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ボートの三人男

4.8 4.8 (レビュー4件)
カテゴリー: 小説、物語
定価: 800 円

気鬱にとりつかれた三人の紳士が犬をお供に、テムズ河をボートで漕ぎだした。歴史を秘めた町や村、城や森をたどり、愉快で滑稽、皮肉で珍妙な河の旅が続く。数々のオマージュ作品を生み、いまだ世界で愛読されている英国ユーモア小説の古典。

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    「ボートの三人男」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 5.0

      犬は勘定にいれません。この言葉が頭の片隅にこびりついて離れなかった。ボートに三人の男と犬のモンモランシーが乗っているのだが、タイトルは「ボートの三人男」になっているのだ。なんだか面白いなぁと思いつつも、そっかぁ犬だから勘定にいれてもらえないのか……とちょっぴり切ない気持ちを抱えながらこの本を手にとった。

      イギリスのユーモアは皮肉というパンに挟む具のようなものだと思っていたけれど、この小説の面白いところは滑稽さと親近感にあると思う。例えば、あるパーティで歌手がドイツの悲劇の歌を披露する場面がある。パーティの参加者たちは事前に二人の若者にこれはコミックソングなのだが、彼はそれを悲壮感あふれる雰囲気で歌いあげるところがとても面白いのだと吹きこまれて、ドイツ語が分からない参加者たちは二人の若者にあわせて笑う(あれはどうも卑怯な態度だと思う)。結局ドイツ人の歌手は聴衆の態度に怒ってしまうのだが、この場面は滑稽以外の何者でもない。しかし、大人になってしまった今では「王様は服を着ている」と言ってしまう人々にどこか親しみやすさを感じてしまうのだ。

      また、本書はユーモアあふれる掛け合いに加えて、美しい情景描写や土地の歴史的なエピソードがごった煮になっている。それが、色々な具材をぶちこんだ鍋料理のように絶妙な味わいとなっているのだ。お調子者のジョージ、実務的で神経質で酒好きなハリス、好戦的なのにへたれなモンモラシー、ユーモアたっぷりの語り部のJ。休日にはボートに揺られて美しい景色を見ながら、世俗にまみれた愛すべき彼らのエピソードを楽しもう。
      >> 続きを読む

      2016/08/30 by

      ボートの三人男」のレビュー

    • けやきーさん、楽しく読んでいただけて幸いです。

      呼ばれた気がしてやってきました。月うさぎさんが仰るように、イギリス人は犬好き、いや広く動物好きの国民性がありますね。大きな動物園もありますし、あのチャーチルは猫はもちろん犬好きでもありました。文学作品ではヘンリー・ジェイムズの『ある婦人の肖像』。イザベルが英国の屋敷にはじめて訪れる場面など、犬と人間とのふれあいを描く印象的なシーンがあります。
      と与太話はこのくらいにして、この小説のすばらしさは、主要人物の四人がみんな幸せそうなんですね。幸福感に包まれている。生活のスピードに無理がないから、目覚まし時計と喧嘩できるし、ボートの旅を楽しむこともできる。そしていつの間にか、読み手もその幸福感のお裾分けにあずかる。本当に不思議な小説ですね。

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      2016/08/31 by 素頓狂

    • 素頓狂さん、コメントありがとうございます!

      おかげさまでとてもよい読書体験ができました。ありがとうございます!動物好きな国民性なのですね。そういわれてみるとモンモラシーの描写も愛が感じられた気がします。

      ゆったりした生活の幸福……たしかにボートでゆらゆら揺られながらの旅行という感じでしたので、時間に追われている感じはしませんでした。ヴィクトリア朝の人々にとって、ゆっくりした時間の流れの中で生きるというのは一種の理想だったのかもしれませんね。そして、それは100年以上後の時代で生きている僕も大いに共感できるものでした。
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      2016/08/31 by けやきー

    • 評価: 5.0

       わたしのことを髪の毛一本ていどでも知る人であれば、ジェローム・K・ジェロームの『ボートの三人男』が好きだと分かると思う。もっとも、その髪の毛はすっかり少なくなってきて、一人一本ずつ配るわけにはいかない。よし、ここはひとつレヴューをしたため、ブリティッシュ・ユーモアの面白さを喧伝してみるか。
       と、大きく出てみたものの、アメリカン・ジョークとイギリス風のジョークの違いなぞわたしは知らない。シェイクスピア役者のケネス・ブラナー主演の映画『舞台よりすてきな生活』を見たとき、「そうか、こういう笑いが英国のユーモアか~」と腑に落ちたが、同時に眠りにも落ち、うたかたの夢のなかで有耶無耶になった。
       そうそう、この『ボートの三人男』、作家先生のあいだでも人気がある。日本では奥泉光さんが「作家の読書道」で公表していたし、米国のコニー・ウィリスときたらオマージュ作品を書いているくらいだ。このサイトでも、そのオマージュ作品が取り上げられていた憶えがある。
      『ボートの三人男』には、観光ガイドを兼ねた小説の走りという側面もあって、いや、本来はこっちの方がメインで、作者本人は滑稽小説をつくった気はないらしい。そして、だからこそユーモア小説として大成功し、いまでも愛されていると井上ひさしの解説にもある。英国紳士三人と愛すべき犬一匹。これから先も、彼らの乗るボートが先頭を切って、気の利いた英国ユーモアを世界に教えてまわるだろう。
       
      >> 続きを読む

      2015/03/19 by

      ボートの三人男」のレビュー

    • 月うさぎさんとは最高にうまい酒が飲めそうです^_^
      そうですね、旧かなは慣れるまで少し大変です。しかし大丈夫です。丸谷さんが旧かなで小説を書き始めたのは『横しぐれ』からです。新かながいいのであれば、『笹まくら』か『たった一人の反乱』ですが、わたしは短いものがいいと思います。とりあえず『樹影譚』(旧かな)をオススメします。これが面白ければ『横しぐれ』、そして唯一そこそこ売れた『女ざかり』、源氏とジョイスの手法を混ぜた『輝く日の宮』と読み進めるのも悪くない。もうすぐ文庫本が出る『持ち重りする薔薇の花』も面白いです。物語の内容はこの小説がいちばんよかった。ですが、小説にこだわる必要はないと思います。『思考のレッスン』と『文学のレッスン』と『文章読本』、この三冊が入門書にあたります。あとは『日本語のために』や『星のあひびき』も捨てがたい。すみません、かなり熱の入った宣伝になりました。わたしを書物の世界に連れてきてくれた人なので…… >> 続きを読む

      2015/03/20 by 素頓狂

    • さすが素頓卿さん
      丸谷さんに精通していらっしゃいますね。
      「思考のレッスン」だけは既読ですがほとんど未読なので、ぜひご推薦の作品から読んでみたいと思います。
      作者と趣味嗜好の共通項があることが好き嫌いのベースになってくるはずなので
      同じ作家さんの作品を深く愛する人とはやはり感性を同じくする部分がありますよね。
      丸谷さん修行をもうちょっとしてみますので、いつか旨い酒をご一緒しましょう。
      面白そうな作品をいっぱい教えてくださってどうもありがとうございました。
      >> 続きを読む

      2015/03/21 by 月うさぎ

    • 評価: 4.0

      昨日2012年10月13日、丸谷才一氏がご逝去された。
      朝日、読売ともに新聞の1面に掲載されるニュースとなる程、
      文壇に影響力のある作家です。
      ご存知でしたか?

      アイルランドの作家ジェイムズ・ジョイスの小説
      『ユリシーズ(Ulysses )』の研究者、翻訳家として知られますが、
      この『ボートの三人男――犬は勘定にいれません』も
      丸谷才一氏の翻訳による名作の一つです。

      氏を偲んで、ここに再レビューを捧げます。

      最近、翻訳の力量による作品の優劣が気になりだした折も折、
      彼の翻訳は作家の文章と外国文学への理解が相互に響く
      非常に素晴らしい出来だと思うのです。
      しかも、さらに理想的なことに、彼は日本語の研究者でもあります。
      (ど素人が生意気にスミマセンm(__)m)

      「ユリシーズ」は「失われた時をもとめて」と共に
      20世紀を代表する超長編小説の双璧と言われます。

      その読書にかかる膨大な時間を取れない方は、
      ぜひ、この「ボートの三人男」を読んでみて欲しい。
      amazonのページに飛ぶと冒頭部分が試し読みできます。
      イントロからして、笑えます。ちょこっと読んでみてください。
      (私はユリシーズは未読です。死ぬ前には読まないと…)

      丸山氏が、外国文学のどこに惹かれたのか。
      その片鱗が読み取れるかもしれません。
      乾いたユーモアと人物の普遍性、にじみ出る知性など。

      「なぜ日本の私小説は自分のことばかり湿っぽく語るのか」
      という氏の疑問は、私においても日本文学への不満と
      外国文学への傾倒という部分に一致するものでした。

      また、丸谷氏は書評家として、数々の文学賞の選者としても重要な存在でした。
      村上春樹氏の処女作「風の歌を聴け」に注目し、早い時期からその作品の力と作風の魅力を認め、芥川賞でも村上作品を強く推していたことでもよく知られています。
      >> 続きを読む

      2012/10/14 by

      ボートの三人男」のレビュー

    • >「ユリシーズ」は「失われた時をもとめて」と共に20世紀を代表する超長編小説の双璧と言われます。

      オレはmakoto
      双璧のどちらの存在も知らずに生きるオトコ...
      >> 続きを読む

      2012/10/14 by makoto

    • makotoさん 私も読んだことないです。すごい長編で、しかも難解と言われています。
      「失われた時をもとめて」は、最近「新訳」が出て、読みやすくなったようで、
      それは評判がよさそうですし、読んでみない?(^^)
      >> 続きを読む

      2012/10/15 by 月うさぎ

    • 評価: 4.0

      これはひょっとすると、シェークスピアの次に重要な英国文学作品かもしれない。(笑)
      英国のセンスを知りたかったら、ぜひ、読んでみましょう。

      『ボートの三人男』は多くの国で翻訳され人気を得ており、現代でも読み次がれている、古典です。

      時は120年ほど昔の古き時代の英国、日本では明治維新直後。

      三人の紳士「ぼく(作者)」とジョージとハリスが
      フォックステリア犬の「モンモラシー」をお供に
      ボートを借りてテムズ河の川下りをする。

      ストーリーはそれだけ。

      ロードムービーみたいなもの?

      ではありません。
      この作品が今だに愛されているのは、「笑い」のため。

      お笑いを目指す人がいて、ギャグやコントをやりたいなら、必読。
      すごいパワーと、ネタの宝庫です。

      彼らの素っ頓狂な言動やドタバタ事件と、
      それに平行して、テムズ河畔の景観や地理や歴史的ウンチクが披露される。
      その美麗な描写は「お笑い」と、対照的。

      本当は、この本は『旅のガイドブック』のつもりで書かれたものだった。

      のだそうだ。


      実は、ハインラインの『大宇宙の少年』の中で、
      主人公キップの父親がこの『ボートの三人男』を愛読しているシーンがあったり、
      コニー・ウィリス の ヒューゴー賞・ローカス賞、クルト・ラスヴィッツ賞を受賞した、タイムトラベル・ユーモア小説。
      『犬は勘定に入れません・・・あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎』
      も、この作品のオマージュ作品です。

      しかし、こんな本だと思わなかった~!

      ブリティッシュ・ジョーク がわかる方向き。
      チャップリン、モンティー・パイソン、ビートルズ。そしてミスター・ビーン。
      彼らの笑いが嫌いで無い人には、ツボでしょう。

      「笑い」とは、時代を超えた文化なのですね。

      ただし、アメリカン・コメディ専門の人、TV系のワンフレーズ・ネタや、顔ネタがギャグだと思っている人には、理解不能かもしれません。
      >> 続きを読む

      2012/03/13 by

      ボートの三人男」のレビュー

    • makotoさん こんにちは。
      笑いは語学というよりも文化の違いだと思います。お気になさらずに。
      makotoさんの笑のツボって何かな?

      「ボートの3人男」はおバカなコントみたいな笑いです。
      オーソドックスないかにもコテコテな笑い。
      オーバーアクションのお芝居のような。
      (でも、上演当時のシェイクスピア喜劇も似たようなものですよ)

      医学書を読み、自分にはほぼすべての病気の症状があることがわかり、
      自分は病気の見本であると確信するところから物語が始まり、
      「病気療養」には旅がいい、と思い立ち旅に出るものの、
      旅立ちの支度から大騒動。
      缶詰を食べようとすれば、缶切りが無くて…
      が、ここまでやるか?!というしっちゃかめっちゃかを演じてくれる。
      こんなノリです~。
      >> 続きを読む

      2012/05/29 by 月うさぎ

    • なんだか、Tsukiusagiさんのコメントを見ていると楽しめそうな気がして来ましたーw >> 続きを読む

      2012/05/29 by makoto

    関連したレビュー

      中央公論新社 (1976/07)

      著者: ジェローム・K.ジェローム

      • 評価: 4.0

        【怠惰で使えない三人男の船旅あるある……ただし、犬は勘定に入れません】
         コニー・ウィリスの『犬は勘定に入れません』という作品が結構面白かったので、その本のタイトルの元になったという本書を読んでみました。
         本書の副題が、まさに『犬は勘定に入れません』なんですね。

         本書は、三人の怠惰で使えない友人達が、三人揃って体調不良だと言い合い(これが、もうこの世の有りとあらゆる病気を一身に背負っているような主張なんですけれどね)、ここは一つテムズ川で船旅でもして体調回復を図ろうということになり、ペットの犬(フォックステリアです)のモンモランシーを連れて出かけるというお話です。

         いや、もうありがちなドタバタ劇でして、出発前の準備の段階からすったもんだします。
         主人公の『ぼく(これは作者のことと思われます)』は、「荷造りが大変上手いんだ」と言いだし、三人分の荷造りを引き受けたは良いものの、長時間かかって鞄にようやく荷物を詰め込み、革バンドを掛けたところ……入れ忘れた靴を発見しまた荷ほどきをし、再度荷造りを終えたのですが、今度は歯ブラシを入れたかどうか急に心配になり、仕方なくまたまた荷ほどきをして確認したところ、やっぱり入れ忘れていて、ようやく夜中までかかって荷造りを終了するという始末です。
         もちろん、翌朝、歯を磨こうとして歯ブラシを荷造りしてしまったことに気付き、もう一度荷ほどきすることになるのはお約束(笑)。

         一事が万事こんな調子で、船旅(船旅と言っても自力でボートを漕いでテムズ川を遡上し、夜はキャンプをするという旅です)の途中でもあれこれやらかします。
         炒り卵を作ろうとして、卵を6個も割ったのに、結局できあがったのはフライパンの上で真っ黒に焦げているぽちっとした固まりだけとか、デザートにパイナップルのカンヅメを開けようとするのですが、缶切りを忘れてきたことに気付き、色んな道具で開けようとしてもどうしても空かず、腹を立ててその缶詰を川に投げ込んで三人で快哉を叫ぶとか、そんなのばっかり。
         また、この様な船旅の途中で思い出す出来事も、似たり寄ったりのエピソードです。

         あとがきを読むと、作者は必ずしもユーモア小説を書くつもりで執筆を始めたわけではないそうなのです。
         テムズ川沿いの様々な名所を紹介するような作品を書くつもりだったのに、できあがったのは後々有名になるユーモア小説だったというわけです。

         冒頭に書いた、本書から副題を頂いた『犬は勘定に入れません』も、まさに本書のモチーフであるドタバタコメディを書きたかったのだろうなと推察され、この副題をもらった意図もよく分かりました。

         ややワンパターンなところもありますが、まぁ、にやにやしながら、先を急がずにゆっくりお読みになるのがよろしいようで。
        >> 続きを読む

        2019/05/25 by

        ボートの三人男」のレビュー

      • 出だしから笑えますよね。ネタ的には古典的ギャグに思えるかもしれませんが、この小説はとっても古いのですから、もしかするとこれがオリジナルなのかもしれません。
        チャップリンもミスター・ビーンもこの小説を知っているに違いないです。英国人なんで。(^m^ )

        ef177さんはコニー・ウィリスからこの作品に進んだのですね!

        私は実は、ハインラインの『大宇宙の少年』の中で、
        主人公キップの父親がこの『ボートの三人男』を愛読しているシーンがあったので、本作を読み、この作品のタオマージュがあると知って、
        『犬は勘定に入れません・・・あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎』
        という順番に読んだんです。
        順序はどうあれ、読書がつながるというのは、楽しいものですよね。
        >> 続きを読む

        2019/05/25 by 月うさぎ

      • 安定のギャグっていう感じでしょうかね(笑)。
        そうそう、読書がつながるというのはとても良いことだと思っています。
        >> 続きを読む

        2019/05/25 by ef177


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