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悪党の裔

4.0 4.0 (レビュー1件)
カテゴリー: 小説、物語
定価: 1,682 円
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    「悪党の裔」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 4.0


      日本の歴史において中世期に登場した「悪党」というのは、歴史学的には、農耕民のように定住するのではなく、技術を売るために諸国をめぐったり、物流によって利益を得たりした集団のことを言うんですね。

      後醍醐天皇を助けたのが、この「悪党」だったことは、中世史の第一人者、網野義彦の「異形の王権」での論考で指摘されていますね。

      今回読了した北方謙三の「悪党の裔」は、このような最新の歴史研究を援用しながら、悪党・赤松円心の生き様を描いた小説ですが、この作品でとても興味深いのは、歴史の流れが基本的に赤松円心を中心に再構成されていることなんですね。

      そのため、円心が知っていることは我々読み手側にも伝えられますが、円心がキャッチしていない情報は、分からないままにされることも多いんですね。

      それだけに、南北朝の動乱が深まるほど、敵と味方が分からなくなり、日本史の教科書でお馴染みのエピソードが違った様相を見せるので、最後までワクワクするような興奮が途切れることがありません。

      自分に厳格なルールを課し、それを守るためには周囲から誤解されても、一切の妥協をせず、反論もしない円心の生き様は、北方謙三がずっと書き続けて来たハードボイルド小説の主人公そのものであると思うんですね。

      立場は違えど、盟友と認めた楠木正成の死を、「悪党は、燃え尽きたりしないものだ」と断じる円心のストイシズムは、とにかく読んでいて、惚れ惚れするほどカッコいいんですね。

      だが、この作品の凄いところは、登場人物の魅力だけではなく、限りなく三人称一視点に近い形式で歴史を描くという困難に、北方謙三が挑んだ点にこそ、ハードボイルドの神髄があるのだと思う。

      北方謙三の歴史を題材にした小説は、常に権力に反抗する男たちを描いているので、寡兵で大軍に立ち向かうケースが多いんですね。

      この作品でも中盤の六波羅探題との合戦、そしてクライマックスの新田義貞軍の阻止戦と、迫真のスペクタクルが二度も描かれています。

      このように、反権力の組織にシンパシーを感じている北方謙三の作家的姿勢がとても好きで、これからも彼の作品を読み続けていきたいと思っています。

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      2018/08/30 by

      悪党の裔」のレビュー


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