こんにちはゲストさん(ログインはこちら) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト →会員登録(無料)

赤頭巾ちゃん気をつけて

4.0 4.0 (レビュー3件)
著者:
カテゴリー: 小説、物語
定価: 620 円
この書籍に関連するページ
第61回 芥川龍之介賞

女の子にもマケズ、ゲバルトにもマケズ、男の子いかに生くべきか。東大入試を中止に追込んだ既成秩序の崩壊と大衆社会化の中で、さまよう若者を爽やかに描き、その文体とともに青春文学の新しい原点となった四部作第一巻。芥川賞受賞作。

いいね!

    「赤頭巾ちゃん気をつけて」 の読書レビュー (最新順)

    最新のレビュー順 | 人気のレビュー順
    すべてのレビューとコメントを開く
    • 評価: 4.0

      "サリンジャーのマネ"を読んでみた。

      大かた文化的なものは今日びの日本では、たとえば音楽でも何でも洋モノのマネなのはわかりきっている。
      ただ日本語をあやつり芸術の域の高みにもっていくことを純文学の前提とするならば、些か心許ない心境が当時の指摘には込められていたのだろう。

      しかし今読んでみてもたとえば夏目漱石の「吾輩は猫である」なんていう感覚も感じる。
      すごく日本的な純文学っぽい。
      まどろっこしい文体はとても楽しい。

      でも時代背景はさすがに読んでいてキツいw
      >> 続きを読む

      2018/07/11 by

      赤頭巾ちゃん気をつけて」のレビュー

    • 評価: 3.0

      『赤頭巾ちゃん気をつけて』庄司薫 中公文庫
       題名に出てくる「赤頭巾ちゃん」は最後に出てくる女の子であるが、そこまでのお話は東大受験を目指す日比谷高校三年生である主人公「薫さん」がいろいろと考えて考えて考える話である。
       時代は安保闘争のまっただ中、東大の入試が中止になってしまった年だ。薫は周囲から一浪して来年東大を受けるのか、京大に行くのかと様々に憶測されているが、本人はまったく別のことを考えている。そんな風に世の中の思い通りになってしまうことへの違和感を抱きながら、ではどう生きていくのかなどを色々と考えている。
       事柄としてはそう大きな事件が起こるわけではなく、幼なじみの彼女と電話で話していて怒らせてしまったり、飼っていた犬が死んでしまったり、うっかり足の爪を剥がしてしまい、病院に行ったり、近所のおばさんに捉まっていろいろと話をされたり。友人が家に訪ねてきたりといった、日常の光景が繰り広げられる。それ事柄それぞれにどんな意味があるのかは語られないまま、ひたすら薫の頭の中でのつぶやきがそのまま語られる。
       友人が涙を流しながら、時代への批評をするのを聞いたあと、薫は街を彷徨する。トゲトゲしい気持ちを抱きながら、「大衆」への憎しみのような気持ちを抱きながら、歩いて行く。そこで赤頭巾ちゃんに出会う。お母さんとはぐれてしまった女の子。赤頭巾ちゃんの本を探している。薫はその女の子と本屋に行き、赤頭巾ちゃんの絵本を選んであげる。女の子と別れたあと、薫は先ほどまで抱いていた憎しみのような気持ちが消え去っていることに気づく。
       私はこの本を読みながら、村上春樹の初期の作品や『ノルウェイの森』を思い出していた。『ノルウェイの森』で緑という女の子が、学生運動をしている男子学生を批判して、卒業してしまえば髪を切って会社に就職して、マルクスなんて読んだこともない髪の長いきれいな女の子をお嫁さんにするのよと言っていたのを思い出す。正直にいうと、ベトナム反戦運動も安保闘争も知らない世代からすると、リアルには分かりにくい思想的な「断絶」があの時代にあったらしいとしか言えない。やはり村上春樹があの時代の後、言葉が急速に力を失っていったと言っていたように思う。実感としては分からない。ただ、何に向かって闘っているのか、どこに向かって拳を振り上げればいいのかわからない世界のあり方はあの辺から始まり、現代まで続いているのだと思う。本書での主人公の苛立ちもたぶんそういうところにある。一部の見えている人たちには見えているけれど、見えていないあるいは見えないふりをしている人たちには見えない権力の支配、本物を追及する努力よりも贋物が氾濫するスピードの方が速い世界、本物と贋物の区別ができない世界そういう世界がやってきていることが薫には見えすぎるくらい見えている。
       赤頭巾の本を選んであげた女の子とのやりとりで薫は回復していく。観念的なものではなく、女の子の中にある純真に触れて自分の中にもそういう純真を見つける。
       たぶんそこだけは譲ることのできないものなのだと思う。どんなに私たちを支配しようとするものがあったとしても、考えることをやめさせようとする力に流されそうになっても、踏みとどまれるところがたぶんそこにあるのだと思う。
      >> 続きを読む

      2014/03/03 by

      赤頭巾ちゃん気をつけて」のレビュー

    • 庄司薫の「失敗」のせいで、村上春樹が文学賞をもらえなかったという説があります。
      壇から消えた庄司薫
      若ぶっていたけど実はオジサンという限界のためかもしれません。
      でも事実人気があるし、いろいろな人に影響を与えた作品であることは間違いないでしょうね。
      nekotakaさんのレビューを読むとシリアスな内容に感じますが、それはいままでのこの本の印象と違います。
      別の興味が湧いてきました。
      栗本薫くんというのもでてきましたね。「ぼくらの時代」併せて読みたいと思っています。
      でもそうすると大江健三郎も読まなくちゃならないのかあ…。
      >> 続きを読む

      2014/03/03 by 月うさぎ

    • nekotakaさんのレビュー、今回も興味深く拝見しました。

      > 栗本薫くんというのもでてきましたね。「ぼくらの時代」併せて読みたいと思っています。

      月うさぎさんのコメントから引用です。

      グイン・サーガファンとして栗本薫作品は幾つか読んでいますがレビューは残っていないものの「ぼくらの時代」も読んでいます。

      確か推理小説だったと記憶しているのですが、「赤頭巾ちゃん気をつけて」にも関係して来るんですね。

      読み方が浅いんだろうなぁ...
      >> 続きを読む

      2014/03/04 by ice

    • 評価: 5.0

       高校1年生の冬休みに読んで、すっかりはまりました。
      「白鳥の歌なんか聞こえない」、「さよなら怪傑黒頭巾」、「ぼくの大好きな青髭」と続けざまに読みましたし、黒いタートルネックのセーターを好んで着たりもしました。
       この「赤頭巾ちゃん」が1969年5月の中央公論に発表されていることには改めて驚かされます。安田講堂攻防戦がその年の1月18〜19日、東大が文部省の入試中止策を受け容れたのは1月末のことです。他の大学を受験せずに1年浪人することを選んだ主人公は、まさにその執筆時点を生きているわけで、これほど同時代的な作品もあまり類がないのではないでしょうか。
       それだけに賞味期限の問題もありそうで、実際、バブル以降は忘れ去られた作品のようにぼくは思っていました。
       ところが、昨年の2月〜5月にかけて、このシリーズが新潮文庫で復活したのにはまたまたびっくり。とても嬉しくて買わずにはいられず、とはいえぼくは昔の中公文庫を持っているので、新しい本は高校生の息子にあげました。
       この本、いまの高校生が読んでも面白いでしょうか。うちの息子は、いちおう「面白い」と言ってくれましたけど。
      「弁護士Kの極私的文学館」にも記事があります。
       
      >> 続きを読む

      2013/05/16 by

      赤頭巾ちゃん気をつけて」のレビュー

    • sunflowerさんのコメントが気になって、私もお邪魔しました!

      >夢は、図書館の司書になること。
      >本屋の店主になること。
      >文学館を開くこと。
      >本に埋もれて暮らすこと。

      本当に素敵ですね、本への愛情を感じます!
      >> 続きを読む

      2013/05/17 by chao

    • ありがとうございます。
      人生50年、化転のうちを比ぶればゆめまぼろしのごとくなり、もはや現実の世界で夢を叶えることはあきらめ、せめてはヴァーチャルなブロクの世界で気ままなることを述べてみん、うらわかくさの萌いずるこころまかせに、というわけす。
      みなさんとこんな交流ができて、とてもうれしく思います。
      >> 続きを読む

      2013/05/17 by 弁護士K


    最近この本を本棚に追加した会員

    この本に関連したオススメの本

    取得中です。しばらくお待ちください。

    アカズキンチャンキオツケテ
    あかずきんちゃんきおつけて

    赤頭巾ちゃん気をつけて | 読書ログ

    会員登録(無料)

    今月の課題図書
    読書ログってこんなサービス
    映画ログはこちら
    読書ログさんの本棚

    レビューのある本

    最近チェックした本