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地球(テラ)へ… (2) (中公文庫―コミック版)

5.0 5.0 (レビュー1件)
著者: 竹宮 惠子
定価: 741 円
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    「地球(テラ)へ… (2) (中公文庫―コミック版)」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 5.0

      安定のための犠牲。それは本当に正義なのだろうか?
      ダメージは必ずそれを与えた側に跳ね返ってくるのではないだろうか?
      人が何かを強く求めるとき、それは実態のあるものではなく
      物語を追い求めているような、そんな気がします。

      この漫画は大河ドラマであると1巻のレビューに書きましたが、
      この第2巻を読めば納得いただけると思います。
      それは「指導者の悲劇」を描いていることに拠ります。
      真のリーダーというものは孤独な立場と非情な決定の責任を引き受けざるを得ないのです。
      竹宮惠子はこのテーマを既に「ファラオの墓」で描いていました。
      古代エジプトを舞台にした「歴史ロマン」で、この「地球へ…」以上の大スペクタクル漫画なので
      活劇的なノリが大好きな方には絶対おすすめです。
      戦争、殺戮、謀略、恋愛、政治的駆け引き、犠牲、献身、奇蹟、成長などなど。
      中学生だった私は泣きながら何度この漫画を読んだことでしょう!
      話がそれましたが、事実「ファラオの墓」と「地球へ…」には共通した構図があります。
      異なる体制を代表するふたりの若きリーダーの宿命。
      和平の努力も無駄に終わり戦争へ突入すること。
      キャラクターの設定こそ違え、サリオキス=ジョミー、スネフェル=キース、ナイルキア=フィシス、イザイ=ハーレー、といった役割の共通性があるのです。

      異なる文明・価値観の対立はなぜいつも相容れない反発となって闘いへと向かうのでしょう?
      そこにはいつだって無知による「恐怖」があります。
      もともと同じ人間なのに。
      現在地球上各地で起きている戦争による悲劇。
      これも本質は同じです。
      無知による恐怖と不寛容による拒絶。
      つまりどちらも思考停止状態です。

      「地球へ…」は、人類とミュウ(新生人類)との戦争を描いている訳ではないのです。
      「宇宙戦艦ヤマト」じゃないんだから~!!!
      そこのところを映画化の際には理解していないのが大問題です。(#`Д´)ノ
      映画しか知らない方はぜひ原作の漫画を読んでください。

      卓越した思考に基づく物語を発見できることでしょう。
      絵の線の美しさも見逃さないでね。

      【2巻のストーリー】
      はるかなる未来の人類は、地球という故郷の惑星への憧れを最優先に教育され、善良なるものだけで組織された社会を実現し、コンピューターのチェックにより異分子を極端に排除するという社会体制(SD体制)を敷いていた。
      人類から派生した新人類みゅうは迫害の中、細々と仲間を増やし、地球への帰還だけを夢にみる。
      ソルジャー・ブルーの遺志を継ぎ、最大級の超能力パワーを持つジョミーが新たなリーダーとしてミュウを率いていた。
      一方地球政府側のエリートとして新リーダー候補と目されるキース・アニアンが、対ミュウの尖鋭となって対峙する。
      ついに直接対決する日が訪れたが、ジョミーの対話の試みはキースによって拒絶される。
      キースはあまりにも地球(テラ)の体制に忠実だった。
      その心の奥の疼きとは別の次元で。
      人類とみゅうとの溝は、もはや対決が避けられないほど深まり、
      生き残りをかけたみゅうの反撃がついに始まる。
      若き双璧の対決はどちらに軍配があがるのだろうか?


      地球人類代表のキースの複雑な人格設定が見事。
      ジョミーは純粋でまっすぐな強い心を持っていますが、
      本当に純粋培養されたはずのキースは明晰な頭脳故にかえって迷いを生み出してしまいます。
      それは人間が本質的に両義的な存在であるからでしょう。

      ヒーローものとして読めばミュウ側に立つのが心情として当然ですが、
      大人な私にはキースの心が痛々しい。
      (ようやく私も竹宮さんの気持ちが分かるようになったのね。ようやく今頃ね)

      教育ステーションでの訓練生時代にキースに敵意を燃やしていたシロエという少年の存在意義は大きい。
      ジョミーが「成人検査」をスルーしたなら、このシロエのようになっていたことでしょう。
      コンピューターの申し子ともあだ名されるキースの人間性の片鱗は、
      このように、いつも悲劇の中において見られます。
      このストーリーテラーとしての「非情さ」が竹宮惠子のすさまじさだと私は思います。

      コンピューターに支配される社会も、元は人間がプログラムしたものであるということが、言下に示されている点も実に深いです。
      >> 続きを読む

      2015/09/27 by

      地球(テラ)へ… (2) (中公文庫―コミック版)」のレビュー

    • > 地球(テラ)へ…

      読んだことは有りませんが、とても守備範囲の広い月うさぎさんっぽいセレクトだなぁと妙に納得してしまいました。 >> 続きを読む

      2015/09/28 by ice

    • iceさん
      感情表現がダイレクトでオーバーに描かれているので、少年漫画のつもりで読んでもらって大丈夫な作品です。
      ハラハラさせるのは上手いし、筋が通っているのでストーリーを追うのも楽だし面白いです。

      守備範囲は、そんなに広くもないですよ~。
      最近読書ログさんのおかげで多少広がってきて嬉しいと思っていますが。
      無理やり幅を広げようとして読んだ場合、大きくハズすこともあるので…(^_^;)

      むしろつながる読書をしています。
      例えば「地球へ…」の次にお勧めするとすれば、「私を月まで連れてって!」か「ファラオの墓」がいいんじゃないかな。
      *「地球へ…」に「私を月まで」の主人公のニナちゃん似の少女が登場してたり、
      009のユニフォームとそっくりの服を着た子供が描かれていたりします。

      繋がりで考えるなら、石ノ森章太郎さんの「サイボーグ009」を読んでみるとか、
      管理社会で母胎出産のない社会という共通項ならオーウェルの「1984」とか
      まあ、そんな感じ。
      >> 続きを読む

      2015/09/28 by 月うさぎ


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