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ノラや

5.0 5.0 (レビュー1件)
カテゴリー: 評論、エッセイ、随筆
定価: 760 円

ふとした縁で家で育てながら、ある日庭の繁みから消えてしまった野良猫のノラ。ついで居つきながらも病死した迷い猫のクルツ―愛猫さがしに英文広告まで作り、「ノラやお前はどこへ行ってしまったのか」と涙堰きあえず、垂死の猫に毎日来診を乞い、一喜一憂する老百〓先生の、あわれにもおかしく、情愛と機知とに満たち愉快な連作14篇。

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    • 評価: 5.0

         猫の耳は秋風にゆれて

         広い広ろ~いさとうきび畑にて

      ぼく 「良子さん、良子さん、いっしょに隠れん坊しようよ」
      森山良子 「ストンくん、ふたりで隠れん坊しても仕方ないでしょ、ウフフ」
      ぼく 「そっか、エヘヘ」

         何者かが走りくる足音
      森山直太朗 「ストンさん、ぼくも入れてください」
      ぼく 「ああ、直太朗くん、君を忘れてたよ、ほら、入った、入った」

         何者かが走りくる足音
      黒澤明 「あのおばあちゃん、オシッコ我慢してない? 俺も入れろよ、ストン」
      ぼく 「カントク、ここにはエキストラはいませんよ。まあ、入った、入った」

         何者かが走りくる足音
      アキラ100% 「ストンさん、ぼくも入れてください、反射チェックもOKです」
      ぼく 「きちんと隠れてくれるなら構わないよ、ほら、入った、入った」

         何者かが走りくる足音
      とにかく明るい安村 「ストンさん、安心してください、履いてます!」
      ぼく 「も~露出大会じゃないんだよ。きちんと隠れてね、ほら、入った、入った」
       
      ぼく 「じゃあ、ぼく鬼やりまーす。もういいかい?」
      みんな 「ざ~わわ~よ♪」
      ぼく 「もういいかい?」
      みんな 「ざわわだよ♪」
      ぼく 「もういいかい?」
       
      ? 「まあだだよ」


       岡山の一級河川である旭川は、台風到来などの大雨によって氾濫しそうになった時、その溢れんばかりの水を百間川に放流するという。これは江戸時代のはじめの頃、岡山城下を守るために岡山藩主池田光政の命により築造されたカラクリで、そのため百間川は旭川放水路という別名をもつ。現在の旭川周辺には岡山後楽園や竹下夢二記念館などがあって、晴天に恵まれた日には近くの焼肉店からバーベキュー器具を借りて陽気な煙を立ち上げる人々もちらほら見受けられるが、何を隠そうあの内田百閒のペンネームの「百閒」はこの百間川が由来らしい。
       ジェイムズ・ジョイスが執筆に行き詰った時、俗にいうところの、にっちもさっちも行かなくなったら夫人が黒猫を書斎に忍ばせたように、小説家には愛猫家が多く、また猫好きが高じたエピソードもじつに多いのだが、内田百閒よりも猫を愛した作家を私は知らない。とにかく百閒は猫が好きだった。この随筆集『ノラや』を読めばこの事実をたちまち宜うことができるし、何だかこっちまで猫好きになってしまうから不思議だ。秋風にゆれる猫の耳が気になってくる。
       ノラはもともと野良猫。百閒先生の家がやけに気になったノラは野良猫として内田家の一員となった。風呂蓋に寝そべるのが大好きで、その寝相は傍若無人。食べるものは高級志向。生の小あじの筒切りと牛乳を好み、牛乳も安物では気に入らない。生意気な猫だと云いながら、百閒先生ついつい猫のご機嫌を取る。ノラや、ノラや、ノラや。ところが或る日、そんなノラがいなくなる。一向に帰って来ないから、百閒先生は探し回る。猫探しの印刷物を出し、NHKで放送も流し、雑誌にノラのことを連載し続けた。万策尽き、百閒先生は涙滂沱する。いつまでもノラのことを忘れなかったが、それでもノラは帰って来なかった。寒い風の吹く夜、門の扉が擦れ合って軋む音がすると、門戸まで出てみるも子猫の姿はなく、風の音だったことを確かめホッと胸をなでおろした。
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      2017/10/21 by

      ノラや」のレビュー


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