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憂鬱な10か月 (新潮クレスト・ブックス)

4.3 4.3 (レビュー2件)
著者: イアン マキューアン
いいね! Tsukiusagi asuka2819

    「憂鬱な10か月 (新潮クレスト・ブックス)」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 5.0

      憂鬱な気持ちで誕生の日を迎えようとしている主人公は、なんとお腹の中にいる胎児。
      ラジオ等から情報を収集し、博識で常識があります。
      そんなすごい胎児の母親は、夫の弟と不倫をしていて殺人まで犯そうとしています。
      自分は生まれたらどうなってしまうのか。

      胎盤からワインを嗜むという胎児らしくないコミカルさに笑わせてもらったり、
      母親のお腹に向かって蹴ったり手摺を持たないで階段を下りる母親へ危険を訴えたり。
      お腹の中でどのように感じているか、読んでいて想像力を掻き立てられるのが楽しかったです。

      終盤、自分は生まれてこないほうが良いのかも、と覚悟を決めようとするのが切ない。
      もっと切なかったのは、母親がベビーグッズを買った形跡がないことを知っていること。
      妊婦検診ちゃんと行っているのかな。心配になりました。

      破滅が待っているであろう未来、というどうしようもない展開でしたが、意外にも物語のラストはとても感動的で。
      この感想打ち込んでいる今も涙が止まらないくらい。
      生命の誕生ってなんて美しいのでしょうか。

      現在自分自身が臨月を迎えていて、不安もあったり、ずっと一緒だったから出産を迎える淋しさもあったのですが
      (転職したばかりで慣れない中、共に過ごした相棒だと思っています)
      早く会いたいなと幸福感に満たされました。
      月うさぎさんのレビューのおかげで読むことができた本です。
      このタイミングで読めて本当に良かったと思いました!
      >> 続きを読む

      2018/12/04 by

      憂鬱な10か月 (新潮クレスト・ブックス)」のレビュー

    • 月並みですが、あすかさんの安産を遠くよりお祈りしております。
      ベビーちゃんとの初対面が、今から楽しみですね。
      なぜか、可愛く見えるんですよ。あんなくちゃくちゃが(*^^*)
      >> 続きを読む

      2018/12/13 by 月うさぎ

    • 月うさぎさん、ありがとうございます!!!!!!
      からだもお産の準備ができているようで、後は陣痛を待つばかりです。
      今は不安もなく、くちゃくちゃな赤ちゃんと早く対面したい気持ちでいっぱいです( *´艸`)
      >> 続きを読む

      2018/12/13 by あすか

    • 評価: 4.0

      「というわけで、わたしはここにいる、逆さまになって、ある女のなかにいる。じっと腕組みをして、待っている。待っている」
      小説の冒頭です。「というわけで」とは、どういう訳で?

      なんと語り手は胎児!!この斬新さだけでも凄い!のに。
      彼の愛する母親は、彼の父親=母の夫を、愛人と共に殺そうと計画しているではないですか!
      そうと知っていても手も足もでないとはまさにこのことです。

      父親殺しは阻止できるのか?
      殺人犯になってしまった母から産まれた後の人生はどうなってしまうのか?
      「だとすれば、生まれないほうがいいのかも……。」

      『生まれるべきか、生まれざるべきか、それが問題である』?
      ふっふっふ。お気づきになられましたね。
      「生きるべきか、死ぬべきか?」(To be,or not to be?)
      この小説はシェイクスピアの「ハムレット」を下敷きにしています。
      それだけではなく「リア王」やら「マクベス」やら他にもやたら多くの引用が当然のように出てきます。
      日本人なら芭蕉の俳句を知っているのを前提とするみたいに。

      そもそもこの小説の原題が【Nutshell】でした。
      "I could be bounded in a nutshell, and count myself a king of infinite space, were it not that I have bad dreams."
      ハムレットのこの名セリフからとられています。

      現代の世界の憂鬱で悲観的な姿を指摘しながら、それでも世界に出でて自由に生きてみたいと決意する彼。
      現代社会を担う一因子である私自身の心も痛みます

      といって、この格調高き小説は、ユーモア小説でもありますし、クライム・ノベルでもあります。
      私はこの本の書評を新聞で読んで、もっと社会風刺的な寓意的な小説を想像していたのですが、それは違います。
      小説家が自由に想像力を駆使して描いた小説として素直に読むべきだと思いました。

      この胎児君。母体に居ながら限られた情報を収集し分析し想像し、子宮内で窮屈な思いをしつつ外界を把握し理解し、充分知的な生命体として存在しているのですが、
      それはラジオやポッドキャストなどを始終聞く癖のある母からの恩恵によるものでした。
      母の摂取するワイン(のアルコール分)が血液に混入し彼のもとに届くので、ワインの知識さえもソムリエ顔負けにあるのです。

      胎児に胎教を、なんて指南本がたくさんありましたよね。
      それどころじゃないですね~。
      産まれる前から人格できあがっていますし、知識量ったら半端ないです。
      自分が胎児であり母の腹に閉じ込められていることも認識していますし、近い将来産道を通って産まれる予定も見通しています。

      三島由紀夫が「仮面の告白」で産まれ落ちたときの産湯の記憶が鮮明にあると主張していましたが、そんなレベルじゃないですから。

      しかし、ナンセンスとかシュールではないのがこの小説の面白さ。
      「ハムレット」読み直さなくちゃ…。

      「胎児の記憶」が正しいか否かはおいておいて、
      一つ言えるのは、きっと、胎児は産まれようとして産まれてくるのだろうということ。
      その意志あればこその命。

      さて、この不倫な男女の殺人計画の行方はどうなるのでしょうか?
      主人公の胎児君の「計画」とは?


      イアン・マーキュアンの2冊目でしたが、
      すでに断言できるのは、女性の性的な面の表現がめちゃくちゃうまいです。
      引き合いに出してごめんなさいですが、村上春樹のセックス描写がエロティックな興奮を全く喚起させないのと真逆です。官能的であるというのとはちょっと違うんです。
      女性の性感をわかっている人みたいな気がします。
      「初夜」では性的に嫌悪感を抱く女性が「憂鬱な…」では性的興奮に忘我する女性が描かれますが、ともに極端な人格ではなくて、充分ありえる現実感で描かれます。
      嫌悪=不感症ではないですし、セックス好き=色狂いではない。行為と感情とパーソナリティーは別物であることがちゃんとわかっている人なんですよね。
      ここ、区別のつく男の作家はホントに少ない。女でも少ないようです。

      そして初めて見る母の顔。
      それは、もちろん、男性でなければ、書けないこの一文。
      「この顔のなかに全世界がある、とわたしは思った。美しくて、愛情にあふれていて、人殺しをしかねなかった」

      イアン・マーキュアンはジェンダーも世代や年齢も乗り越える作家なのかもしれません。
      >> 続きを読む

      2018/11/11 by

      憂鬱な10か月 (新潮クレスト・ブックス)」のレビュー

    • chaoさん
      絵本とも、アン・シャーリーの話とも真逆な小説ですよ~。(^m^ )クスッ
      ネタバレしたくないので、本文レビューでは結末を書かないようにしています。
      でも、この本、結末がとてもすてきなんです。
      女から母へと変わる瞬間はまさにこういうものだと思えます。
      子どもは母親をこう想ってくれるといいな。っていう願いもこめられていて。
      胎児君。大丈夫。生まれてこなければよかった命なんてないよ。
      そう言ってあげたい。
      >> 続きを読む

      2018/12/05 by 月うさぎ

    • あすかさん
      胎児君、愛らしいですよね!
      ちっとも可愛げがない、感情移入できないという意見もあって、驚きました。
      かなり問題のある男女しか出てこない小説ですけれども。
      ブラックな部分も皮肉な視線もコメディな要素もいろいろあって
      「まさに小説」という1品です。
      あすかさんの評価もよくて、ほっとしています。ご一緒できてよかった♡
      >> 続きを読む

      2018/12/05 by 月うさぎ


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