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越前竹人形 (中公文庫 A 19-11)

4.0 4.0 (レビュー1件)
著者: 水上 勉
カテゴリー: 小説、物語
定価: 327 円
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    「越前竹人形 (中公文庫 A 19-11)」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 4.0

      (新世紀エヴァンゲリオンと越前竹人形は似ている)

      「新世紀エヴァンゲリオン」は、ご存知のアニメ作品、「越前竹人形」は水上勉の小説です。悲しいお話であるのは両者共通に思えますが、深い深層においても共通性があるかと考えました。今回はその点を追っていきたいと思います。

       「越前竹人形」は、雪深い福井の山の中が舞台です。腕のよい竹細工の職人・氏家喜左衛門の息子・氏家喜助は、父に似て、身長が異様に低く(4尺あまり=130cm程度)、陰鬱な容貌をしていましたが、竹細工の修行は父の元で怠りなくやっていました。その父が亡くなった際、墓参りにきた女性・・・折原玉枝のことが忘れられず、彼女を口説きに芦原温泉の遊郭に通います。

       玉枝は病気持ちでした。でも喜助は彼女を福井の山奥に招き、共同生活を始めます。ついで、父の喜左衛門が作っていた「竹人形」も復活させます。彼の作る人形は、精緻この上なく、京都・大阪・名古屋にまで名声が聞こえ、どんどん注文が入ります。氏家家も潤っていきます。

       ただ、喜助は(母と容貌が似ていることを聞いていましたから)、玉枝をあくまで母親扱いしてすごし、同衾しても玉枝を抱きませんでした。「竹人形」を作ることが彼の玉枝への愛情の印だったのです。そして熱く燃える体をもてあました玉枝は、人形を買いにきた問屋・兼徳の番頭で不実な男・崎山忠平(遊郭で玉枝と寝たことのある男)に身をゆだねてしまいます。そして、見事に妊娠してしまうのです。

       この件について、玉枝は一人で悩みます・・・喜助は一指も彼女に触ってないのですから、妊娠したと打明けることが出来ず、京都まで出て行って崎山にすがろうとしましたが、体よくかわされてしまいます。途方に暮れた彼女は・・・といった粗筋の作品です。

       喜助は玉枝に似た母、顔も知らない母への慕情がつよく、その代わりに玉枝を求めたのでした。玉枝は喜左衛門に愛されたこともある女性で、ここでは父子双方にとって極めて親密な関係性を持つ女性です。だからと言って、「母と寝る」ことは喜助にとって出来ないことです。

       エヴァンゲリオンに出てくる綾波レイの場合、碇ゲンドウを夫とし、碇シンジを息子とする女性・・・「碇ユイ」のクローンが彼女・綾波レイです。ゲンドウは、妻のコピーであるレイを偏愛しますし、直接に母を知らないシンジはシンジで、レイに淡い恋心を抱きます。でも、恋人として愛するには、なにか足りない・・・もし結ばれれば「近親相姦」という事態になることを、本能的に薄々知っていたのかも知れません。

       シンジには淡い恋心があったにせよ、レイとは恋人として付き合うことはできなかったのです。レイの場合は、もっと複雑で、実際、使徒との戦闘中に、「あまりに心に忠実にされる心理的攻撃を「使徒」から受け・・・・(シンジ君と一つになりたい)」という願望を抱き、そう思うのは使徒の思うつぼでしたので自爆するという選択肢を選びます。

      ここら辺の事情が、これら2作品の類似性を担保するかのように思います。「レイはシンジを求め、シンジはそれを回避する」ように「玉枝は喜助を求め、喜助はそれを回避する」というわけです。そして強調したいのは、喜助もシンジも、実の母を知らなかったということですね。

      もしかしたら、「越前竹人形」が人形という作品を介して、愛情を伝えるという状況だったのと同じく、「エヴァンゲリオン」という擬似生命体を介して、愛情を伝え合うという状況を呈しているのが「新世紀エヴァンゲリオン」というお話だったかも知れません。生きるのが不器用な人たちのお話だというのが、よく似ているように思えます。
      >> 続きを読む

      2013/10/05 by

      越前竹人形 (中公文庫 A 19-11)」のレビュー

    • >アスランさん
       ヒットした作品ですが、知らない人は知らないのですねえ。私には、ロボット・アニメという括りからは、「エヴァンゲリオン」は自由だなあ、と思います。 >> 続きを読む

      2013/10/08 by iirei

    • >busio さん
       確かに、ほかの2人の女性パイロットが「決然と」エヴァに乗り込むのに対し、シンジはうじうじしている場面が多いですね。 >> 続きを読む

      2013/10/08 by iirei


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