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汚名

本多正純の悲劇
4.0 4.0 (レビュー1件)
カテゴリー: 小説、物語
定価: 780 円

徳川家康の懐刀として幕府草創期に重用された本多正純。政権をゆるぎないものとするために辣腕を振い、主君が本来浴びるはずのあらゆる汚名を引き受け、二代秀忠の世に失脚、奥州へ配流される。権力の非情を知悉し一切を黙して語らず、従容と歴史の舞台から去ってゆく男の孤高の精神を、諜者の眼を通して鮮烈に描き出す歴史長篇。

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    • 評価: 4.0


      この杉本苑子の時代小説「汚名 本多正純の悲劇」は、講談などで有名な宇都宮釣天井事件の首魁・本多正純を、徳川家康のダーティ・イメージを一身に引き受け、捨て石にされた政治的な犠牲者として描いた作品です。

      物語は、藩内に潜入した隠密・越ケ谷謙作の視点で進められていきますが、彼の眼を通していわば、遠景から捉えられる本多正純の人柄は清廉そのもの。

      正純を陥れるためには手段を選ばぬ隠密仲間や、小者頭の老爺、謙作と情を交わす女、更には横暴を極める幕府の鉄砲方や人の良い、猫好きの伊賀組同心など、様々な人々の織り成すドラマの中で、正純失脚の陰謀は進められていくのです。

      この作品の眼目は、政治的権力構造の奇怪さを描くことよりも、むしろ、あとがきにあるように、その正純の「屈折した自己犠牲の爽やかさ厳しさ」にスポットを当てることにあり、物語は、従容として配所へ赴く正純と、その胸中を思いやり、同行を決意する謙作という、様々な形で自分の思いに殉じる者たちの、二つの感動を描くことで締めくくられています。

      そして、この結末は、この中で描かれている自己犠牲=殉じること、ひいては、その背後から屹立してくる"死生観"の問題こそが、歴史もの、伝奇ものの別なく、戦後の時代小説の大きなテーマであったことの再確認だったのではないかと思います。

      それを思う時、正純の姿は、歴史の中の多くの無名者への"鎮魂歌"なのかも知れません。


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      2018/01/26 by

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