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人はいかに学ぶか―日常的認知の世界 (中公新書)

4.0 4.0 (レビュー1件)
著者: 波多野 誼余夫稲垣 佳世子
定価: 778 円
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    「人はいかに学ぶか―日常的認知の世界 (中公新書)」 の読書レビュー (最新順)

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    • 匿名
      評価: 4.0

      ★概要
      この書籍は従来の「伝統的学習観」に対して、最新の認知学的研究から判明した事柄を提示し、人間は決して「怠惰で無能な学び手」ではなくて、自分から意欲的に学習する「有能で勤勉な学び手」であることを証明することを目的に執筆された。

      ★キーワード/認知的制約
      生得的なものと見られている。要するにこれは、学び手の頭のなかに存在する可能な解釈や仮説の範囲を限定する規則のことだ。これのおかげで、人は必ずとはいえないにしろ、大方の場合は適切な解釈・仮説に到達しうるのである。

      ★キーワード/現実的必要
      人は現実環境で何かが必要とされた場合、それを学ぼうとする強い意欲を発生させる。しかしそれには「二つの条件」が存在しており、まず第一にはその問題が学び手自身にとって、自己の現実問題を処理するうえで不可欠だ、ということをきちんと認識していなければならない。他人によって作り出された「必要性」は、この条件を外れてしまう。第二に「目標」と「学ぶこと」のあいだに本質的に切り離せない関係がなくてはならない。

      ★キーワード/知的好奇心
      人はより深く何かを理解したいという欲求を有している。環境に対して「規則性」を見出そうとする傾向を自然ともっているのだ。ただ単に「できる」から「理解する」というフェーズに移行する内的動機を抱えているといってよい。しかしその知的好奇心は「心的余裕」があってこそ発生するものだと理解しなくてはならない。「理解」とは新しく入力される情報を、既存の知識と関連づけて、そこに整合性を見出そうとする活動である。それゆえにそこには「多大な心的努力」が必要とされるのであり、このような状況は学び手自身が「心的な余裕」を抱えていなければ、達成することはできない。

      ★キーワード/文化が後援する有能さ
      こうした「学び手の有能さ」は、社会を構成する文化にも支えられている。大きく分けると、それは二つで、一つは「手続き的知識」を外化したものであり、人間の行う活動を肩代わりするだけではなく、人間の能力を増幅化したり、どのように実行すればよいのか、という情報を埋め込まれていることも多い。こうした施設や道具を利用することにより、人間は手際よく問題を解くことができる。もう一つの有力な仕組みは、知識の外部化である。知識を記号化(数字や文字、絵)して、外部に置くことにより、それらを参照できるようにするのである。こうした環境下では「学び手」はますますその有能さに磨きがかけられるのであり、となると「文化的真空」状態においては、「学び手」はその有能さを十全に発揮できないということにもなる。

      ★キーワード/他者が支える有能さ
      「他者」は機械と比べて、たいへんすぐれた学習装置である。同時にこの他者とは知識の多寡が問題なのではなく、関心は共有しているものの、視点の異なる者がよい。こうした他者との意見交換や、他者のやり方を模倣し、そこから知識を進歩させていくことは、学習において非常に有益である。

      ★キーワード/既存知識は新たな習得を助ける
      よく構造化された知識は、もうひとつの「認知的制約」となって、人の推論や仮定、解釈を助ける。これは生得的なものとちがい、より柔らかな方向付けとして働き、優先的に探索するべき範囲を示唆してくれる。「意味」を理解するということは、原理的に新しい情報と既存の情報のあいだに、関連性を見つけることにある。したがって他人の持つ知識を効果的に摂取するためには、豊かな既存知識と、それを素早く取り出せることが必要なのである。

      ★キーワード/日常生活で学ぶことの限界
      しかし日常生活で学ぶことにも限界はある。なぜなら現実的必要のみで学ぼうとする場合、あくまで「原理」を理解するのではなく、その結果を生む「手続き」だけを理解しようとすることがあるからだ。その場合、一定の環境においては効果を発揮しても、なぜ効果を発揮するかという背景は理解できないので、ほかの環境に置かれたときに、上手に対処できないことがある。つまり応用力に欠ける有能さなのである。さらには手続きの背景にある「概念的知識」を取り込もうとすることもないため、しばしば誤った概念に導かれてしまうこともある。大事なのは「なぜこれでうまくいくのか」という内省であろう。
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      2016/01/14 by

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