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失敗の本質

日本軍の組織論的研究
4.1 4.1 (レビュー5件)
定価: 800 円
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    「失敗の本質」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 5.0

      日本軍の敗北の要因を組織論の観点から分析した本。近年盛んに叫ばれる「ダイバーシティ」や「レジリエンス」に似た主張がなされていると思われた。

      ・大東亜戦争のリーダー群は、暗記・記憶力を強調した教育システムを通じて養成されてきた。
      ・適応は適応能力を締め出す。日本軍は環境に適応しすぎたことにより、環境変化に対応する能力がなくなっていた。
      ・既存の知識や行動様式を捨てることを、学習に対して学習棄却という。
      ・適応力のある組織は、絶えず組織内に緊張を創造し、多様性を保持してコンティンジェンシーに対応しなければならない。 >> 続きを読む

      2018/01/03 by

      失敗の本質」のレビュー

    • 評価: 5.0

      本書は、日本軍の大東亜戦争(太平洋戦争)敗北に至る諸戦闘に対する考察を通して、その原因を探ろうとするものである。

      他のレビュアーさんが書いているが、本書(特に前半部)は読みにくい。読み進めるには、戦前の日本軍の動きや置かれていた国際状況等について、一定以上の知識が必要と思われる。

      本書によると、失敗(敗北)の原因は、①「日本軍は環境に適応し過ぎた結果、環境不適合を起こした」こと。既成秩序に異を唱えてビッグピクチャーを描いたものの、②「戦争終結に対するグランドデザインを持っていなかった」、論理的思考、目的思考でなく③「空気に流されて意思決定を行った」、等々たくさん書かれている。

      特に①に関しては、日本軍は自己革新機能を持ち得なかったと、結論づけられている。米軍は、戦争勝利に向けた組織・体制の刷新を幾度も繰り返していたと書かれている。

      余裕の違いと言えばそれまでだが、バブル崩壊後の社会・企業文化にも通じる言葉であり、「これだけの犠牲を払ったのに失敗に学べないの?」と軽い虚無感を覚える。というか、民族の特性なのではと考え、暗澹たる気持ちになる。

      本来、社会には余裕が必要なのだ。そして、余裕を生産性向上に回す仕組みが必要なのだろう。1人でできることは限り有るけども、積極的に自分から発信し、行動していこうと思う。

      ちなみに、読了を諦めた方には、執筆者一同による巻末の「あとがき」をおすすめしたい。そこに全てが凝縮されている。


      【P411】
      日露戦争から36年後の1941年、わが国は既存の国際秩序に対して独自のグランド・デザインを描こうとする試みを開始した。そして、3年8ヶ月の失敗の検証を経て、この試みは挫折した。これによって、日露戦争によって獲得した国際社会の主要メンバーとしての資格と地位を全て喪失した。
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      2017/06/22 by

      失敗の本質」のレビュー

    • 評価: 5.0

       まずこの本を読むには(特に前半の各戦の分析に関しては)満州事変に端を発する15年余りの戦争に関しての知識が必要不可欠であることは間違いないと思います。様々な部分で名著として推薦されている本書ですが、これを入門とするのはかなり難しいでしょう。この本を読む前に攫うだけでも良いのでこの時代の日本の動きを勉強しておく必要があります。

       逆に言えば、この時代の現状や陸海軍の組織を知っていれば知っているほど面白いし、考えさせられる部分が多い本でもあります。日本軍の失敗を徹底的に究明し、組織論に繋げていく流れは一冊の本として非常によくまとまっていると思います。私は日本陸海軍がなぜこのような組織と化したのか、明治期からの軍制度などについても学びたくなるなど、知識欲を掻き立てられました。

       個人的にはこの日本軍の組織体系は戦後の日本企業に受け継がれ、それがバブル崩壊から始まる一連の不況によって二度目の敗北を喫したのではないかと考えています。

       考え方は人それぞれだと思いますが、1冊の本から色々なことを想起・考察させられるという点でも名著と言えるのではないでしょうか。
      >> 続きを読む

      2017/01/17 by

      失敗の本質」のレビュー

    • 評価: 5.0

      第2次大戦の日本軍の在り方を主に米軍と比較することで分析しながら、組織の在り方を解説した本。

      ノモンハンに始まり、ミッドウェー、ガダルカナル、インパール、沖縄と戦闘の推移を記述しつつ、ひたすら失敗が描かれる第1部とroot causeを分析する第2部、そして演繹化する第3部から構成されます。

      読むのは本当にしんどかった。内容がひたすら失敗と反省なので読んでいるこちらも反省させられているかのよう。しかも正面から向き合うと読むのに時間が掛る為、それだけ長く陰鬱な気分に・・・。

      合理的とは何なのか、近代的とは何なのか、演繹的でなくてはいけない理由は何なのか。そうしないと何が起きるのか、ツケはどのような形で降ってくるのか。

      気合いの結果はどうなるのか、高度な職人技を推奨しすぎるとどうなるのか、道に拘りすぎるとどうなるのか、帰納的だけだとどうなるのか、人的ネットワークに頼りすぎるとどうなるのか、空気を読むとどうなるのか。人が集団となり組織として活動する時これらは絶妙に影響を発揮しだします。そしてこれらの組み合わせがまた絶妙に効果を生み出していってしまう。そしてそれが環境の変化によって絶妙にどつぼに嵌っていくのですね。

      環境に適応するという事は環境適応性を失うという事。

      近代に移りつつある時期の西欧にあまりにも急激に適応しすぎてしまったが為、その次の移り変わり、量の時代への適応能力を失ってしまったというのが当時の日本だったのかもしれません。

      でも、これってSoftwareの設計で良く見られる話なんですよね。
      Software設計する時って、出来るだけなんにでも対応できるように先読み先読み汎用化汎用化を考えてgenericに抽象的に設計しようとします。でも、それでできるのはframeworkであって、Applicationではないと、ある時、ふと気付くので、そこから環境や要求に合わせ込もうとするんです。問題解決しとらんやんけーってね。で、具体的に合わせだしたら最後、変化すると適応できなくなるんですよ。そしてそこから無理が発生して、その無理はエントロピーを増大させる。結果はシステムの短命化。

      これを乗り越えるには結局、演繹化が必要であり、常に創造的にそれまで積み上げてきた結果(坂の上の雲風に言うと頭に付いた牡蠣殻)を捨てる(unlearning)ことができる必要があり、異端や偶然を受け入れる事が出来る必要があります。そしてこれを個人の突出した資質を必要とするのではなく組織構造として可能であるようにすることこそが、近代化だったという事なのです。

      必要があればそれまでの積み上げを捨てることができるためには帰納的であってはいけないのです。帰納的に外壁を固めるだけでは、外壁を捨てると建物が崩れてしまう。だから外壁を捨てられなくなるのです。なので、演繹的な柱とそれに有機的に繋がるそれを取り巻く床や外壁という五重塔的な構造が必要になります。結局1400年前も今も大して変わりが無いのですね。

      そして反省。
      人は自分で考えるとそれに拘る傾向が発生します。それが環境適応であり、適応しないと生きていけないので考える事自体を否定することができません。でも拘ると次の環境適応が行えなくなります。では割り切って考えることを捨てると、柱を失って外骨格の構造強度に頼るしかなくなります。
      ここしばらくオブジェクト指向で要求階層化するという手を考えていたのですが、ちょっと拘り過ぎかなと思ってみたり。でも全てパージする必要もないかなと。標的となるclassに対して要求をproperty的に記述する考え方もちょっと面白いかもしれないと考え始めていたり。そうやって柱を作っていくものなのではないかとね。

      読んだ人それぞれで思う事や考える事は異なるかもしれませんが、考えることが好きな人にお勧めです。
      >> 続きを読む

      2013/11/10 by

      失敗の本質」のレビュー

    • >気合いの結果はどうなるのか、高度な職人技を推奨しすぎるとどうなるのか

      個では負けていなかったってことなんですかね。 >> 続きを読む

      2013/11/11 by makoto

    • >ただひこさん

      色々為になりますよ。

      >iceさん

      Softwareの設計についてはさすがに本書には書いてありませんけど、
      学生時代の趣味の開発とかではよくそうやって設計が発散してしまいました。

      >makotoさん

      そこがまた、悩ましいところなんですよ。現場の頑張りは凄いものがあるんです。
      あと、一部突出技術(零戦とか大和とか)とか凄いんですけど、
      能力が平準化していないのと上下の間にギャップがあってそれが原因でどつぼに嵌っていくという悲しいパターンになっています。
      >> 続きを読む

      2013/11/14 by Shimada

    • 評価: 1.0

      日本軍の負け,戦術的な負けというより組織的な負けが書かれているが,背景に関する説明が少なくいきなり本題に入って詳細が書かれているので,知識がなければ良くわからない.

      組織の問題を述べているがその組織をどうやって変えるのかというのが難しいんじゃないのか?と思った.

      結局,戦後の日本ダメだったね,という話.失敗した人を責めているだけのように感じる.

      2012/03/10 by

      失敗の本質」のレビュー


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