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愛はさだめ、さだめは死

3.0 3.0 (レビュー2件)
定価: 903 円
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    「愛はさだめ、さだめは死」 の読書レビュー (最新順)

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    • 評価: 3.0

       短編集なのでいくつか気になったものの感想を。

       乙女に映しておぼろげに
       未来から女の子との軽妙な会話を描いた短い作品。未来人の感覚と言葉にちょくちょくついていけなくなくて、振り回される主人公とシンクロしてしまいます。年代の違う人と会話すると、実際こういう感覚と言葉のズレがありますね。笑

       男たちの知らない女
       作品を読むことでフェミニズムの本質を感覚的に理解できる作品。男女で感想が別れそうで興味深いです。
       こういう作品にとっては覆面作家であることが非常に利点なのではないでしょうか。本作では作者の詳細がなぜか冒頭で紹介されていまして、読者にとっては全く覆面ではなくなってしまうのですが……。
       覆面作家といえば、私の中ではグレッグ・イーガンや舞城王太郎が思い浮かびます。なかなか一癖ありますね。

       断層
       特に古い作品ですが、個人的には好きです。
      時代の流れから切り離されることが罰である、というのは面白い発想ながら真実をついているように思います。

       全体的に70年頃の時代背景を理解していることが望まれます。小説というのは少なからずそういう部分がありますし、SFの元々を突き詰めれば、時代背景は大切です。好きな音楽の関係で古い時代のことを調べたことを思い出しました。本から時代に興味を持つのもありかもしれませんね。

       ティプトリーの作品では異星人が一つの重要な位置を占めます。
       異星人は自分と全く違う価値観を持っている可能性がある存在です。それを理解できることも、理解できたと思えて実は全く分かっていないこともありえます。

       未来人や男から見た女、社会から切り離された人も、あるいは異星人と言えるかもしれません。そして、作品の背景にある社会の諸々さえも。

       異星人に出会った時、それを分かりたいと思う気持ちは大切ですが、自分の価値観で理解しようとした時点で、それは理解でなく解釈に過ぎなくなってしまうのではないでしょうか。

       理解できない存在をそのまま受け入れる。それは身近な他人に関しても時に大切だと思います。

       はじめの2編、すべての種類のイエスと楽園の乳がイマイチよくわからなくて挫折しかけてしまい、危ないところでした。でも2編とも異星人の出てくるお話なので、地球人の私には謎な部分もあるさ、と思っています。
       え?それを書いた作者?きっと人類を超越した存在なんですよ。
      >> 続きを読む

      2015/03/11 by

      愛はさだめ、さだめは死」のレビュー

    • >空耳よさん
      確かに少し違う感は否めませんね! 
      というより、私がSFばっかりだからかもしれません笑
      でもいつも非常に楽しくレビューを読ませていただいて、実は結構読みたい本をチェックさせてもらっています。長い目で読むつもりです!笑

      逆に年齢が離れていても通じるミスチルはスゴいですよ。
      >> 続きを読む

      2015/03/12 by あさ・くら

    • あさ・くらさん。

      いえいえ。
      作者さんのお名前でしたか。有り難う御座います。 >> 続きを読む

      2015/03/12 by 澄美空

    • 評価: 3.0

      覆面作家だったジェイムズ・ティプトリー・Jr。
      「序文」に同業者のシルバーバーグのティプトリー論が掲載されています。
      それは有名な評論で、おもしろいものではあるのですが……
      作家の素顔など知らぬ人も多いはずなのに、冒頭でわざわざイメージを刷り込むのはどうかな?
      覆面作家を演じた理由の一つは、作家情報に拠らず作品を純粋に味わってほしいという思いもあった訳です。
      読者にしてもどんな人がこれを書いたのだろう?と想像するのも一興ではないでしょうか?
      私は作家のプロフィールを先に知っちゃってました。この序文の存在も知っていました。
      だからいいんですけれどね。
      これから初めて作品に触れる方には、まっさらの状態で、へんな期待も余計な詮索もなしで向き合ってもらうほうがいいのではないかと。
      そのほうが新鮮だし、謎解きがひとつ増えて楽しいでしょ?
      せめて「追記」部分だけでも後書きに収録すべきではないかしらね。
      訳者解説にはティプトリーの経歴の詳細が紹介されています。
      実に驚くべき人生ですから本編「読後に」ぜひお読みください。

      チャレンジャーな作風と聞いていましたが、初期作品は確かに……。
      初読ではさっぱりわからない作品もあります。
      多くの人が同様に読みにくいと感じているみたいです。
      それでも枠を外れたその世界観や表現方法は間違いなくSF作家らしさの発露だと思いました。
      そして事実そういう作家をSFファンは愛したのでした。


      【Contents】
      すべての種類のイエス(All the Kinds of Yes)1972
        ヒッピー達と親交を深めるエイリアンの話。
        最初から最後までわけがわからなくて、どっちもエイリアンかと思いました。
        この異星人の繁殖方法は、後期代表作の「たったひとつの冴えたやりかた」のシルの種族のアイディアに繋がっている気がします。その点で興味深いです。

      楽園の乳(The Milk of Paradise)1972
        自分を育ててくれた異星人とその惑星への想いに囚われたティーモー。氏より育ち。

      そして私は失われた道をたどり、この場所を見出した
      (And I Have Come upon This Place by Lost Ways)1972
        スター級科学調査団の仲間入りを果たしたエヴァンは憂いていた。
        惑星調査を終えた調査団はこの星を去ろうとしていたが、
        彼はクライヴォーン山に強い心残りを抱き、強引な調査を決行する。

        真に科学的な姿勢とは何なのか。強烈なメッセージと皮肉を込めていると思われます。
        「コンピューターは人間の脳を解放した」
        それは単なる堕落と怠惰への言い訳ではなかったか?
        痛々しくて美しい不思議な味の作品。これは確かに正体不詳の作家だわ。

      エイン博士の最後の飛行(The Last Flight of Doctor Ain)1969
        エイン博士の謎の旅の軌跡を追うと…女の存在が浮かび上がる。
        しかし彼女を目にした者は誰もいない。
        「連れの女」とはいったい誰なのか、博士は何を目論んでいるのか?
        へへ。途中でわかりましたけれど。

      アンバージャック(Amberjack)1972
        愛を受けずに育った二人。この関係を愛と呼ばないように互いに気遣ってきたというのに。
        悲劇です。彼らにとって愛の行為は優しさに結びつかなかった。
        幸せを幸せと感じる、それを受け取ることも「能力」の一つなのかもしれない。

      乙女に映しておぼろげに(Through a Lass Darkly)1972
        未来から来た少女と男とのマンガチックなお喋り。
        彼女の若者言葉がちんぷんかんぷんで、いわばそれを楽しむ小説だと思います。
        未来の性生活や家族形態って想像を超える状態になってるらしいよ~。

      接続された女(The Girl Who Was Plugged in)1973
        サイバーパンクを先取りしていたとされ、とても評価の高い作品。
        舞台は〈押し売り禁止法〉により、広告が禁止された未来世界。
        とびきりのブス、醜悪な姿の少女P・バーグが自殺未遂から救われ、
        大企業から特殊な仕事のオファーを受けた。
        それは彼女の脳髄や神経に電極を繋ぎ、遠隔で美少女の生ける人形を操作し、
        アイドルとして広告塔の役割を果たすということであった。
        彼女は完全無欠の美女と一体となった。
        人形はデルフィの名で衆目を浴び、物を使い、行動する。その脳の役を果たすのだ。
        やがてデルフィは当の企業の御曹司ポールと恋仲になる。彼女の正体に気づかぬままに…。
        
      遠隔ロボットはすでに存在していますし、バーチャルでは「テッド」を撮った撮影技術として知られるようになったモーションキャプチャMVNなんか、
      これとかなり近いセンまで行っている気がします。

      自分がもしもめちゃくちゃ可愛い女だったら…という想像をするのは、女なら誰にでも覚えがあるのではないでしょうか?
      もしもローラちゃんみたいなら、あんなこと言ってもこんなことしても、カワイイし許されるよね。って。

      同時に、アイドルという名の神が広告塔になっているというのは、現実問題としてあります。
      読者モデルだとかブロガーやら商品サイトのクチコミやらにも、何にでも裏がある時代です。
      怖い怖い。


      恐竜の鼻は夜ひらく(The Night-booming Saurian)1970
        タイムマシンがあったなたら、学者と政治家には使用させちゃだめという訓話……かも?
        この邦題ってひょっとして「圭子の夢は夜ひらく」のモジリですか(^_^;)

        考古学的な研究を行うために、多額の予算を確保しようと、政治家に働きかけたところ、
        狩猟マニアが恐竜狩りをしたいと盛り上がり…。
        なんとか恐竜を狩らせようと、四苦八苦する話。
        
        おふざけ的に描かれているけれど、すごい皮肉が込められていると思います。
        学者の欲、政治家の欲、二つは全く異なるものを欲していますが、
        両者ともに手前欲が世界を改変してしまう恐ろしさに対し、なんと無自覚な事か…。

      男たちの知らない女(The Women Men Don't See)1973←私はこれ一番気に入りました
        ユカタン半島の入り江の砂州に不時着した飛行機に乗っていた男女4人。
        人を拒む自然の中でのサバイバル…と思わせておいて…。
        実はフェミニズムを扱った作品なのですが、
        ドンという男目線で最初から最後まで描かれる点が特異。
        彼には結局ルースが理解できないままで終わります。
        誤解もすべてそのままに放置されています。
        この小説を読んでルースを理解できるのは、女性だけなのではないでしょうか?
        男は所詮ドンと同類なのだから……。
        結論としては女が男社会の中で生きることに対する絶望を描いた作品になっています。
        
      断層(Fault) 1968
        ある惑星での刑罰は?思いもよらない方法で孤独を味わわせる処罰だった。

      愛はさだめ、さだめは死(Love Is the Plan the Plan Is Death)1973
        昆虫の生態を思わせるエイリアンの生と死の営みを謳う。
        本能が壊れた人間が失ったものは「生命の圧倒的な力の実感」なのだろう。
        愛は妄想ではなく、次世代に命を受け継ぐために通らなければならない運命なのだ。
        そして死は愛の完結形であり、喜びだ。
        ティプトリーの哲学はここに既にあったのかもしれない。

      最後の午後に(On the Last Afternoon)1972
        30年前、宇宙船がジャングルの淵のこの浜に不時着して以来
        長年の努力の結果、移民のコロニーは今では一種の楽園となっていた。
        しかしその星には交尾と産卵のために海岸に定期的にやってくる巨大怪物が生息していた。
        鮭が生まれた川にウミガメが浜辺に戻ってくるように怪物が群れをなして襲ってくる。
        その荒々しさは、想像を絶するものだった。
        ミューシャはノイオンの力を借りて自らの死と引き換えに民を救うことを願う。
        ノイオンに力はあるのか?彼にとっての成熟と死と永遠とは?
        人々はコロニーを護ることができるのか?

      ミューシャとノイオンというエイリアンとのコンタクトのお話なのですが、
      怪物の気味の悪い生殖行動のほうがインパクト大です。
      つまり「愛はさだめ~」とコンセプトが似ています。命の継承と個人の存在意義の対比について、考えさせられます。

      「人間は時間をたくわえる生き物なんだよ」
      命だけではなく人は文化をつなぎます。読書もその一つですね。
      >> 続きを読む

      2015/01/20 by

      愛はさだめ、さだめは死」のレビュー

    •  こういうぶっとんだSFは僕の大好きな味です。1970年代に書かれたお話ですから、ヒッピー文化、フェミニズム運動、環境問題に端を発した科学と人間との関係の再考などの同時代的現象を、しっかりおさえた上で作品を構築しているのでしょうね。ぜひ読んでみたいです。 >> 続きを読む

      2015/01/20 by ゆうぁ

    • ゆうぁさん
      ゆうぁさんにならお薦めできると思います。
      >1970年代に書かれたお話ですから、ヒッピー文化、フェミニズム運動、環境問題に端を発した科学と人間との関係の再考などの同時代的現象を、しっかり抑えた上で
      その通りです。さすがゆうぁさん。SFの特質を見抜いていらっしゃる。
      表面的に読んでしまうと、わけわからん。か、奇妙で面白かった。で片付いてしまうでしょう。
      アイディア勝負というのでもないし、特別に思想的というのでもなくて。
      癖はありますが、実験的で不思議な短篇集でした。
      >> 続きを読む

      2015/01/21 by 月うさぎ


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