楽しみである。

      奇想天外且つ似たような名前の登場人物が跋扈するぐるぐるした世界観。
      表現が奇抜且つ明るみを持つので面白いんだが、けして読みやすいとは言い難い。
      それでも、この謎が隠し味のようにきいて、ついつい読み進めさせてしまうのである。


      作品の最後において筆者はその答えを暗示する。

      アウレリャノとその叔母アマランタ・ウルスラの子供の誕生について、
      「この百年、愛によって生を授かった者はこれが初めてなので、あらためて家系を創始し、忌むべき悪徳と宿命的な孤独をはらう運命を担った子」
      と表現する。


      思えば創始者となるホセ・アルカディオ・ブエンディアとウルスラもまた近親(いとこ)での婚姻である。
      彼らは、豚のしっぽを持った呪われた子どもが産まれる、と親戚中から反対を受けた。
      このため、彼らは愛の交わりについては忌むべき悪徳と意識せざるを得なかった。

      その後のブエンディア家における夫婦の交わりも全て、どこか陰のあるものだった。
      祝福を受けて誕生した子どもは確かに登場していない。

      愛の行為を忌むべき悪徳として捉える価値観を払しょくするためには100年を待つ必要があった。というよりも、ウルスラが死ぬまで100年かかった、というべきかもしれない。
      ウルスラがもし最後の子どもが産まれる時まで生きていれば、必ずその悪徳について示唆したであろうから。

      最後の子どもが産まれるまでに、ブエンディア家の一族は殆ど退場している。
      近親婚の呪いを知るものがいなくなる。
      最後の子どもを産む夫婦に、その産まれる直前にどこからか手紙が届く。
      開封しようとする妻の手から夫は手紙を取り上げ、
      「やめてくれ。こいつの中身だけは知りたくない!」
      といってそのまま中身を見ずに手紙は消える。

      この手紙に「豚のしっぽ」の警告が書かれていたことは明らかである。
      それを知らないままにできたことが、彼らの新しい世界の門出に繋がったのである。

      結果的に彼らの最後の子どもは豚のしっぽをもって産まれる。

      世間の指摘は正しく、またその手紙も正しかった。

      しかし彼らは幸せに子どもを産み、子どもは愛のもとに産まれ、宿命的な孤独から解放される。

      豚のしっぽを恐れながら、豚のしっぽを産むことは無かったそれまでのブエンディア家達の非業とは明暗を分ける。


      ウルスラと同じ、或いはそれ以上に作品を通じて登場する柱となる人物がいる。
      それがピラル・テルネラである。

      彼女は、まだその名前も明かされずに、ただのトランプ占いとして登場した作品の冒頭においてウルスラにこう言っている。
      それはウルスラが、自分の息子の一物の大きさに恐れ、実は豚のしっぽではないか?と悩みを打ち明けた時の返答である。

      『女は、ガラスが砕け散るように家じゅうにひろがる、あけすけな笑い声を立てて言った。「そんなことないわよ。きっと幸せになれるわ」』


      ここで暗示されるのは性、愛の交わりへの肯定的解釈だろう。
      ウルスラの悪徳との理解と対照的な情景をつくる。


      結果的にこのテルネラの答え、愛の交わりの肯定的解釈が、幸せの入り口、孤独の出口であった。
      ウルスラの生が続く間、一族の孤独は続き、
      テルネラは最後の子どもが妊娠したのを見届けてから、その役目を終えて物語から退場する。


      面白いなあ、巧いなあ、という思いにつきる。
      読み応えに富み、ノーベル文学作品というのも充分に頷ける。


      何より、作品は一貫して明るく温かい。
      愛と孤独のテーマに対し、この一貫性を基調に、このプロットで描いた技術力には感嘆。


      いい作品を読めて嬉しい。
      >> 続きを読む

      2017/08/18 by

      百年の孤独」のレビュー

    • 評価: 5.0

      2017年夏の課題図書だったんですが、読み始めたら面白くって、さっさと読み終えてしまった。寂しい。

      現代アメリカ文学はすべからくガルシア=マルケスの血筋であると言っても過言ではなさそうなくらい、影響を受けた人は?という質問に彼の名前が出てくるので、読まなくてはと思っていたのです。読んでみてよくわかりました。確かに影響を受けている。

      100年にわたる一族の興亡。出会いと別れ、愛し愛され憎む人々。ものすごく濃密な群像劇でした。これは、面白い。

      どの人も美徳と欠点がありますが、一番印象的なのはアマランタの貞淑と情熱です。南部の女はすごいな。彼女が一番激しい人生だったような。

      神話のように長生きだったり、物理的に空に飛んで行ったり、ちょっと幻想的な描写があるのが、現代アメリカ文学につながっているように思います。突飛な出来事が平然と描かれるあたり。

      しかしすごかったです。名作と言われているわけがわかりましたが、うまく説明できるほどの語彙力がない。人間は誰もが生きているんだなぁなどと圧倒される一冊でした。とてもよかった。

      >> 続きを読む

      2017/07/17 by

      百年の孤独」のレビュー

    • わー百年の孤独ですね!私も数年前に読んだのですが、その年のベスト本でした。

      >2017年夏の課題図書だったんですが、読み始めたら面白くって、さっさと読み終えてしまった。寂しい。

      私は読んで途中は読むのが大変だったので、面白くてさっさと読み終えてしまうワルツさん、尊敬です…!

      私も本当にすごいと思ったのですが、全くその良さを自分の文章で表現できませんでした。でもこうやってワルツさんと面白さを共有できてうれしいです!!
      >> 続きを読む

      2017/07/18 by chao

    • > chaoさん
      おお、やっぱりベストオブイヤーに輝く小説なんですね。休日にマコンドにいる気分で、暑い部屋のなかひたすら読んでいました。
      なんだかずっしりぎっしり濃縮された小説でしたね。100年もあるのでなかなか語るに難しいと思います。私も語彙が足りない…
      凄い本を読むと誰かに話したくなりますね♪私も共有できてうれしいです!!
      >> 続きを読む

      2017/07/20 by ワルツ

    • 評価: 5.0

      ホセ・アルカディオ・ブエンディアとウルスラ・イグアランから始まる村、マコンドを舞台に、ブエンディア家の出来事を百年に渡り描いた物語で、ジプシーが奇妙な魔術や錬金術の品を持ってきた出来事から、村の始まり、結婚から出産、はては、その時に夢中になっていたことまで、多岐に渡るエピソードから作られています。

      そして、ブエンディア家の人は個性が強く、物事にのめりこみやすかったり、洞察力の優れた人もいれば、行動力がある人もいて、そしてその分、堕落しやすかったりと、人のよいところと悪いところを集約したような人々。

      それにしても、読んでいて途中までは「アウレリャノ・ブエンディア大佐武勲伝」の間違いじゃ・・・とも少し思ってしまいましたが、読み進めていくと「百年の孤独」であることに納得です。
      一つ一つのエピソードだと確かに「アウレリャノ・ブエンディア大佐武勲伝」であったり、「木に吊るされた男」「メルキアデスは二度死ぬ」であるかもしれないのですが、そこにあるのはある種の人間の縮図。人間が孤独に至る様々な形が描かれています。

      これを読んでいると、孤独の宿命付けられているのは、ブエンディア家ではなく、人間自体なのでは・・・とも
      >> 続きを読む

      2016/04/24 by

      百年の孤独」のレビュー

    • > 百年の孤独

      確かこんな名前のお酒が有りましたよね。

      2016/04/25 by ice

    • ググると本より上に来るとは・・・有名なお酒なんでしょうか?
      それとも単に需要の問題か・・・。 >> 続きを読む

      2016/04/25 by ミコト・T

    • 評価: 5.0

      正直とても読みづらく、なかなか読み進められなかったけども、だんだん惹きこまれた。読み終わった時は「出会ってしまった…!」と思った。

      マコンドという小さな村でのホセ・アルカディオ・ブエンディアとウルスラの2人から始まる百年、7世代のブエンディア一族の物語。

      それぞれが懸命に生きるのだが、ドラマティックであると同時に愚かでバカバカしくもあり、滑稽である。ゆったりと代々のブエンディア家の人々の物語が流れるので断片を切り取ったのではわからないが、俯瞰してみると皆、確実にブエンディア一族としての運命を背負い、その枠を超えることはできず、見ていて怖くもある。そしてこの物語は人間、あるいは国家の縮図なのではないかとさえ思わされた。

      本を閉じた時は鳥肌。
      それくらいリアルで豊かで面白い物語だった。

      本題とは全く関係ないが、ブエンディア一族の男性の名前がほとんどアルカディオかアウレリャノなので名前を覚えるのが物凄く大変だった。アウレリャノに関しては20人以上(!)登場する。でもこれから読む人も大丈夫、本に家系図が付いてます笑。
      >> 続きを読む

      2015/06/24 by

      百年の孤独」のレビュー

    • 弁護士Kさん
      たしかによくよく考えると空に消えた美女とか突っ込みどころありますね笑。でもそれも自然に受け入れて「人間の縮図だ!」とか思わせるマルケスは只者じゃないですね。

      本当に久しぶりに「うわぁ面白い…!」と思える本に出会えました。きっとこれもchao的世界の10大小説に仲間入りです。弁護士Kさんにオススメしていただいたおかげです。ありがとうございました!再読もしてみようと思います♪
      >> 続きを読む

      2015/06/25 by chao

    • 課長代理さん
      そうなんです。エンタメとかそういうのではないし、面白くてどんどん読んじゃうーという本でもないので気軽に人におすすめできる感じではないのですが私も名作だと思います!!

      それにしても、ご夫婦で読書が趣味ってステキですね♪ 課長代理さんの奥さま、読書ログに参加していただきたいです♪♪
      >> 続きを読む

      2015/06/25 by chao

    • 評価: 4.0

      想像力を掻き立てられるタイトルに惹かれて手に取ってみた、名著の誉れ高いこの本。

      冒頭の一節こそタイトル通り登場人物の寂しい人生を想像させるものだったが、それ以降は中南米の架空の村マコンドの賑やかな開拓史と、それを主導したブレンディア一家のやたらとエネルギッシュな人間模様がこれでもかと展開されていった。

      ここで起きる出来事は、幽霊であったり、錬金術であったり、眠り病であったり、政党間の争いであったり、ものすごく大きくてモテたり、戦争したり、何年も続く長雨であったり、美人が空に飛んで行って消えてしまったり、愛をはねのけ続けたり、鉄道が開通したり、赤ちゃんにしっぽが生えていたり・・・と、虚実が猥雑に入り混じった形で次から次へ提示される。
      しかも、この一族は同じ名前ばかり付けるので、途中、家系図と照らし合わせながら何度も読み返さなければならず相当読み進めるのに難儀したが、他の出来事同様それが当たり前のように話が進むので段々気にならなくなっていった。
      こんな感じで常識と非常識の境界を曖昧にさせられるようなどんちゃん騒ぎが浴びせかけられるのだが、時折登場人物が見せる人間のばかばかしさとかどうしようもなさとかには普遍的なリアリティがあって身に迫ってくるものがあった。

      と、中盤までの物語は、生きたいように生きている彼らを通じてコントロールに価値を置く社会へのカタルシスを感じ、これは人間の営みへの賛歌なのだろうなと思いながら読み進めていった。
      だが、ダイナミックながら孤独というか、ただただ個として暮らしている面々の生きて死んでいく様が無造作に放り投げられているのを眺めていると、日本的な憐れさとか儚さとかいう感情とは別次元の不定形な濃い影が心に残されていった。
      そして、巻き起こる出来事に翻弄されながらやっと辿り着いた先にあった救いの萌芽がラスト数ページのアクロバティックな展開によって脆くも崩れ去り、それまでの全ての出来事は、チャンチャン♪という効果音でも流れてきそうな呆気なさで虚無になだれ込んでしまったのだった。

      読み終わって行き場を失った感情が様々な方向に流れていったものの、どうにも解釈のしようがなく落ち着き先が見つからないのでそのまま放っておいて数日。このレビューを書きながら思うことは、この世界には喜びや悲しみ希望や諦念が溢れているけど、何がどうあろうと、実像は身も蓋もないものなんだなという月並みな達観だった。ただそれが仄かな肯定感を伴って腑に落ちているところからして、きっと自分にとって悪くない小説だったのだろう。

      ということで読了後すぐであれば☆3つで、今の感想は☆4つでした。

      >> 続きを読む

      2015/03/29 by

      百年の孤独」のレビュー

    • Pettontonさん、お久しぶりです♪
      私も読みたい本かなり上位で実は先日ついに購入しました!!が、これは集中してしっかり読みたいのでタイミングを図ってます。なので、読破してからレビュー拝見します♪♪ >> 続きを読む

      2015/03/29 by chao

    • 月うさぎさん

      最後、呆気ないんです。しかも、そこに行き着くまでの臨場感が凄かったので、空白に一人取り残された感じでした。
      それでも、何かが腑に落ちちゃところが神話的と評される所以なんじゃないかなと思います(笑)是非読んでみてください!

      素頓卿さん
      ガルシア=マルケスがラテンアメリカ文学ブームに遅れまいと必死で書き、そして売り込んだことを訳者の方があとがきで書いてました(苦笑)
      世界中で売れたということなんですが、各文化でどんな受け止められ方をしたのか興味が湧きます。

      chaoさん
      この本、一度は挑戦してみなければと思わされる存在感がありますよね!
      他の人がどう読むか。というより、読んだ後にどう感じるのか全然想像がつかない本なので、読んだらレビューしてくださいね!
      >> 続きを読む

      2015/03/29 by Pettonton

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